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デジタルなオーディオ  歌は世につれ世は歌につれ

みなさんご想像の通り、私はデジタルなオーディオに関してはからっきしです

その中で、いくつか不思議に思うことがありました

その1

横浜のTさんが2年ほど前までLUXMANの高級SACDプレーヤーを使っていて
当時は、同じLUXMANの高級セパレートアンプと ソナスの高級スピーカーだった

ご自分の家の音にどうも納得がいっていないらしく

「どうしたら良いですか?」と深夜のロイヤルホストで(青白い顔で)相談を受けたことがある
その時は、案外と軽い気持ちで「少し古いCDPを使って見たら」と答えて、早速REVOX B226という30年も前のCDPを購入し、その余りの音楽の違いに驚愕の声をあげたことがある



b226_2.jpg


その時はまだアンプやスピーカーが変わっていなかったのに

「LUXMANの SACDプレーヤーは、音楽にエコーが乗りすぎる」と力説していた
正直、そんなことあるのかなあ?と聞いていたのですが



今年になって、Mさんという方のシステムを一緒に作りましょうという段になって
CDを聞いた時に、とてつもなく嫌らしいエコーが付き纏って、深い霧の中に音楽が埋もれてしまっているように聞こえた

プレーヤーはSONYのSACD機で巷では名機と誉れ高い機種だった

その時、ハタと上で紹介したTさんの言葉を思い出した   ダメもとでCDPを変えてみよう!

そこで、MARANTZの古いCDーRを持ち込んで聞いて見た
cdr640.jpg


なんと言う事だろう
濃霧は立ち所に晴れ渡り、裸の音楽がむき出しに出現したので余りのことに尻込みしてしまった

Tさん、ありがと〜


この一件があった後、検証のつもりで幾人かの人に話をして見ました

ある人はLinnのCD12を使っていたが、音に芯が出ないことに我慢がならず今はSTUDERのA730 A727をお使いになっている、もちろん現在は満足されている

f0139948_1025288.jpg



さて、ここで考えてしまった

上記の新鋭機は業界ではいずれも高い評価を受けているものだし、ましてエコーが強すぎて音楽が曇るなんていっている人に出会ったことがない

自分には思い当たる節がある
でも、また色々と各方面にご迷惑を掛けてはいけないし、今日は感想は言わないとの思いもあるので詳細には書かないが

現代の思想で設計されたスピーカーやアンプと組み合わせた時に、最新のCDPはマッチした音楽を奏でると言うことだ

これは、音楽収録(録音)現場でも同じことが言える  一例として
1950年頃のピアノのLPと2000年以降の録音を比べてみれば一聴してわかるでしょう



ここに挙げたLUXMANやSONYのCDPがよろしくないと言うことではないのです  当然です
しかし、組み合わせるアンプやスピーカーと、それにも増して聞くCDを間違えると、悲惨な評価になってしまった



残念なのは、多くのオーディオマニアがこの点に対して全くと言うほど無頓着な事です
多くの人が雑誌の評判や、今ならネット上の評価、販売店や先輩の口伝によってなんの根拠もないまま

