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Dreams Come True   一筋縄ではいかないSP盤再生

SP盤時代に録音されたレコードをどうやって聴けばよろしいか?

時間に余裕があって、気持ちが充実して、気力も充分であれば「蓄音器」で聞く事ができればそれは何よりです

しかしながら、制約が沢山あるのでやっぱり蓄音器一択では厳しいのも現実です

・1面ごとに針は使い捨て、まあブランドの針は高いし
・長くても5、6分で終わる
・ゼンマイを巻くは面倒(電動モーターに変えているのもあり)
・音量の調整幅が狭いので時間によってはうるさい


もうこれはSP盤の電気再生も並行して運用するしか無いよね

更に、LPやCDへの復刻であれば1枚でSP盤を10枚分とか20枚分を連続して再生してくれますから、使い様によってはBGMにだってなり得るんです・・・もちろん、そんな聴き方はしませんけれど


ここで、大きな壁が立ちはだかります

「オーディオ」の常識からすると、音は広い帯域で歪なく聞こえるのが良いに決まっていますが
元がSP録音ですから帯域的には「100Hz〜4kHz」で最大です

これ以上広帯域のいわゆる「音の良い」オーディオで再生すると、どうしてもSP盤の持つ甚大なエネルギーやエモーショナルな世界観を拾いにくいのが恨めしいところです




そんなこんなで、周囲の奇異の目に耐えつつ数少ないフランス製のオーディオ機器を探し求めています

まずはプレーヤーを見てみます


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プレーヤーは取り敢えず、「ピエール・クレマン」にしました
この針は SP再生用のE25N=L5シリーズで、クレマンがLP用として最初に作ったシリーズになります(多分!試作とかは知らん)
自重も針圧も重いので、この時代のプレーヤーでしか使えません



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奥に立っている綺麗な赤色のカートリッジがLP用のE25Mですが、やはり相応の針圧を必要とするので初期盤以外に使うとレコードの溝を削ってしまうので注意が必要です


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このヘッドは鉄針を一回一回挿して使うSP時代のピックアップです
電気再生でも気合を入れる時にはこれを使おうと思っているのですが、まだセット出来ていないので運用はもう少し先になります



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こちらは、再発盤のレコードを聞くためのL7シリーズのプレーヤーです

お洒落な金色のカートリッジはL7Bの仲間で、上述したL5カートリッジの半分程度の重さです
あまりに可愛いので、キャビネットの隙間に渋いサビ赤の差し色を入れました
全体のミルキーなブルーの塗料も含め、見た目にも気を使っています


ありがたくも針圧2.5g程度でかかりますので、チップを楕円ダイヤに改装して近年のプレス盤に対応しています

なんと言っても、我が家にはPATHEのリファレンス・シリーズが大量にありますから、これをちゃんと聴ける様にしなければいけません

それとHMVのトレジャリー・シリーズとで100枚もあれば、1000枚以上のSP盤の資産を有するのと同じ事ですからね


しかし、英仏の復刻LP盤というのは何であんなに素晴らしくSP盤の世界観を伝える事ができるのでしょうねえ
まことにレコード界の七不思議の一つと言っていい偉業です

私が家康公なら、所領安堵どころか加増して茶釜の一つも差し上げたいくらいですよ




クレマンのカートリッジは手持ちの資料に載っているだけでも16種類ほどあります

数を揃えてコレクションするつもりはありませんが、将来カートリッジの予備を購入しても使えないアームとの組み合わせもあります

そこで、アームだけは全種類(紹介したのも含めて恐らく5種類)買っておきましたので、いつかカートリッジを変更する必要が生じても聴ける様に準備だけはしておきました








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中学校のヒロインと再会して結婚できた気持ち

その存在を初めて知ったのは、今から40年も前になるだろうか

師匠のお客さんがお持ちだと聞いたことがある
でも姿形を見る事は無かった



自分は18歳の時、とある女性歌手のレコード(SP盤)を聴いてヴィンテージオーディオの世界にどっぷり浸かった

初めて買ったヴィンテージスピーカーはモノラルだったし、その歌手のレコードさえ聴くことが出来れば他に特段の魅力を感じる事もなく、したがってオーディオはステレオである必要も無かった

