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ちっちゃいEQアンプ

kさんのご自宅のMonitor Gold in オリジナル オートグラフは現状でも世に並ぶもののない様な威容を誇っているのはそれを聞かれた多くの方の意見が一致するところだと申せましょう

その上で、もちろん現状に全く不満は無いけれど遊び心が湧いて来て、ゲルマン人の作った針を使ったらどうだろうか?
と、ご相談を受けました

大体、狙っているところの想像はつきました
おそらく、ドイツリートをほんの少しだけ硬質なエッジの効いた発音で聞きたいと思われたのでしょう

今の私は、意地悪な心持ち(本当の意味でご本人のためだと思うから)で、「音を良くしたい」から頼みたいと言う要望は一切拒否しています
そんな(手持ちの機器への)裏切りの気持ちで「グレードアップ」を図ろうという浅ましい下心に答える気には到底なれません

しかし、たった1枚のレコードやCDに対してでもなんとか本質に迫りたいと思う気持ちには全力でお答えしようと思います



ご要望は以下の通りです

・Ortofon SPU EMT TSD-15を対象としたRIAA-EQアンプ
・入力はハイ受け
・出力もハイ出し
・次段はプリアンプのライン入力(Ecc83 2段)
・高さは8cm以下
・大きさはお弁当箱程度
・しかも電源内蔵

中々の厳しい条件ですね
厳しい要件のほとんどは電源内蔵によるノイズの問題になるでしょう

しかし、回路はお話を聞きながら既に決まっていました、これしかありません
でも、その回路での制作の事例は恐らく地球上では皆無でしょうし(つまり、宇宙初?)成功の保証は全くありません


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この写真の上の奴ね
わあ、懐かしいなあ、ブログを始めた頃はV76も使っていたんだ


回路図はネットでもありませんが、仕様書の中にはちゃんとありました
この回路はちょっと「やっちゃって」まして、アンプではまず使うことのない部品を増幅の核心的箇所に挿入して成立させています
その辺りが成功するか分からない。という部分なんです

年明けから

・回路・定数の決定
・部品手配の所でコロナに巻き込まれて外国から荷物がつかなかったり
・シャーシの手配
・実装の入れ込み・・・部品配置のことですね・・・シャーシ内が狭すぎて1ヶ月以上悩みました
・ある日何かを見ていて突然閃いた
・そうだ!2階建てでいこう

2階建ては妙案だったけれど、メンテナンスは大変になるなあ
私はガレージメーカーや自作アンプの修理をお断りしているけれど、それはメンテナンスすることを想定して作られていないから
良い音のするアンプを作ろうと思っているアンプは例外無く良い音が・・・


そうだ!ユニット基板を3個作って不具合が有ったらユニット交換をしよう!!
外したのを修理してバックアップにしておけば良いじゃん オレって天才?  普通か

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これがユニット
出来てから見るとどーって事ないんだが、これの配置に1ヶ月以上掛かった
これだけで、1ch分のNF-EQとラインアンプ1段の全てです
苦労しただけ有ってシンプルに見えます・・・これを見ながら白米3杯行ける様になるまで頭を捻りました

カップリングだけは新品だけれど、信号内は米独のヴィンテージ部品を使っている

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シャーシに高さが無いのでパワー・トランスは横置き

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真空管やブロック・コンデンサーもみんな横置き
ECC82であれば大丈夫だったんだけれど E80CCのおかげでL字アングルをお手製で制作

また、スペースの関係上チョークは無し。と、言いたい所だけどオリジナルも無いのでここはそのまま
いよいよノイズは大丈夫か?・・・オリジナルはそれでも水を打った様な静けさ・・・それだけを頼りに

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1階を施工
配線を済ませ、六角延長ボルトを立てて2階の棟上げの準備

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無事2階建てが完成しました

本当は、アンプの理想はガランドウのごとく何も入っていないかの様な状態が良いのだけど
今回はユニット基板からの配線がちょっと騒々しいね


作る際のポイントは、増幅の3要素のラインが近接しない様に気を配ること
それと、ACとDCのラインを区別しておくこと
ラインの取り回しに際しては、電源を入れて実際にノイズ量をチェックしながら決定