個々人の好み、イメージ、憧れなどご自身の都合だけで機械を購入し、機械の都合に耳をかさないのであればうまくいかない事が多いと思う

怖いのは自身の選択を信じているから、普段音楽を聞いているだけではエコーの付加を知る事も疑う事も出来ない

前述したTさんはたまたまREVOXと同居して聴き比べたのでおかしいと感じることになったし

次のMさんの場合は、システムを組む相談を頂いていたので忌憚無い処を申し上げたのだけれど、そんな事を言われたご本人は「ナニ言ってんだコイツ」と思ったでしょう

こちらとしても、ただ遊びに伺っていたのならそんな不遜なことは言う筈もないのです




歌は世につれ世は歌につれ  と申しますがオーディオも全く同じで

音楽収録やスピーカーの技術、それを駆動するアンプも全て一本の糸で繋がっているのです

時代があり、そこに生きている人の人生があり全てを包む時代の空気によってです

私の長きに渡るオーディオの時間は
ずーと、そのことの確認の歴史でした、ただの一つの例外もなく







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「すてれお」 の再生

実は以前も同じことを書いたなあ
僕はオーディオを始めてからウン十年同じことを言っているんだなあ
進歩のない人間だとつくづく思う

http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-266.html

メタボパパさんがブログ仲間とやり合っていて、うまい表現を考えてほしい
と言われて書いた記事だ、随分とブログの世界から離れているけれどパパさんは元気しているだろうか?


この「音場」とか「定位」について、またまた愉快な書き物を見つけたので少し掘り下げて考えて見たいと思う


その名もズバリ
「オーディオに定位は不要」と云うのだから、一周回って実に潔くてよろしい!

細かく書くのはもうメンドくさいので、興味のある方は上記リンクの過去記事を読んで頂きたい
それで以上終了なのだけれど、読み物として愉快なのでもう少し掘り下げてみよう


話は簡単だ
ジャスやロックのナマ演奏、クラシックのコンサートのどこにも定位現象はない。


SRを使用する電気楽器とクラシックのコンサートを一緒するところから説明しなきゃいけないのか?と途方にくれるが
少なくともオペラやオーケストラを聞きに行って目を瞑って聞いていても何処で誰が演奏して居るかは、交差点で声をかけられて全くどの方向かが分からなくないのと同じくらいには当然分かる


それは特段ステレオ的な聞き方なんかしなくたって

耳が2個付いている人間の構造上の問題なのだから否でも応でも楽器の所在はわかる・・・と以前にも書いた




ステレオ再生において、”定位”なる概念が生まれたのは、いつだろうか?


その答えは「マタイ」を聞きに教会へ行けばどんな人にも一目で分かるはずです
蓄音器なるものが発明される遥か以前のことですよ

画像検索したのですが、演奏会形式ではマタイの醍醐味を味わえそうな写真を中々見つける事が出来ませんでした
その中で流石!の

マタイ_convert_20180116024910

魂のバッハ・カントル  リヒターです

もう一枚、マーベラスな配置を実現したのは

まったい_convert_20180116024330

やっぱりと言うか アーノンクールでした

Bachはマタイに立体音響の効果を織り込んで=演奏時に立体的に聞こえる音を期待して作曲したのですよ

ステレオレコードで聞く事で、バッハの想いをより正確に受け取る事ができるでしょう




当たり前だが、名盤の宝庫であるジャズ・クラシックのモノラル盤にも定位なんかない。


モノラルレコードを聞くと広大な音場情報が入っていて、それは21世紀の最新優秀録音盤なんかでは足下にも及ばないリアルな再現になります

モノラルどころか、蓄音器でSPレコードを聴いても天井の高さが見えるように分かります

大変恐縮な物言いですが
再生側の微少信号のクオリティが不十分な環境で音楽をお聞きになっている場合には絶対に音場感を認識出来ません



そして、音像は点じゃなく、馬鹿でかく肥大するのが正しい。
何故なら、ナマ演奏の音像はとてつもなくデカいから


これは、個人の自由で・・・といってあげたいところですが

胴の長さが40cm程のヴァイオリンを10m〜15m離れた場所(客席ね)から聴いてとてつもなくデカイ音像に聞き取れるとなると・・・困りましたね  とてつもなく困りました



前略・・この設置を実現できれば、モノラル盤から、演奏家の心が聴こえて来る。
モノラル盤が上手に鳴れば、ステレオ盤はさらに向上することが経験から分かっている。
結果として定位に優れる盤もあるかもしれないが、
演奏家の心が鳴っていれば、定位などラーメンの”なると”と同じようなモノだ



