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元旦にフランスから荷物が届いたお話し

能登地方を始め地震により被災された皆様、羽田空港事故の被害者の皆様にお見舞いを申し上げます


我が家では呑気な話で大変恐縮ですが、元日のお昼過ぎに一つの荷物が届きました
まさか元日に配達があるとは思っていなかったのでビックリしました
小さなフルレンジスピーカーが1組です


1960年頃のラジオに使われていたオーバル・スピーカーは22cm x 13cm程の大きさで、マグネットなんか
「麩菓子かマシュマロ」一つ分の大きさしかありません


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とりあえず音出しはしてみようと空いていたハーベス(吸音材や補強板を撤去済み)の箱にサブバッフルを用意しセッティング完了です

本来はラジオの付属品ですから、ベークライトの小さな筐体に入っていた程度のスピーカーです
これを高音質だのHi-Fiだのを期待して使うのは無粋もいいところで、バッフルでも良いのですが大きすぎるのはまた粋とは言えません

なので折り曲がったのが良いのです、音響的面積が広がりますから。もちろん裏蓋は必要ありません。


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ネットは自分で貼りました。少し歪んでいますしやや明る過ぎかと思いますが、雨の多い英国ものではなくラテンのスピーカーなので良しとしましょう




初めは5年ほど前にFMをエアチェックしてCD-Rに焼いたのを聞きました、そんなCDを選んだのですから初めはこのスピーカーにそれほど期待していなかったのでしょうね

2015年にWineで行われたルシュー(So)のリサイタルのライブ録音で
フォーレ、ルクー、アーンなどのメロディー(フランス語で歌曲)です、一音めが出る前から脳味噌がぶっ飛びました


ヴォーカルの声がどうとか伴奏のピアノの音が・・・なんて些末な問題ではありません

Wineのコンツェルトハウスの空気が鳴っているのです

これはタダ事ではない、なんでこんな事が起きているのか?少々間を開けて頭を冷やしてから色々と聞いてみました



現在の相場で計算すると「オイローパ」の1/300程の値段です、ではオイローパが300倍 音楽再生に有利なのか?・・・

まあ、その通りですね


ただし、特定の録音をとある環境下で聞いた場合にその価値観が逆転する場面があります

一つのスピーカーの音が気に食わないと思っていてもほんの数mm動かしただけで評価が一変するのと並んでオーディオの本当の楽しさはこんな些細なところに隠れていて、本当にごく稀に顔を出してくれます


4日ほどかけていけると思ったCDを聞いてみました
思惑通りだったのもあったし、当てが外れたのもありましたがレコードで聞けば評価はまた変わるでしょう

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オーケストラやオペラの会場の広さの印象は勿論大型スピーカーに及ぶべくもありませんが、精巧なミニチュアの「ワーテルローの戦い」をみているかのような・・・フランスが負けてはいけませんが・・・クリュイタンスのベートーベンはオイローパではどうにも心に響かなかったのです

同じくLPレコードでは神の国・天界からピアノが降って来るようなヴァレンティンのピアノですが、こちらのコンピセットは我が家のどのスピーカーで聴いても「パッとしない音」の印象でした、マスターの出どころの分からない格安セットだからと諦めていたのです
それが、手のひらに乗るような小さなスピーカーから輝く透明なピアノの音が叩き出されてきました


「のだめカンタービレ」パリ編の初回、のだめがパリのアパルトマンに着いて直ぐに備え付けのピアノを弾きます

「わあー〜、空気が軽〜い!ピアノの音が空に広がって行く(意訳)」と言ったのを強烈に記憶しています

その時ののだめと同じ感想を空気の重い日本で言えるとは恐るべきラジオスピーカーです


P.S

実はちょっとドーピングしています
以前メンテをさせてもらったWestern Londonの300B-ppアンプをUTCのトランスでデットコピーしたアンプしか空いていなかったのでそれを使いました
まさか当時のラジオにこんな大きな規模のアンプは付いていません

ただし少々中低音が逞し過ぎるので、この闊達なスピーカーにふさわしいもう少し軽妙なアンプを用意したいと思っています

コンポーネント単体で(は音が出ないので)優劣を付けてもなんの意味もありませんが、組み合わせ(て音が出)た途端に厳しくも正確に成否を突きつけられます
オーディオを何年やってスピーカーやアンプを何十台買っても
人間の血や文化、伝統の物語をいつもこちらの心に刻まれているようです