それから干支がひと回り過ぎる頃、オイロダインを買ってステレオの魅力を知り徐々に交響曲・オペラを真面目に聴き始めた




そうこうしている間にも、そいつを何度か見かける事はあった
一度は見知らぬ方のブログで、写真を見るのも初めてだった
またある時は、専門店の「SOLD OUT」のリストの中に

ショックだったのはアメリカのオークションに出て、買おうとしたら発送はできないと断られた事もあった

今日のタイトルは決して大袈裟ではなく、高嶺の花子さんに何度もアプローチしようとして一歩踏み出せない自分を捨てていたらゴミ箱から溢れてきた
そんな情けない自らのオーディオ史そのもののストーリーだと思っている



再会は全く偶然だった

以前に「SOLD OUT」リストで見かけた店のHPを何気なく見たところ、なんとほんの1ヶ月くらい前にまたまた入荷して、なのに既に「SOLD OUT」に載っているではないか!
大ショックですよ

あまりに悔しいからそれから数日は毎日その売り切れた写真を見て歯軋りしていた

そしたら、なんと言う事でしょう
新入荷に載っているではないですか!!
しかも、外装は特別仕様のヴァージョンだった

金額も知らずに、その夜のうちに「購入の意思を伝えるメール」を打った。心配だったから開けて朝には九州まで電話した



秋元康 曰く

「夢は全力で手を伸ばした指先の、その1mm先にある。あきらめなければいつか届く」


バトー(公安9課) 曰く
「幸福は三度扉を叩き、不幸もまた三度警告を鳴らす」


高橋みなみ (元AKB48総監督)
「努力は必ず報われる」

なんだか、よく意味がわからなくなったけど、それくらい奇跡的な幸運だったし嬉しかった

コロナ渦でもあり納品を迷ったが、6月初旬、海峡を渡り高速に乗って店主ご夫妻の自身の手で日本の半分を揺られてそれは我が家に無事到着した






言葉も無かった
VALLINをずっと聴いた、それだけで良かった


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機械の違いじゃ無くて、聞き方の違い?

前回の記事を書いて数日後、Tさんがレコードを購入にいらして下さった際に
ニコニコしながら部屋に入ってきました

「ブログ読んだよ、冗談でしょ?いくらアメリカ盤だってそんなに悪いわけじゃないんでしょ?」
言外に「話盛ってるでしょ?」と聞こえるよー

ではと、DECCAのコッペリア 、三角帽子を聞いてから、RCAの仮面舞踏会と展覧会の絵を聞いていただきました

「ムムム、おかしいな」

念押しで英コロムビアのブルーシルバーでシュトラウスの「こうもり」を・・・
音楽がスピーカーを飛び出して部屋中を跳ね回っているかの様でした、ことここに至っては二人とも言葉は無く、ちょっと笑っちゃいましたね


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左上と右側の2枚を聴きました





このオーディオはJAZZ向きか、クラシック向きか?
私は、機械の問題じゃ無く当事者自身が音をどの様に聞きたいのか?その違いだとずっと思っている


自称JAZZオーディオの雄の人は言った
「トランペットのラッパに頭を突っ込む様に、ツバキがかかる様に聞きたいんだ」


ビックリして僕は問うた
「演奏中の楽器と自分の距離が近いと良いの?」


答えて曰く
「5cmでも良い」


「でも演奏開始の時点では、一番前の席だとしても3mくらいは離れているよね?」

「うん」

「じゃあ、トランペット吹きながらこちらに走ってくるって感じ?」


「・・・」


「なんか、ごめん」



ちょっと意地悪な質問でしたね
普通、オーディオマニアはこんな風に考えていませんよね
「音が前に出る」とか「かぶりつきで聞きたい」なんてのは一種の常套句=昔何処かの雑誌で読んだキラーワードであって、ステレオ(モノラルでは無い)再生時の定位とか音場の問題でない事はわかっているのです、だからゴメン