自作マニアは最短距離で繋いだ方が音が良い!と思っているんじゃ無いかと言うのが多い  あかんぜ
急がば回れは歩道橋だけにあらず


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今回は、プリアンプのラインアンプを使うので、EQの後ろから信号を取り出せる様にしました
将来のオプションとして このアンプを単体の小型プリとしても使える様にバッファーを入れておいたので
端子も事前に準備しておきます

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くそシンプルなフロントです

左側は将来使うかも知れないので空けています
ここに左右独立のポテンショメータとセレクターを付ければ立派なプリアンプになります


さて、構想は半年もかかったけれど、作り始めちゃえば
シャーシの穴明けから音出しまで日/5時間労働で3、4日くらいかな(乃木坂46時間TVのおかげで能率悪し)

特にプリアンプを作るのは段取り9分だから、配置や取り回しの計画にいくら時間をかけても良いね
問題はその計画通りに実装できるか?どうかだと思う
往々にして、立派な実装配線図を書いても似ても似つかない様な物体を作るのでは苦労が報われない

腕を上げるには「場数」が一番。と言いたいのだけど
自作アンプをいくら数作ってもダメだと思う
物凄い秀英、英傑が莫大な予算と膨大な検討の上に生み出した名機を沢山いじることが大切
何も何百万円もするウエスターンの1086アンプを分解せよと言うんじゃない
数万円くらいで手に入るラインアンプをしゃぶり尽くすだけで、億万の勉強が出来る
もちろん、受け取る側の心がけが一番大切なのは言うまでも無いのだが

RIAA偏差は 低域で+1dB 高域で−0.7dB位かな、追い込むこともできるけれど2階建てにしたのでもう大変だからこれで一旦持ち込みます

ヒーターはいつもの通りAC点火
1時間ほど通電してチャージしたらウチのスピーカーでもノイズの問題はなし、オートグラフでも大丈夫でしょう

昨年、80cmウーハーをマルチでやっている人に、ヒーターノイズがあるからDC点火にしてくれと言われて
音質の保証無しならやらんことも無い、でやったけれどやっぱり音は好かんなあ
もう2度とそんな機械は作らないと心に誓った

音はねえ、言葉にするのもバカバカしいのだけど
本家は当然イン・アウトにトランス積んでるし、違う物体なんだから同じ音になる必要も無し
マジック・フルートこと エレナ・ベルガー嬢がご機嫌で歌っていたので満点合格です













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CD専用DAC制作  運用編

かくしてCD専用を謳ったDACは完成し音を出し始めました
初見では極々普通の音でした、EMT-981を超えているなんて到底言えない

・・・この辺りが私が自分らしいところで、いくら大枚を叩いて膨大な時間を投じて導入したのもであっても初見からフラットに評価します  自分のやった事であっても無垢な信用はしませんし、自分の過去に忖度もしません。
頑張って買ったんだからいい音であって欲しいなんて、ぬか喜びはなんの意味もありません・・・

早速本来の計画に沿って次の手を打ちました
当初の予定通りの成果を得られたと思います、この時点でEMT-981(OUTPUTトランス付)の音を明確に凌駕出来たと思いました



<しかし、この後に重大な変化がありました>
外部クロックの挿入による音の刻みの深さの変化でした

DACの購入の条件としてマスタークロック・ジェネレーターも同時に使って頂くことになりました
おかげさまでクロックも数種類揃えて、各社製品毎の音の変化を確認することもできました

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初期ロットを3台制作しました
お越し頂いた方に音を聞いて頂くとたちまち完売してしまいました、自分で使う分もありません慌ててもう4台分の部品を集めましたが
最後の1台分はヴィンテージの部品が全て揃いそうもないので未完成で終わりそうです


これは言うまでもありませんが、I/V回路やラインアンプのオペアンプの種類によって
カップリングコンデンサーの内容や容量によって
整流ダイオードの種類によって
平滑コンデンサーの種類によって音の印象は目まぐるしく変わります