くううー だからオーディオは面白い!ですねえ







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今年最後の大仕事  ALTECスピーカー

今日は12月30日、各地の高速で大渋滞が起きている頃だろうけれど折角の楽しい年末年始のお休みなのでどちら様も事故や怪我のない様にしていただきたいと思います


さて、この渋滞を避けるべく26日に約900kmを往復して素晴らしいスピーカーを取りに行ってきました

5年ほど前、当時はJBLのWウーハーをマッキントッシュのマルチで格闘していたMさんと「音に関しては距離をとって、もう少し音楽に寄り添ったオーディオに取り組みましょう」と二人三脚で頑張ってきました

その最後の仕上げで、ヴォーカルやコンテンポラリーのステレオ・ディスクを聴くためのスピーカーを探していました


1970年以降の煌びやかな音を出すJBLに見切りをつけていたので選択肢が狭くなってスピーカー選びには随分と苦労しました
やっと目的にピッタリなスピーカーに出会ったのでしたが、発送が出来ないとのことでしたので、ここは一番私が行くしかあるまいと大阪の枚方パークのちょっと先(西野七瀬氏の実家の近くだと言うモチベだけで・・・ウソです)まで


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ALTEC 15インチ 2Wayフルレンジ  602Bが米松箱にインストールされたALTECのオリジナルシステム

よく乾いて響きが最高な箱に入っています、日本では見かけた事がありません
1958年頃にアメリカで販売された物ですが、当時は代理店が無く後年中古品で輸入されたのでしょうが、傷もほとんどなくユニットも過去に一度も外された事がないので今日作られたかの様な極上品です


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オリジナルは1954年に作られたユニットで、業務用の604同軸型やA-5、A-7に隠れた製品だったので製作数も少なかったのでしょう、アメリカのオークションでも出現数が少なく今となっては結構な金額で取引されているのです

他方、日本のオーディオマニアは独特な心情を持っており「最高価格品」のみに興味があってこの様な家庭用のスピーカーは売れなかったのであまり輸入されませんでした

特にエンクロージャー 入りスピーカーは「空気に高い金を払って運んで来る放蕩者」と言われ輸入業者に嫌われていたのです
当時の(今も?)日本のオーディオ業界は「ユニットさえあれば箱なんかどこで作っても同じ音がする」と極めて残念な認識=経営方針があって、日本の家庭の音の進歩を何十年も遅らせた原因になっていました
作家の五味さんがその著書の中で「第一にオリジナル・エンクロージャーありき 」と力説していた頃です



日本の狭い部屋に設置ディスタンスの遠い業務用スピーカーを押し込んで目の前で聞けば、中高音が突出したバランスの崩れた音がするのは必定で「低音が出ない」は長く日本オーディオ界全体の合言葉でした

ならばとウーハーをダブルにすれば・・・アンプをマルチにして低音の音量だけ大きくすれば・・・と泥沼にはまっていった・・・Mさんもその1人だった訳です

我が家も30年以上業務用ですし、同様の方も沢山知っていますがサブウーハーやマルチにしなくても満足して使っている人が見えるのも事実ですから、オーディオが天国か地獄かは使い手の受け取り方次第なのですけれどね



まあ、こんな歴史的背景もあって令和の時代にこの素晴らしいスピーカーは信じられないお手軽な価格で入手出来ました。そんな機会ですから900kmの距離なんでへっちゃらさ!と思って出かけたのですが、流石にあれから3日間は腰が死ぬほど痛いです


突き板は高級品の証「マホガニー」でバッチは1950-60年初頭の証「トスカニーニ・マーク」入りです

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当然メンテナンスは必要でしたが、裏板を止めていたネジ穴の緩みを埋めたり端子が錆びて接触不良を起こしていたのでクリーニングをしたりハトめの締め直しをするなどの要件だけでした


夜中に・・メンテが開けて音を聞いてみるのはいつも夜中になるのは何故でしょう・・フランク永井を聞いてみました


あ〜ービックリしたなあもう!
これほどまでに太くて、柔くかくて、しかも豪華絢爛なフランクさんは生まれて初めてです

つい先日Decca デコラで聞いたフランクさんは渋く光って時代の流れを感じさせました。一方ALTECから聞こえたフランク永井は今そこで歌っているかの様なダイレクトな実在感が圧倒的なのです