かと思うと、こんな鋭い感性も持ち合わせていたりするので余計に困った事だ

「なると」でも「チャーシュー」でもいいのだけれど、ステレオ再生における定位が勝手に付いてくるナルトのようなもの・・これは良い表現だと思う


音場情報はレコードの中にもう既に入って売っている(実際は入っていないレコードの方がはるかに多い、下記参照)
聞き手がいるとか要らないとか、出すとか出さないとか言うべきものとは根本的に異なる

ナルトもチャーシューも入っているならありがたく食う
好き嫌いやアレルギーとかで食べられない食品がある人は、本当にかわいそうに思う

作り手(ラーメン店主も作曲家も演奏家も同じ作り手)が考え抜いて時には命を削って作ったものは
一見取るに足らないと思う人がいるようなナルトであっても入ることで完成しているのです

聞き手が手前の嗜好で要る要らないなどと言い出すのは、僭越至極だと肝に銘じ厳重に慎むべき事です

あなたはモーツァルトを聞きながら「ここのフルートは要らないな」なんて言いますか?




まあ、結論は

そもそもオーディオに定位なんてありません

定位(音場)情報はレコード(CDでも良いが)に入っています
その情報を聞いて脳が認識した際に、脳内で定位を再生成する人間の脳のメカニズムなのです


オーディオ装置の使い方や能力や特徴とは無関係です
したがって
「これは音場型スピーカーですね」
「バッフルは狭い方が音場作りには有利」だなんて聞くとコメントに困ります、お前が「音場」作るなよー  って



さて、その定位を感じる為には以下のような、極々簡単な条件があります

・2chステレオ録音された音源であること
   ほとんどのJAZZやPOP'sの音源では立体的音場再生は不可能です、レコードに音場情報が入っていないからです
  それらには、パンポットと音量差による多チャンネルモノラル信号しか入っていません


・再生装置が、楽音(ヴォーカルや楽器の音)から40〜50dB小さな音を再現できる能力を持つこと
  理由は、この暗雑音ギリギリの微少信号の中に方向や距離感を再現するための情報が入って居るからです
 それはピアニシモとかシャツの擦れる音などというレベルでは無く、音なき音=空気の動きのような微少信号です



マニアの方と話していると
ピアノは難しいとかオーケストラはもっとむっずかしい と言うのはよく聞く話です

でもそんなのはプレイボタンを押してヴォリュームを上げればいやだって出てきます
何も難しいことなんかありません

本当に難しいのは、耳には聞き取れないほどの  音ならぬ音=微少信号を正しく再生することなのです

淡雪のように、儚く脆く、すぐに壊れて消えてしまいますから







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人真似で買ったレコード・・・結果は?

そうなんです

そろそろお暇しようかと、飲み残しのコーヒーなどをぐいと呷ったその時、レコードにニードルがコンタクトする「ポツ.パツ」という音が聞こえてきました

オーディオとは簡単なものです、ニードルのタッチダウンの音を聞けば全てがわかります
このタッチ音ならば悪い音がするはずがありません

リードグルーブを進む一時のしじまの後に、抑えたしかし力に満ちたアカペラのmezzoが滑り込んできました
カンツォーネかジプシーの音楽の様な悲しみを帯びた旋律でしたが、聞いた記憶がない曲です

1分ほどでしょうか手を止めてその声に聞き入っていました
すると、とてつもない実体感を伴ったギター伴奏が歌手の左奥3mほどの位置から飛び込んできたのです

これには心底びっくりして、何十年ぶりかにオーディオの音を聞いて腰を抜かしそうになりました
ジャケットを見せてもらうと、大して古くもない年代のレギュラー盤だったので拍子抜けしたことをはっきりと思えています


PICT4894.jpg

ベルガンサ先輩の「スペインの歌」  1974年のリリースとありますから最新録音盤!ですね(笑)
伴奏はイエペスのギター一本で全曲をカバーしています

我が家のKlangfilmではギターの胴鳴りの実像が全く及びません、最新録音そのもののスチール弦の振幅しか感じられず、ギター独特の乾燥した薄板が共鳴しあって膨らんだり縮んだりする様子が伝わってこない