変化要素は膨大にありますので、現在でも鋭意研究中です
良い変化があったら、購入いただいた方にフィードバックして行きたいと思います



さて、こうして完成したDACを持ってかなりの方のお宅でテストさせていただいた際に、一つの決定的に重要な課題に当たりました
今回のDACは我が家ではKlangfilmのシステムで、Kさんのお宅ではWE757システムで、あるいは県外まで遠征してWestrex Londonの大型システムに入れて初期盤LPにも見劣りしない音にしようと磨き上げてきました


ところが、MOMOさん宅のWE594システムで使ったときに「音が合わない」と言う感想を言われたのを機に問題が見え始めたのです

その後、Kさんのご自宅のオリジナルオートグラフや同じくシルバーinオリジナルコーナーヨークでも「音力が強すぎる」と言う感想をいただきました
そこでは前回登場したLHH2000が常用されており、オニと対峙して退治されたのです・・・気持ちいーよね!



冒頭に書きました通り、私は自分の過去に忖度したり間違ったまま自己擁護するのはあり得ないので、感想を受け止め実態の調査に乗り出しました

我が家にはKlangfikmのシステム以外にLowther2系統とWarfedaleのサンドバッフルが稼働状態であります、そこにDACを使ってみました

結論を先に申すと、DACあるなしの音の変化がよく分かりません
ことにLowtherでは、空間にふんわり浮かび上がる楽器や声の「漂う」感じが、キリリとした音像に変わりLowtherらしい天国感が後退するとも言えます。
これがKさんの言われた「音力が強すぎる」と言う印象の裏付けの様です


そこで、妄想ですが考察です
そもそも高精度なDACにしても外部クロックの投入にしてもその意義は、CDの特徴である44kと言うサンプリングによる高域での曖昧さを少しでも正確に音に戻す。ことだと思ってきました
すなわち再生側もしっかりと高域にレスポンスのあるシステムでないと、DACやクロックの恩恵を聞き取りにくいのではないかと仮説付けました


手持ちの部品やトランスを駆使して実験を繰り返しましたが、
オーディオ的な評価で聞くと最も冴えないはずのCDP直出しの音が最も音楽を感じさせてくれました

そこで一計を案じました(本当は3つくらいやってみます、そのうちの1番目)

Lowtherやシルバーに合いそうなCDPを購入しました

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この時代のプレーヤーはEMTなどに比べてかなり弱っちいのでドイツでメンテナンスしてもらってから輸入しました
物凄いスピードでTOCを読むのでちょっとビックリしました
将来的には人手に渡すことも考えて、レーザーを変えてre-capしてあるので少し使ってから使い方を検討してみようと思います



オーディオ界では、どのアンプがすごいとか、あのスピーカーは良い、特定の機種に何か優劣でもあるかのごときセリフが横行していますが「わかっちゃないねえ!」と思います

あるパーツが、特定のラインの中に入ってどんな振る舞いをするか?が勝負の分かれ道であって
その時々に、音楽的にどの様な価値があるかを評価するのは人間の感性に頼るしかありません

使い手に機械が先んずる事は決してない
忘れない様にしたいと思います










CD専用DACを制作してみよう

世の識者(笑)の言葉を借りれば、もうじき円盤ソフトは姿を消し回転系のオーディオは私たちの目の前から消滅するんだそうな

神はいつの世にも存在するもので、1925年も1947年も1957年も1978年も新しいメディアが産まれる度に旧時代の遺物は消滅するから早く新しい宇宙船に乗ってここを脱出するのだ!と迷える仔羊達を煽り続けてきた

かの故菅野沖彦先生だって晩年こそは文化遺産を保護せよ。と唱えておられたが、若かりし頃「これからはLPの時代が来ると思って、手持ちのSPを全て処分」された経験があり。激しく後悔していることを雑誌「アナログ」の中の手記で告白されていた



このブログでもいくつか書いたようにハイレゾなるフォーマットもかじってみたが、如何にもこうにも新しい録音は長く聞き続けるのが少ないし、名盤のDSD化ファイルなどもいくつか所望してみたり法律が変わる前にリッピングしてあったある種のデータをLINN クライマックスDSで聞いたりしていた