我が家でアメリカ製の名機が謳うのは何年ぶりのことでしょう
ずっと憧れていたのはこの音でした

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Mさん宅にピッタリ納まったALTEC
WesternのKSナンバーのアンプでドライブされます、役者が揃ったと言う感じです


今朝メールが届きました

「昨日はありがとうございました。あれから置き場所を変えたら低音の被りがスーッと抜けて豪華な感じになり、夕食もそこそこに今朝まであれこれ聴いてしまいました」


レコードも結構ですが、ご飯はしっかり食べましょう! と返信しました
腰の痛みはまだ引きませんが、疲れが取れるありがたいお便りでした





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Pathe マグネチック・スピーカー メンテナンス完了?

17歳の時に初めてフレンチ・メロディーを聞いて以来自分にとってのオーディオは常にこの為にありました
フォーレ、ドビュッシー、アーンと言った綺羅星の如く居並ぶ近代フランス芸術の結晶だと思ったのです

でも、フランスの産業といえば「農業」「観光」「ワイン」・・・で、良いオーディオの産地だ!とは・・・勿論現代オーディオではフランス製の良品はありますが・・・1950年代には言えなかったでしょう




昨年、ついにPATHEの蓄音機に手が届き、後は電気再生用のスピーカーが欲しいなあと思っていた時に見かけたのがPatheのマグネチックの中でも大口径の「カテドラル」でした

NYから購入した時の顛末は以前に記事にしました
骨董屋のオヤジさんが550ドルの値付けをしていた物(妄想)をe-bay経由で2000ドル(送料別)以上払って決死の覚悟で購入を決意しました

その半年後にも別のカテドラルが随分安価で出品されていました
その個体は後年に大幅に人の手が入った物で「ああ、高かったけどオリジナルのを買えてよかった」と溜飲を下げた物です



しかしながら、ほとんど100年前に作られた電気製品です
全く修理がされていなかったのは天からの贈り物でしたが、機能としては全く使い物になりません

エッジを抑えていたゴムのダンパーは硬化してポロポロ落ちてくる始末
そのゴムを覆っていた絹のパイプに至っては、4世紀の聖人のミイラを覆っていた聖骸布の様に触ると粉になりました


まずはエッジを止めなくては話が始まりません
ホームセンターを覗いたり、Amazonで検索したり、結局モノタロウから3種類ほどのゴムパイプを購入しました

ゴムが剥き出しで紙のコーンを何年も圧着すると加水分解でゴムが溶け出す心配があって絹のパイプを被せてあったのだと思います
しかし現在ではそうそう簡単に入手できそうにないのでこの代替品には苦労しました

スタジオ機器の販売店からケーブルを覆う為のネットスリーブを購入し試したところ、すこぶる良い結果が得られました。この度はこれに出会たのが最大の幸運でした
短く押し込むと直径が大きくなってゴムパイプを飲み込み、長さ方向に伸ばすと狭くなってフィットしてくれる優れものです

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では、と   聞いてみました
いやいや、音量も取れないし歪みが多くてとても聴けた物ではありません



そこから長い長いピッタリフィットを探す旅の始まりになりました

まずは意を決してコーンを外して駆動部の構造を把握することに努めました

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こちらに向かって来る細い棒が「カンチレバー」・・コーンを動かす
その根本の扇型の板が「アーマチュア」・・シーソー式で振幅を増幅させる
中央のアーチ型鉄板を止めているネジ


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簡単な図にするとこんな感じです(ネットでの拾い物です、ご不便の際はご一報を)


一口で言うと

「アーマチュア」が正しい位置にあるか?が勝負の分かれ目でした

最初は雲を掴む様な話でチンプンカンプンでしたが、こそこそ弄っていて偶然見つける事ができてラッキーでした

さて、ではその黄金のポジションにいつも居てもらうための「要件」とは何なのでしょうか?
オーディオでは常に最大の課題である「再現性」を掴まなければ単なる偶然で、もう一度不具合が起きた時にはまたラッキーに頼らなければなりませんが、そんな幸運にはもう二度と巡り合えないかも知れません。