その時私は鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていたでしょう
Kさんとオートグラフ・システムの構築に取り組んでまだ3ヶ月ほどしか経っていないのにこの出音は一体どうしたことなのでしょう

ポケーッとした頭で、どうしてこんなことが可能だったのか?遠くにベルガンサを聴きながら考えました



・とりあえず、一回ご自身の趣味嗜好を封印して、機械的な正しい使い方を受け入れてくださったこと

・・・・結局、ラインに入る全ての機材をメンテしてどこにも不確定要素を残さなかった
このことによって、途中「この機械が悪いかも?変えたほうがいいのかも?」とは一度も議論にならなかった


・開始して2週間ほどで音楽の姿に変化が出始めてからは、ご自身の「求める音」「好きな音」という音を良くするために一番障害となる意識を捨ててくださったこと


・当初描いたグランドデザインに沿ってこちらで手配した決して安くはないパーツに対して、100%何の疑いもなく採用していただけたこと
  

・・・・実はこれが難しいことで、部品を買う前から「音が気に入らなかったらどうしよう」「買う前に試聴できないかな?」なんてことを言っている様では全くお先真っ暗だ


以上のことは文に書くことも、まして読むことはとても簡単なことだ
しかし、やれと言われて簡単にできるものではない、ここを理解できずに波乱万丈の(音もお金も)オーディオ人生を送っている人を数限りなく知っている。残酷な、しかし疑いようのない現実だ





一つ、後日談を申し上げて今回のテーマを結びましょう


プリ・パワー間にお手持ちのケーブルを使用して問題が出た、「バズ・ノイズ」を引いている。ならばショートさせましょうとプラグを開いた時、ケーブルを見てとても嫌な気持ちになった
私はケーブルの音の評論なんかするつもりはない。構造を見て良からぬ気配を感じただけ


Kさんに聞いて見た。
「外国のガレージメーカでF◯ Aという会社のもので新品なら10mで数十万円以上するもの」とか

その構造、絶縁体の色や手触りからしてカナレ辺りと同じ工場製だろうか、だとしたら随分と吹っ掛けたものだ

ちょっと変えて見ましょうかと
その時持ち合わせていたバランス・ケーブルは長さが足りなかったので2種類の物を繋いで差し替えた
EMTを買った時におまけで付けてもらった物と、klangfilmのアンプラックをバラした時に一山いくらで買ってきた古いケーブルで、合わせても5千円ほどだろうか?

その時はKさんと、会社のMさんと私の3人がいたのだが、ケーブルを変えて音を出した瞬間に3人とも顔を見合わせていた

一休さんの虎退治ではないが、絵に描かれていた虎がその絵から抜け出して目の前にスックと立っていたから




この話には教訓がたくさん含まれるが、一つだけ・・・・

システム全体の整備が終わりスピーカーから望みうる最良の音楽が出現したその後にケーブルを変えたので意味があった

現状の音に納得できない、好みに合わないなど不満があり
ケーブルや真空管やその他の「テクニック」を使って「いい音にしてやろう」ではいつまでも同じ平面を回り続ける恐れがありましょう



まず、80点の土台を作る
ここに行くまでは必ず数字的な根拠が必要なのです

家を建てるのに設計図もなく、水準器や定規すらない状態で「自分が気持ちよければ」それでいいと工事を開始したのではまっすぐな家を建てることはできません




Kさんの音はこれから10年かけてKさんしか出し得ない音に育って行くでしょう

個性というのは自分から発表するものではない
一心不乱にその道を歩めば、時を経て周りの人から「あの人らしい音だ」と評価されるものです
「俺の好きな音はこうだ」なんてやるのはもっとも恥ずかいことと慎まなければいけません