結果   「本当にCDより優れているか?」に明確な答えはなかった
そこでですよ、実際のところCDってなんぼのもんよ?  ってことになって自分自身で納得するまで研究してみることにした、今回はその顛末です



私の家ではもう15年くらい EMT-981と言う骨董品の CDプレーヤを使っとります
これが音がいいのかどうかは知りませんが、他のどちらのCDプレーヤを聞かせて頂いてもこれと入れ替えてまでも・・・と言う気持ちにはならずに今日までズルズルときてしまった

そんな折、最近PHILIPSのLHH2000型を聞かせていただく機会があり、その飄々とした音の風景に心を奪われた
なんのことはなし、EMTよりもっと古い機種

スクリーンショット

もう、腹は決まりましたよ
PHILIPSの初期型スイングアームとTDA1540 または1541のセットで自分の思いの丈をぶつけた物を作ってみようじゃないか

ところが、ご存知の通り私はデジタル回路はカラキシです

まずは無明なりに自分が何を欲しているのか? 書き出してみると

・デジタル入力  AES & S/P-DIF
・アナログ出力   バランス   &   アンバランス
・クロック入力

たったこれだけの要件なのですが、市販の単体DACではどれかが欠けている
もっとも、業務用の物なら古くても新しくてもみんな付いてる
なるほど、考え方が違うんだなと分かる

幸いに数年前に企画物で上記の要件を満たした基盤が、本家PHILIPSの屋号を使える(恐らくはOEMの供給元)会社から出ていたので早速問い合わせたら、まだ入手可能という事   
内容も分からないまま・・・どの道聞いても能力不足で分からない・・・数枚発注した



それから、その基盤に指定された部品を探すのだが、石業界のすざましさを目の当たりにする
オリジナルのPHILIPS TDA1541A-S1なんてみんな偽物じゃん!   一眼見てみんなバッタモンかタイに製造が移った後の物

やっと4つ探した 、 けど、 値段が高くて目眩がした

次はDAIがありません
欧州時代に製造された7220B/Pなんて・・・根性で見つけた

さらにオペアンプですが、ここはモノラル構成なのでI/V変換に2個、ラインアンプに4個で合計6個必要です
全世界に向け、1980年代に作られたオリジナルPHILIPSのチップを探す旅に出る

並行して、ゲルマニウム・ダイオード、電源トランス、ヴィンテージのコンデンサー、同じく古い抵抗、パルス・トランス、適当な大きさで人前に出せる良質なシャーシなども探し回り

ただの気合と、ここまで来ちゃったらもう引き返せないという強迫観念に突き動かされて手当たり次第に買っていたら、この時点で予想していた部品予算を大きく超えてしまった(汗)

やばいなあ
3セットは作れそうだから、自分のを1個残して2個は買っていただければいいなあ・・・と

そのためにはしかし
EMT-981を超えて、明らかに必要とされる音を出さなければいけません


そんなこと出来るんかいな 









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新しいアンプは大西洋を渡って英国に行った話  1936年

前回のアンプは受注したのが昨年の年末、お披露目会をしたのが10月の1週目の日曜日でした

でも、高い山はまだ一つ目を乗り越えただけなのです
三週間後の10月25日にはもう一台を全く別の場所に別のアンプを届けなければいけません
何故ならそのアンプも同じく昨年の12月には依頼を受けていたものだからです


30mm以上の穴あけもこれだけ集中して行うと、何だかコツをつかんだような気がします
・・・せっかく掴んだコツも次回制作時には忘れちゃうんだよなあ、誰か作らせてちょうだい・・・

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前回のアンプに比べ穴は随分と少ないですが、モノラルx2台なので手首の腱鞘炎?は治りませんね


実は何の偶然か?、本人の意思か?ははっきりと自分でもわからないのですが大西洋を挟んで米国と英国の技術的には全く異なるアプローチによる、しかしほとんど同じ時代の同じ思想の回路を復元することになりました