これが作られたのは1920年頃でしょう、アホみたいな超絶技巧で組まれているなんて絶対あり得ません
コーン紙なんか剥き出しですから、子供の一撃でひとたまりもありません
そうしたら補修は「街のラジオ屋さん」が行ったに決まっているんです


髭が生えて、帽子をかぶった赤ら顔のいかにもパリの職人というあの人ですよ、細かい調整なんて出来っこないんだ(失礼)



そうだと勝手に思い込んでやって見たらすんなりとできる様になりました
やっぱりね、古い物と向かい合う時はその時代のそこに住んでいた人の気持ちにならなきゃ難しいのだ


・写真のセンターにあった固定ネジの締め具合
・コーン紙を取り付ける時の張り具合
・最後に正面にあった訳のわからなかった「ネジ」・・当初はいくら回しても変化なかったが

この3要素のバランスで音量が取れて音がビビらないポイントがありました


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銘板の下にあるこの小さなつまみに大きな役目があったみたい、未だに理由はよくわからんけど


このつまみの上には小窓があり、つまみの先に付いているピンが見えます
全ての調整がピタリとはまった時には、何故かこのピンが真上を向いた時に音量が取れてビビリが無くなります

構造自体は本当におもちゃみたいに簡単な物ですが、先人の努力と知恵には全く頭の下がる思いがします


修理が完了したこのマグネチックの出す音を聴いていると、オーディオに対する感性が変化しますね
大規模なオーディオの音も素晴らしいけれど、朧月夜には小さな音でフォーレを聞いていたい





10年も昔に録った、しかも大規模なスピーカーですみませんが、秋の夜長にフォーレをどうぞ





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この世に沢山のスピーカーがある理由とは?

例えば、ビートルズの全てのレコードの1音すら聞き逃すまじと頑張っている人

ブルーノートのモノラル盤をコンプリートしようとしている人



言うまでも無く、この様な方々はスピーカーを複数台持つ「必要性」は少ないでしょうが
その中でも、「モノラル用」「ステレオ用」と使い分ける人もいるでしょうし、リビングと書斎にも・・・など
いく種類かのスピーカーを複数台使う人もいるでしょう

ただし、私の様に100年の時間と各国の民族色の強い音楽を嗜好する人間とは、同じ3台のスピーカーを所有していてもその意味合いが大きく異なるのは自明です



この話題を考えるとき、いつも思い出す事は、オーディオを始めたばかりの頃師匠から

「スピーカー1台、アンプ1台でオーディオをやった気分になってるんじゃねえぞ」

もう、40年も前に聞いた言葉で、その間に自分は様々な捉え方をした様に思います


・世の中には星の数ほどスピーカーがあり、異なる個性がある事を知らないと自分の立ち位置を測りようが無い

・1台だけのスピーカーで「音が悪い」だの「音質向上」だの沼にハマっていては抜け出せない

・師匠はオーディオ店店主だから、沢山買って欲しかったwww  私には一度も営業をされた事はなかったけどね

・他にも沢山考えたが、
結局のところは伊藤喜多男さんも言っていた「一芸に秀でた者では社会で使い物にならない」

「多芸の一芸が重要なんだ」との感触に一番近いだろうか


たかだか、レコードで音楽を聞くに当たって

部屋の内装、調度、照明、果ては時計とかカメラ、勿論服装に渡るまで沢山のことを教えてもらったが、人間の幅を広げるのとオーディオ世界の見聞を広げよ。とは同じ目的のための避けては通れぬ「道」なのかと


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オーディオを聞きにお邪魔したら、こんな家から
こんな紳士が「やあ、いらっしゃい」って出てきたら・・・音なんか聞く前に惚れちゃいます
師匠に出会って以来、中々お目にかかれませんが

次郎さんも武相荘でオーディオやっててくれたらなあ・・・



さて、改めて記事にしてみて、昔の事など考える時間を持てました

まず、この世の中には何故これほどにも多くのスピーカーがあるのでしょう?
ビジネスとしてはあまり「旨味」が少なそうなのにねえ、何ででしょうか?