一方、以下が掲載されていた雑誌を片付けてしまって出典を示せなくて申し訳ないんだけど
「管球王国」誌上で評論家のFooさんだったか、英国のBBCの音響技師へのインタビューが載った号があった
(確か「英国製スピーカーをまとめて聞く」みたいな特集の時だった)

技師さん曰く
BBCのスタジオに採用される音響機器への判断は、おおむね以下の通りである

「音のテクスチュアの基準は男性アナウンサーの声で確認する
判定には音楽も聞くがクラシックである
音楽再生の良否、合否はスピーカーの後方にきちんと音場展開しているかで判定する」

何一つ加える事も削除する事もない、私は完全に同じ意見です
本文ではもう少し強い言葉で「音は前に出てはいけない」旨の内容だった様に思うが記憶なので曖昧だ
後日、当該本を特定できたら訂正します


さて、これはどうした事だろうと・・・
等しくオーディオを行うだけなのにこれ程真逆な意識で音を聞いているとは・・・

私はこの2つ背反する意識を

A「音の方から聞かせに来るオーディオ」

B「自分から音を聞きに行くオーディオ」

と名付けた


Aの方はスピーカーの置いてある位置に限らず、音がドンドン前に出てきて
「ほら、ボクを聞いてよ、良い音でしょ?すごい演奏でしょ?」と迫ってくる
聞き手は足を踏ん張って体が反らない様にむんずと受け止めればいい


Bは見かけ上は楽器が10mも15mも彼方に居て、聞き手が耳を澄ましそこまで音を聞きに行かなければいけない
「あ、今フルートが裏拍でリズムを刻んだ」とか「ヴィオラとチェロのオクターブで主旋律弾いてる、すごい和音するなあ」とかね

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懐かしいなあ、引っ越してきたばかりの頃だ
しかし、何だよこの在庫は!  業者かよ!?



結局ね、JAZZ向きとかクラシック向きというのはその人の人それぞれの聞き方の問題なんですよ
コンポーネントの持つ固有の音色やテクスチュア=主に雑誌で刷り込まれた=から解放されて初めて見えてくるんです

前回、クラシック再生の正統と位置付けたドイツ製のオイロダインを使ってJAZZをガッツリ聴いている方も雑誌のお宅訪問コーナーで見かけたでしょう?

私はオイロダインなんてこの世で一番奥行きの深い(オーケストラが遠くに並ぶ)スピーカーだと思っているけど、その人は多分音が前に出るから良いぞと思って使っているんじゃないかな

オイロダインと同じ時期にALTEC A-5オリジナルを使っていたけれど、これも十分深い位置でオーケストラを定位させてくれた=結局使い方次第、スピーカーもハサミも一緒でしょう


また別の本ではTANNOYのアーデンなんて最も似つかわしくないと言えそうなスピーカーでJAZZを楽しまれている方も見えた

一方でクラシックに大変造形の深かった故瀬川冬樹先生はJBL使いだった事、それもBの聞き方だった事は万人の知る処です

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さて、書いている本人も忘れかけている本題ですが

これまでCDを聴き始めて35年
Bの聞き方、僕の言い方をするとスピーカーの間の空間に自分の神経が吸い込まれていく様な感覚

CDでは聞くことが出来なかったので諦めていたあの感覚ですが、LPだとがっかりする程あっさりと聞くことができる

それがケフレック嬢の「ラヴェルの左手」で出現したのです
なんだ、やれば出来るじゃんCD
そうなればシメた物、どんどんと色々なCDを心ゆくまでかけました

これで、2年に渡った私のCDをめぐるSAGAは終着駅に着きました



今はSP盤の電気再生に向かって頑張っています






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クラシック向き? JAZZ向き? 結構じゃないか!!