まあ、二人ともモノラルLPのオリジナルプレスを聴きたい  という要望が同じだったからですね

聞く音楽のジャンルが異なり、鳴らすスピーカーが異なるので別のアンプになったのですが
復元した2つの回路は同じ時期に描かれたもので、それらを採用するに些かの迷いもありませんでした



2台とも 戦前に開発された直熱三極管をプッシュプルで出力段に使っています。それだけならば特に目新しいものではありませんが
日本の真空管アンプのガイド本などに乱立する古典回路や、もちろん最新技術を投入した現代にも通じる回路(笑)なんてことはありません



1930年代の後半になってアンプ出力の大なるを望まれるようになる

一例として従来の現場ではWE555型レシーバー+大型カールホーンに5w程度のアンプで1500人ほどの会場を請け負ったのですがそんな非効率な贅沢システムでは数も作れないし採算も合わなくなり、更により広帯域化の要望も高くなり
よりコンパクトで大出力を持つ効率的・経済的な増幅器が必要になったのでしょうね


まあ、人間の考えることは洋の東西を問わず同じ時期に同じような課題とアイディアが噴出するのでしょう



米国でも欧州でもこの時期に似通ったある特徴的な回路が発表されました
従来のA級増幅では成し得なかったパワーの増加により(といっても10w程度で「超大出力」と言われていた時代の話です)新しい音響の世界が扉を開かれようとしていた


しかし、歴史はそのチャンスを私たち好事家には与えてくれませんでした
1937年頃にはナチスの侵攻が欧州を戦火に巻き込み、1940年末には太平洋にもその炎は広がりました

数年をかけて陰惨な戦争は終結し世の中は平和を取り戻して音響や映画の世界も再び前進を始めました。

戦争は(大反対だけれど)兵士の命を守る目的で電子・通信技術を大幅に推し進めていました
戦勝国である米英では終戦とともに新型アンプが堰を切ったように製造されましたが、それらはほぼ例外なく多極管+NFB方式に変わっていました



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米国式のアンプを再現する際には信頼を寄せる米国製のヴィンテージ・トランスを一貫して採用したが、この度は市場の許す限り徹頭徹尾英国製のトランスや真空管、部品を採用している



今回の経験を通じて大変に興味深く勉強になったのは
わずか2ヶ月ほどの間に、同時期に開発された米英のアンプに取り組んでみたらそれぞれの技術的志向というか思考というか嗜好が、これほどまでも異なるのか!?というギャップであり、比べることで一層はっきりと目に刻まれた

米国ではAB級増幅を成立させるため従来の教科書通りにドライバートランスを用い、そこで生じるロスを見越して前段にエキサイターを設置して難局を乗り越えているのだが、何もそこまでしなくとも・・・作る方にしてみれば大変だし、何より莫大な部品代を強いる・・・と思ってしまう

対して英国では、CTインダクターを一つ用いて実にスマートにサラッと仕上げて、米国アンプと同じ目的を達成している



浅野先生は流石に慧眼であられて、米国オーディオ一辺倒だった昭和の日本においてひとり、欧州の真空管技術は米国に先んじていると説いておられた
随分と勇気のいる発言とハラハラして記事を読んでいたが、流石は元憲兵さんだけあって己の正しいと思ったことは信念に従って行動していたのだろうと、こうしたアンプを作り比べて自分なりに噛み砕いてみればこそ改めて頭が下がる思いだ




では、この素晴らしい英国製アンプが一体とのような音だったのかというと・・・

実は私はちゃんと聞いていないのだ

でも、頭の中にははっきりとこのアンプの音を感じている今日この頃です
次回はその顛末でも・・・








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悪魔なのか? 天使なのか?