本当に唯一無二の「音の良い」スピーカー(アンプでも何でも)があるなら
この世にスピーカーは1つでいいんじゃね?って思いません?   せめて各価格帯に1機種づつで




この辺りにヒントがありそうです・・・オーディオを始めたばかりの人たちが

「どのスピーカーが音が良いですか?」

「あのスピーカーより、こちらのスピーカーの方が音が良い」

と、言っているのをよく耳にします
その意味ではオーディオ雑誌が新商品に「特選」だの「推薦」だのシールを付けるのは、初心者向けなのが分かりますね

「俺の好きな音がいい音」って段階の人にはこの世のスピーカーが10種類くらいしか無いことになっていて、自分のスピーカーはその中で唯一の最高にマッチした「運命のスピーカー」だって言い張っています

だけども、
他の家で自分家より高いレヴェルの音に出会うと「運命のスピーカー」をすぐに売り払って買い換えます


結局、
自分は何を聞きたいのか?を、まだ分かっていないから「俺が好きなんだから良い」にしか拠り所がないのです。

聞くべき音楽が分かっているなら、悩むことも「試聴」する事もなく買うべきスピーカーはハッキリするものです
音楽が「これを買え」って教えてくれますからね


ちゃんと「出会った」人は、何百件のマニアの家に訪問しても、どこで美音を聞いても微動だにせず
何十年も自分の分身のごとく同じスピーカーを使い続けるものです

これこそが、スピーカー1台の本当の姿ですけど、
そこにたどり着くには何台も使った経験の末でしょう、人生の最後にたどり着くべき「フナ」=替えの効かないスピーカーと出会った人は幸せです



ここまで、読んでいただいた方は、私の言いたい事はもうお分かりですよね

・美空ひばりのSP時代の歌を好きな人と

・1958年録音のオペラを沢山聞く私と

・イザベル・ファウストの最新録音のDSDデータを楽しみたい人と


この3人の思い浮かべる「良い音」は全く違う

よって、3人の求める「良いスピーカー」も全く異なる



と、いう事は

自分以外の人間と「音について」話をする時には

自分が「どんな音楽世界の住人」なのかを最初に宣言しておかなければ、オーディオ製品のブランド名や型番を振りかざして叫んでみても何の意味もないんだよね



ちなみに・・・

前回の冒頭で

「スピーカーの守備範囲云々で、スピーカーは1台あればいい」と口角に泡を飛ばしていた御仁のお宅には

先日、3台目のスピーカーにアンプ、プレーヤーのセットを納品してきました    ちゃんちゃん






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スピーカーは何セット必要か?

人間の脳の働きの不思議を感じた出来事でした


あるオーディオ好きの方と話をしていました

2人とも、多くのレコードを所有し多様なレコードを楽しみたいと語っているのに、思考の、発言のベクトルは180度正反対の向きから考えていたからです

大変に興味深いことでしたので、まとめて記事にしてみたいと思います



曰く
「僕はkaorin君と違って、多くの種類のレコードを聞きたいからスピーカーの守備範囲を狭くしたく無いんだ」


それに答えて私は
スピーカーの守備範囲(?そんなものがあるなら)それは使用者が狭くしたり広くするものではなくて、人間の創造物たるスピーカーは残念ながら完全な物は存在せず一つひとつ異なる音の個性があり、他方レコードに入っている録音にも全て異なる個性があるので相性という現象が存在するのです

よって、まことに遺憾ながら録音の時代や製作国が異なる多数のレコードを楽しみたいと欲するならば、大掴みに捉えても複数のスピーカーを用意せざるを得ません




ここで、もう少し注釈を添えるなら・・・

例えば、オーケストラ用とかピアノ用、ヴォーカル用、Jazz用などのスピーカーの分け方は全く同意しませんし
その日の気分で変えるなんて、デートに着て行くワンピースを選ぶ少女じゃ無いんだから、そんなわきゃありません


我が家で一番大規模なklangfilmのシステムの一番得意なジャンルは弦楽四重奏とピアノ、ギターです

もちろんオペラもこれで聞きますし、我が家の10枚に満たないJazzもこれで私はかけます・・まあどのスピーカーでJazzも乃木坂も聞くんですよ・・オーディオ的に何も求めていないのでどれでも一緒なんです

ただし、Jazzを専門に聞いているmomoさんが来ると

「クラシック聴いている人の低音だなあ」と怒られ?wwwますが、自分的にはむしろ褒め言葉を頂いたと喜んでいます

Jazz録音のコントラバスやチェロが膨らんでマズい音になることは、残響2秒に迫るウィーンの黄金のホールで楽器から放出された音の余韻が天上から降るように録音されたレコードが「それらしく聞こえるね」と言う褒め言葉になるのです