随分前のことです
遠来の客があってその方が帰宅後、ご自身のSNSにこちらの訪問記を挙げてくださいました
その記事に対し別の方からコメントがあり、その際のやり取りを見て吹き出したことがあります 
人の常識とか非常識とは、人間界に実在するのでは無くその人の中だけに固有に存在するのだなと
Common senseはこの世には存在しない、空想上の生き物みたいな物です

簡潔に再現してみましょう

Aさん(来訪した方)のSNSで
長野まで行ってきましたよー、ドイツの古い機械でワグナーやベートーベンを聞きました

Bさん(コメントした方)
すごい装置ですね、いい音でしたか?

Aさん
こちらのお宅はかなり個性的です
当然好き嫌いもありますし、聞く音楽によっては向き不向きがあります。
やはり自分の聞きたい音楽が何かという目的がしっかりしていないと、単純には決められないです。

(ここは原文のまま、Aさんご自身はクラシックをほとんど聞かないし、空間や定位を感じる聞き方をしたことがないのでこの音が良いかどうか?と聞かれても答えられない。ブログ本文を読んでもそんな感想でした)

お断りしておきますが、何方も悪意は無く普段感じているオーディオロジーを語っただけで日常的な会話でしょうね


しかし、読んだら吹き出しちゃいました
個性的・・・つまり独特で類型が少ないという意味ですよね?


何処をおかしく思ったかと言うと、ご自身の訪問記の中で「ワグナーやベートーベンを聞いた」と書いておられます

そんな曲を聴くオーディオ装置であれば、我が家の物ならそこそこ順当な選択であって、突飛な事ではなかろうと思うわけです
つまりレコードを基準に考えればドイツ古典の交響曲やオペラを聴くならKlangfilmは個性派・少数派というよりは選択肢の上位=正統派に来るのでは無いでしょうか



聴く音楽に向き不向きのないオーディオセットは存在するのでしょうか?

もし、そんな物が実在したとして、それは本当に良い音なのでしょうか?

世間はどの様なオーディオセットを何を基準に「正統」と捉えているのでしょうか? 




ゼンパー




答えは簡単です

「知名度」ですね

雑誌に沢山登場して毎年年末には決まって受賞して、販売店には常に飾ってあり、仲間内でも使っている人が大勢いる
詰まるところB&Wとアキュフェーズを使っていれば日本のオーディオシーンでは正統とみなされるのです
コミュニティからはみ出すことを良しとしない日本らしい世評の作られ方です(この2社に他意はありません、販売実績の雄として例にとったまで)


では、ここからが本題です

オーディオの世界でクラシック向きだのJAZZ向きだのという観念は存在するのでしょうか? するべきでしょうか?

私の考えは「当然存在する」で多くの方と一緒だと思いますが
自分の感覚としては2つの要素を分けて考えるべきだと思っています

1)テクスチュア

これはそのままスピーカーの持っている音のニュアンスです。多くの方の感じ方と大差ないと思います
(アンプはスピーカーとのセットで考慮すべき事なのでここでは考えません)

先日、このブログの準レギュラーとも言える我が家から徒歩数分に住んでいた(注:過去形)「初期盤3万枚男」さんが終活のためその膨大なレコードコレクションを手放して引っ越す事になり、全ては我が家に入りきらないので希少盤だけをお預りして身近な方にお譲りできる事になりました


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東京で買おうとすれば4枚で50万円もするでしょうか?
一気に500枚以上来たので我が家はてんてこ舞いです



検盤と称して、ちょっとづつツマミ聞きをして自身だけではまずできない貴重な体験をさせて頂きました


私んちのスピーカーにはクソみたいな音しか出せないクラシックのレコードが沢山ある

ブルーチーム(ブルーシルバーや黒いdecca)は神の如き音がするのに対して、レッドチーム(RCA 赤レーベル)はポンコツにも程がある

もちろんTASリストは言うに及ばず、RCAシャドードドッグのLSC2000盤はレコード世界に燦然と輝く優秀録音盤の金字塔です
しかしながら、我が家のKlangfilm Europaでは大戦の恨みでもあるのでしょうか?情けない音しか出さないのです!