本件は

WE594型テレフォンと言う絶品のラッパを使いながら、何十年と満足できずにいたmさんにRIAAイコライザー&ラインアンプの製作を依頼されたことに始まる

ラインアンプ

イコライザー

そのイコライザーを作る条件の一つに「パワーアンプも一緒に作ること」
つまり、プリメインアンプで使ってくれなきゃヤダよ!   こうしてこのプロジェクトはスタートした



七日間でこの世界ができる前はというと・・・

プリアンプは、(こちらではメンテを拒否した)涙が出るほど貧弱な有名ガレージメーカーのもの

パワーアンプは、これはこちらでメンテをしたWE124型だったのだけれど、それまでは沼に落ちていても誰も拾わないような酷い特性のまま使われていた

私はmさんの音を聞いたことがない=でもアンプを見れば音はツブサにわかる
ラッパの本来の性能には程遠い 無念な音でスピーカーは働かされていただろう

WE124のメンテを完了したのちトータルの音は随分と進歩したそうだが(はやり私は聞いていない)プリがこれでは・・・と言うことでプリを作ってくれないか、となった


仕事のご依頼であればもちろんアンプ製作にやぶさかでは無いが、現在の環境のままではこちらが想定した成功には遥かに届かないことは分かっていた

WE594テレフォンとWE124アンプでは、音の世界観が違いすぎて音楽に統一感が出ないでしょう
アンプはWE91型を使ってください・・・マジである

ちょうどその頃 WE91型の売り物があったのだけれど9,000,000円というプライスタグが付いていたので、流石のセレブリティのm氏でも諦める他なかった



                    「何を聞きたいのですか」

            「ブルーノートのモノラルから初期ステレオに移行するまでを・・・」



わかりました、では作りましょう
こうしてJazzのレコードを1枚も持っていない男による
Jazzしか聞かない男が使うべきアンプ作りのSAGAはスタートしたのです


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それは10ヶ月の時を経て、このようにでき上がりました

実はこの時点で私にとってアンプの音なんて、どうでもいいんです
納品先でどんな音がするか。は、オーナーさんの実力次第、能力次第なのだから
製作者としては音の良し悪しなぞは与り知らぬ話なのです

自分の中では
回路を決めて、部品を収集する段階でどのようにトランペットが炸裂し、喉の奥から絞り出すようなボーカルが歌い出すなんてずっと前から分かって作っていたのだから


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お披露目は 小布施町のJazz喫茶 BUDさんの店頭を借りて数人の好事家を前に行われました (mさんが前のめって集めていた)

お店には、あまり上手くならないとの事で忘れられたようになっていたスピーカーがある

Jensenの30cmフルレンジでM型だろうか、Westernの4151型に類似したすこぶる付きの名器だが
組み合すべき伴侶のアンプがなく、「音が悪い」なんて言いだす人もいた

ならば結構じゃないか、丹精込めたこのアンプにとってこれ程素晴らしいお披露目の相手は居ない


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B電源は独立しており、水銀整流管が妖しい光を放つ



そこに居た全員が「固唾を呑んだ」と思う

まるで、オールホーンの大型スピーカーがなっているようだった
喫茶店の建物は地主さん(老舗の味噌醸造場)の穀物倉庫をリニューアルして使用している
古い蔵作りで床面積は60畳もあるだろうか、天井高は優に10mはあろう
その店内の隅々に音響を満たしている様は圧巻だった

加えて
予想を超え突き刺さるようなブラスのウネリに体が揺さぶられるかと思うと
相反する
クラリネットや弱音器をつけたトランペットに女声のニュアンスの豊かさと言ったらどうだ
夢中で3時間もレコードを変え聞き続けた



一週間後、オーナーの元へ引き取られて行ったようだが・・・もちろん私は納品してもいないし音も聞いていない・・・結果は明らかなので聞く必要がないからです




自分がこれまで40年以上かけて オーディオの音に抱いていたイメージとは全く異なる印象の音がするアンプだった

苦労した部品収集から多数の穴あけ、複雑な配線から完成後の調整まで過去に経験の無いほど苦労したアンプだから思い入れも強いかもしれないが、自分自身の「オーディオの音」に付いての思いに新たな扉を開いてくれたアンプだと思う


オーディオの音って、あんなに熱に溢れたエグい音がするものなのだ

この冒険活劇は、これで終わりでは無いのです
まだまだ続くのです









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