これは元々のスピーカーの個性であって私が決めた訳でも、そうなる様に「使いこなし(爆)」た訳でもねーんですよ

どのレコードをどのスピーカーでかけるか?は

レコードが「こうしてくれ」と要求して来ますから、その要求に耳を傾けて自分の甲斐性の範囲で出来るだけ「らしく」鳴ってくれる様な環境を用意するのが私の仕事です


レコードを買った時に各スピーカーでひと通り聴いてみます
何秒で分かりますよ、活き活きと歌い始める組み合わせと、妙に居心地の悪そうな相手がいる事はね


レコードとスピーカーの相性なんてのは彼らが勝手に決めるものだから、スピーカーの守備範囲なんて概念はそもそも私には無いんですよ





ここまでで幾ばくかの方に賛同頂けたと思います

次に少し具体的にどのような棲み分けをしているかをご案内しましょう


まず最初にお伝えする事は

我が家には、1910年頃にプレスされたSP盤から、1940年台のモノラルLP盤 1960年頃のステレオLP盤
1980年頃よりデジタルになって2000年以降の最近のCD盤、DSDのデータまで110年間の音源があります


まず、確認しますがこれらの異なるフォーマットのメディアは1台のオーディオ・プレーヤーで再生できるでしょうか?

もちろん「否」ですね

形状や方式は勿論、制作の時代背景や社会的な意義、作り手の思いは時代の移り変わりとともに大きく異なります



では、次の問いです
1910年のSP盤もデジタル化され、1950年のモノラルLPもCDやデータで入手できる時代になりました

録音の状態はご想像の通り古めかしい物で、音の印象も現代録音とは随分と異なります
F特だけとってもSP時代は100Hz-4000Hz程度ですし、初期のLPも60Hz-12000Hzがせいぜいです


こうした旧録音と、2023年にDSD512で録音された音源を、音色はもちろんですが、音楽の持つ世界観や背景も重要視して再生したいと願う際に同一のスピーカーで鳴らすのを良い選択だと思いますか?


もう少し直球に考えて

25Hz-50000Hzまで再生できる=その為に85dBまで能率を落とした最新型スピーカーでリ・マスタリングされたSP時代やモノラルLP時代の音源は上手に再生できるのでしょうか?

残念ながら音楽から受けるエネルギー感は元のソースのせいぜい半分程度に減じるでしょうね

スピーカーのエネルギー変換効率は能率100dB/m.wのスピーカーで7%弱だそうです
能率の低い=音響変換率が2%程度のスピーカーはアンプのエネルギーの多くが熱に変換されるので、大きなパワーを入れていけば音量は取れますが「力で押さえ込んで鳴らす感じ」となり「打てば響く」様には鳴ってくれません


例えて言うならば、高速道路を同じ100km/hで走るとき、ヒルクライムのカーブを下るとき

マツダのロードスターやMGのライトウエイト・スポーツで走るのと

レンジ・ローバーで走るのとでは自ずと乗り心地が変わるのは当たり前のことです



以下は、本当によく聞く意見です

「最新のスピーカーの方が性能が上がっているので、古いレコードもより良い音で聞ける」って言う人がたくさんいました

想像でなしに耳で聞けば1発でわかると思うんだけどなあ・・・中々そうは行かないのが現実の世の中なんですよねえ


ロードスターのドライブフィールとレンジ・ローバーのそれの違いが判らないと仰る人もいるでしょうから、そう言う人はどちらでも一緒で良いとは思いますが

私は絶対嫌ですよ



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クリス・コナーのCD盤を蓄音器でかける!の図です

もちろん、こんなことしても再生できません。逆もまた然りで、古いメディアは最新の機械でかかりません
馬鹿なことをして!って笑っておられるでしょうね




逆もまた然りで

最新録音のハイレゾ・データを1950年代の電蓄で再生しても、録音の魅力を最大限に表現する事はできません
こちらは多くの方が「その通り」と言っています

ノイズ・フロアが低く、微小信号の方向にDレンジの広大な音源こそ
先ほど取り上げた低能率で広帯域な最新スピーカーによってベストマッチな音響を発生できるのです

当たり前ですよね?



続きます










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