ブログの先頭で描いたAさんのご意見
こちらのお宅はかなり個性的です
当然好き嫌いもありますし、聞く音楽によっては向き不向きがあります。


図らずも、この発言を裏付ける検証をしたのです(もちろん、 Aさんはそんな意図で言われたわけでは無いでしょうが)


両陣営ともクラシック・レコードである事は変わり無いんですけれどね
レコードが制作された時代(ほぼ一緒)地域、人が違うなどモノ作りのストーリーが異なれば、そこで鳴る音も組み合わせるべきとなるスピーカーも異なるのです

JBLだから、TANNOYだから・・・いかに無意味な考え方であるか・・・は明確です


2)人間次第

はまた次の機会に




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わざわざ「悪い音」を探し求めた日々

以前にも少し書きましたが、このプロジェクトの発端は

1)TDA1541A S-1 DACチップを使って渾身のDACセットを作り、EMT-981の本体再生を凌駕するDACセットができてよかったね

2)それをWE594システムやオートグラフに持ち込んだら「音が強すぎて音楽が楽しくない」との感想が出た

3)その時PHILIPS LHH-2000を聴いて「なるほど、そういうことか!」と合点が入った
EMT-981+TDA1541AのDACセットに比べると、帯域はゲキ狭だし、分解能は悪く団子になりそうだし、音が荒い気がする
噂によると14bit処理のまま出しているとか?・・・そりゃそうだよね・・・なのか?

4)けれどもLP時代にアナログ録音された演奏のCD盤は、楽興に満ちた鳴り方をする
1980年頃に、ラジオ局で放送に載せる際に、LPの音と違和感のないように作ったんじゃないだろうか?と想像させるに十分な音だった

5)そこまで違うならば、TDA1540(世界で初めて作られたDACチップでLHH-2000に搭載されている)を使ったDACセットを自分が納得する形で作らざるを得ない




オーディオを始めてずいぶん長い時間を楽しませてもらったけれど、オーディオ人格というかオーディオの概念を根こそぎひっくり返された気分になったのは久方振りのことです

考えても見て下さいな
オーディオをする殆どの人が、より良い音、より好ましい音を目指しているだろうに
この年になって(音質としては)より悪い音を探す旅に出る事になろうとは・・・思いも寄りませんでした

ここまで読んで、ピンと来た人はまずいないと思います、ポカンでしょうね
なので、お断りしておきます
アナログ時代に録音された超絶優秀録音のCD盤を再生するに当たっては現代の最高峰のハイエンドと言われる様なオーディオシステムを使ってもなぜ感激がないのだろう?
そこにはどんな秘密が隠されているのだろう?と言う興味のことです

オーディオ機器だけでなく、録音にも時代背景や生まれるストーリーがあって必然性を持っているのです
そこに感じられる、時代の空気までも再現して鑑賞するには
ただ単に、レンジの拡大やS/N比、BIT数やサンプリングを増やしてもそのベクトルでどれ程追いかけてもどうしようも無いのかしら?と思えるのです



好ましい例では無いですが
ハイエンドオーディオを構築されているお宅で、戦中のフルトベングラー指揮のCDを聞かせて頂いたことがあります
ご主人はいたくご満悦でしたが、私の耳にはトタン板をバシャバシャ叩いてる様な音にしか聞き取れませんでした

誤解のなきよう追記
フルトベングラーのCD盤であれば、相当に骨董品の我が家の装置でも50歩100歩の音しかしません
ですが、LPレコードになると、ハイエンドの装置では到底達し得ない深淵な演奏が出現します
なので、比較の仕方が不公平ですから「好ましい例ではない」と注釈を入れました