逆に、Kさんがグランド・デザイン(設計図)を踏み外して好みの音にしようと、ケーブルや真空管を取り替えるならば瞬く間に10点の音に下がってしまいます

音を忘れて、10年間ただ音楽を聴く
その末に恐ろしいほどの個性と響きが付いてくることは小布施はBUDさんのマスターが証明してくれています


それほどにオーディオとは儚く、脆く些細なことで価値を損なう反面

実にシンプルに簡単にいい音がするものなのです

どんな音にするかは、あなたの頭の中で「もう決まっています」それ以外の音は決して出せません















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この家の音には敵わないなあ と 思った  (証拠編)

オーディオの本懐はなんぞや、と考えるとき
これを通じてサーブされる楽興に涙することであるというなら反論も少なかろうと思う

そのためには、演奏法や人気歌手の動静にばかり目がいくレコードバカでは片手落ちだろうし
10年一日のごとくおなじCDを握りしめて音の些細な違いの評論に終始するオーディオバカであってもまた本懐は遂げられまい

音を聞き分けるには音楽が必要で、音楽を楽しむにもまた音を聞く以外にないというのは、改めて申すまでもないことだがこんな当たり前のこともつい忘れられているのような気がしてならない




では、今日の本題ですが
あなたがオーディオのお友達の家に行って一緒に音楽なりオーディオなりを楽しんだとしましょう、今風にいうとオフ会とでも言うのでしょうか・・・WEB上のオンラインが生活の主線だなんてずいぶん突飛な発想だと思いますが・・・


そこでもし
ああやられたなあ、いい音だなあと関心した時にあなたは明確な行動に出ますので悔しくたってまずは素直に負けを認めて足元に平伏しましょう(笑)

・・・それはある1曲とセットになった局地的敗北なので、何にも気にすることはありません
よくぞこのCDを見つけてきて、ここまで上手く鳴らしたねえ と、快く勝者を讃えてください


オヤ!今そこのあなた、ポケットから徐ろにスマホを取り出して
かかっているレコードやCDのジャケットをパシャりと写真に撮りませんでしたか?

そしてこう思ったでしょう、帰ったら早速ポチッとして同じCDを手に入れよう

私個人的には、この行為は「オーディオ敗北宣言(爆)」なんです



上述した通りオーディオから出てくる音を通じて音楽を聞くので、音楽だけでなく音にも関心したからこそ初めてそのソフトを欲しいと思うのです
そこには、こんな心理が働いています

なんて素晴らしい音と曲なんだ
このCDを買えば我が家でもこれと同じ音響的成果を手中に収めることができるのではないか!?






大きな恥を忍んで告白しますと、私もいくつもの軍門に下ってきましたよ

PICT4866.jpg

これはその代表的な一枚で
盟友Hさんの、川中島の和室の夜
WE728BのダブルにALTEC804+WE12025ホーンで叩き出した若きホロヴィッツ渾身のクレメンティで、冒頭の一撃から頭蓋骨を打ち砕かれんばかりの衝撃でした

また、この夜聞いたセルのマーラー4番は、この時ほど第二楽章のFiedel(の音)が悪魔的に響いた経験を私は持ちません

あの夜のスピーカーやアンプの白熱灯に照らされた姿や庭の様子、床に敷かれた中国段通の模様の一目まで克明に脳裏に焼き付いて離れることは決してありません、まさに五感に刻み込まれた衝撃であったのです

当然ですが2枚ともすぐにあちこち手を尽くして入手しました、もちろんオリジナル盤です
到着が待ちきれず心を踊らせて聞いてみました

結果はご想像の通りです

H邸で聞いた演奏に「足下にも及びません」

このようなレコードはまだたくさんあるのですが、
いずれも愛聴盤までには出世できず・・・なぜ「足下にも及ばないのか?」は大きな壁になって立ちはだかった


結局のところ自分にとってこうしたレコードは

「Hさんのレコード」なのであって自分のモノになりきれない、と言うよりは一生かけてもなりっこないモノだったのです

この当たり前のことが解るまで長い年月がかかりました、自分は物事が分かっていない未熟者だと思い知らされました
それが分かって以降、人様の家で聞いたレコードやCDを追いかけて買い足すことをほとんどしなくなりました