ところが、別のお宅で43年の運命(戦後ソビエトにパクられた例のメロディア盤)を聞かせて頂いた時には、自分の体が間違いなく43年のフィルハーモニー堂(カラヤンのおかしな八角堂ではありません)におかれた気がしたのです
そのお宅では、ウラニア盤の英雄も聴きましたが、音響的にはあらゆる最新録音を凌駕していました
それはまさに楽興の狂乱であり人類の宝と呼べる時間でした

加えて、誤解のない様に申し添えますが
オーディオ界に技術革新が起こって、戦前のモノラル録音やSP録音が私の使っている古いオーディオセットよりも迫真の演奏を聞かせる日が来るのならば

そう確信した瞬間に、今の装置を全て打ち捨ててその最新のセットへ入れ替えるに些かの躊躇もありません

私は物体としてのスピーカーやアンプ、レコード盤には何の執着もありませんので身軽なものです


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我が家にあるのはAKKOPA盤
その時に聞かせて頂いたのは水色松明のモスクワ盤でした


でもそれらはみんな(オリジナル)LP盤での話

CDの復刻版で、そんな体験ができるものなのでしょうか?



TDA1540Dを使ったDACセットを作りました、もう1年以上前のことです
デジタル素人の私は、理解と実践を並行して行う必要があったので随分と手間取りました
まだまだ分からないことだらけですが、先日一つのステップを上がった様です

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一番下がDACセット
今はもう別のプレーヤーが乗っています



ドライブとなるCD-Pは延べ10台も試したでしょうか
ドライブメカが違い、デジタル回路が違い、DIF回路が違うのでピックアップカートリッジの様に音が違います

数を試したのはメカや回路毎の音の傾向を知りたかったからですが、見事に裏切られました
解ったのは

部品が音を出すんじゃ無い、作った人間の音がするんだと言う、いつも通りの変哲のない結論でした

一例として日本で企画されたプレーヤはPHILIPS系列であっても本家とは異なる特徴(人によっては利点か)があります
一口で言うとハイファイ調で音楽の流れとかウネリが途切れがち

コンデンサや抵抗やダイオードをREVOXと同等の欧州製に替えてみても、意固地なように音は変わりません
そこで、基板を2階建てにしてベルギー製プレーヤーと同じ回路で組んでみると音楽に潤いが出てきます

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写真には残していないけれど、倍は聴きましたよ


ある日の深夜、もう空が白み始める頃でした

ハンダ付けやら聴き比べにも疲れ果て、何も考えずにお嬢ケフレックのラヴェルの左手をかけた時にそれは起こりました

「あ、これはヤバいやつだ」と直ぐに気づきました

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でもヤバいヤツは、大抵一晩寝ると何の変哲もない普通のヤツに戻ってしまいます
ここから重要なのは「再現性」です

私が30年かけて積み上げてきたもの、それこそが「再現性」です
電子機械工業製品であるオーディオは数字とそのパターン(回路もそうだし、組み合わせも)で動きます

結局寝ることができたのは「ノンストップ」で生田絵梨花様が歌い終わってからでした


続く


P,S

わざわざ「再現性」に触れたのは、特定のCDプレーヤやこのCD盤の音が優れている。と言う様な誤った印象を与えない為です

あくまでも我が家のシステム(5つくらいあるうちの一つ)で我が家のDACセット(市販品でないので入手不可)で私の脳味噌で聞いた印象です

このために前回の冒頭でブログなんか「自己申告」の自慰行為だと記したのです
世の中には、自分で「何か」を見つける手間を惜しんで、またはその能力の欠如によりネットで見た事を無思慮に真似てみる不届き者がいますが、オーディオの本質からは全く180度ずれた行為ですからいま直ぐに改めましょう

虚心坦懐、オーディオと格闘して流した一粒の汗と涙だけが貴方の家の音を輝かせるのです

断言しますが、このCDをお買いになって貴方のお宅で聞かれてもクソみたいな音しかしないですよ
その証拠にこの演奏は随分前から所有していますが、我が家でもずーっとクソみたいな音でしたから









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