歴史的名盤や聞いてみたい盤を購入するのと並行して、できるだけ
誰かに教えてもらったのではない、書籍やネットで紹介されたものでもない未知のレコードの中から、純粋に音楽だけに感動を受ける=つまり前知識や先入観や過去の評価を受けていないレコードを探し出す事を心得るようになりました

実践としては、訳のわからないレコードを鼻の効きだけで闇雲に買うのですから、100枚買って1枚残るだけかもしれませんが、何年も続けていると徐々に打率が上がって今では相当な確率でヒットを打てるようになりました

PICT4867.jpg

近所の書店のエントランスに出張販売に来ていたレコード売り場で見つけた。米)コロムビア6目オリジナルなのに3000円ほどで買ったと思う、不人気盤の特権
レーニャの3文オペラなんて識者にしたら著名盤かもしれないが、少なくとも自分にとっては何もかもが初見で購入



前回から続くこのテーマは、気づいていない人から見ると「何おかしなことにこだわっているんだ、コイツは」と思うかもしれません

オーディオの使い方(私の嫌いな言葉で「使いこなし」)でも同じなのですが
自分以外の誰かが言い出したことや選別した後の後追いをいくら頑張っても、「そこそこ良い音が出ている」以上のモノが出来するとはとても思えないのです


本物と偽物の見分け方は「取扱説明書」もなければ「骨董店店主の太鼓判」や「公衆トイレの落書きのようなネット上の書き込み(このブログも含めて)」なんかも何一つ信ずるには値しません
自分の感性を磨き、理由は語れないけれど偽物を見抜ける能力を自分自身が獲得するしかありません




最近、こうした事を確信するような体験をしました

一つは、小布施町のJazz喫茶 BADさんのお店の音
マスターが「これが一番好きかなあ」と言ってかけてくださったショスタコ自作自演のプレリュードとフーガ
私は全く初見でしたが、その音を聞いて些か背筋に冷たいものが流れるような凄みを感じました

こちらのマスター個人はオーディオには全く頓着せずハード面は専門家に依頼して喫茶店を始めました
お店を始めてから15年ほど経つとのことでしたが、その間オーディオマニア的な「音質向上策」には背を向けて「グレードアップ」もすることなく、ただ15年好きな音楽を聴き込んでこられた結末の「凄み」なのです
マスターだけの世界にある音でした、決して人真似で到達できるような座標面には存在しません


あのレコードを我が家でも聞いてみたいと思いますが、あんな音は絶対に出っこないと分かりますので手が出せません

一人の人間の音楽人生から染み出した音なのですから、別の人生を歩んで来た私の家では別の音になるのは至極道理なことなのです



後編に続きます







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この音には負けたなあ!と思う瞬間 (序)

さて、前回に予告したハイレゾ・レコーダーのレビューですが・・・
あまりに虚しいのでやっぱりやめました

私のうちと全部同じ装置を組んでいるお宅はゼロですし、よしんばコード1本まで全て同じであったとしても出てくる音は全然異なるのがオーディオの本質なのに、パーツ(レコーダー)一つの印象を語ってもクソほどの意味もないと思うからです


            フルトベングラーっぽく     「音と言葉」


余談ですが、ずいぶん前にオークションに真空管アンプを出品した際にこんな質問がありました

「もう少し詳しく、音の印象を教えてくれませんか?」

これには困ってしまいました
お相手の方のスピーカーやプレーヤーが分からないのに、なにを書けばいいのでしょう

手詰まりになった私は、机の下に置いてあった雑誌に同じ出力管を使ったアンプを見つけ、その記事を写して誰々さんの記事にはこの様に書いてあります。と返信しました

たいそう喜んでいただいて、こちらの予想以上の金額で落札いただけました
仕事としてのマーケティングとしては成功の部類でしょうが、自身の気持ちはやるせないものが残りました




私がオーディオって凄いなあと思うのは

どんな高額な装置を並べたどんな大きな部屋でも
また空想や妄想を元にどんな立派なご高説を吐いても

結局のところ  「音は出てしまう」 こと・・・すなわち

音を聞けば全て明白になる  ことだろうと思う

言葉なんて一つも無くたって  あるいは美辞麗句の百万言を費やそうとも 音は正直でそして時に残酷だ





2年ほど前に、あるネット上のコミュニティーのメンバー間でいざこざがあったのはこのブログでも少し触れた

その様な衝突は日本全国どこでも多少は起きているだろうし、幾度か耳にしたこともある

自分なりに衝突の原因を考えると

自分の好きな音 だとか流儀  を硬く信じるあまり他の流派を認めない狭量の問題とする



さらに「俺の好きな音」は中々に困った思想で、その家の音がいつまでも良くならない大概の原因もまた「俺の好きな音」にあるとも書いてきた

つい最近も体験したけれど
「俺の理想の音」とやらがある人は「目の前で出ている音」と理想とのギャップばかりが気になって、いつまでも心がすっきりと晴れることがない様子だ

それが自宅の音ならば
オーディオは泥沼だ、地獄だ、あれを買わなきゃ、セッティングをいじって、ケーブルを変えなきゃいい音にならない・・・と音質対策という名の責任転嫁(本名グレードアップ)に走るし

他人の家の音ならば
望まれもしまいのに評論家気取りで、ここがいけない、あっちが気にくわない、とやるので衝突になる

どちらも生まれ変わらなきゃ治らないほど、絶対的に困ったことだ



コレも何度も書くが、私には理想の音も好きな音もない
だから自分の家でオーディオを聞いて良い音だと喜んだこともないし、悪い音だと落ち込むこともない
当然、音楽を聴きながらオーディオの音をどうしようと考えることもない

いい録音だとか素晴らしい演奏だ なんてことは毎日言っているがそれは100%レコードへの感想だ
オーディオ機器の中には音は1秒だって入ってやしない=無い物の感想は述べることができない


蓄音機もハイレゾもあればありがたく聞く どっちがいいも悪いもない  演奏の良し悪しにメディアは関係ない
繰り返しになるが、劇場用のKlamgfilmよりも20cmフルレンジ(Lowther)でのみ涙できるレコードもこの世には数え切れないくらいあるのだ




上のコミュニティーには私も少し加入したことがあったが、
そこでの話題の中心は十年一日のごとく「音質向上策」について無限ループの様にぐるぐる回っていて

初めの頃は、そのうちキャリアを重ねて変わっていくのだろうと思っていたがこちらのボキャも尽きて、掛けてあげる言葉が見つからずにフェードアウトしてしまった
それから半年ほどで、前述したトラブルが勃発したので幸いにも渦中にあらず胸をなでおろしたものだ




そのころ一つの、見逃せない大きな発見をした 
というのが今回のテーマなのでご紹介したい

その昔、オーディオマニアの先輩の五味康祐さんが書いていたけれど

オーディオマニアの友達は所詮碁敵の様なもので、他所で良い音を聞いたときはナニクソと思ってまた切磋する関係

こんな感情は何と無くわかる気がする
悔しくもいい音だったなあ、なんて思った時には少しでも見返してやろうと無意味な投資をしたりするものだ



ではでは、
貴方がどなたかの家を訪ねた時に

こりゃ一本取られたなあ!いい音だなあ と、頭では認めたくなくても心が認めている
絶対バッチリの判定法があるので、次回お教えしましょう



ここで、自分が楽しめばその音がいいじゃん、勝ち負けなんて関係ない!なんて間抜けなコメント書かないでね
そおいう次元のことじゃないから







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