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自己新記録 更新  小さいアンプ選手権

別段、大きさを誰かと競って。ではないのですが

ご要望は、LINE3系統の入力、TV台の中に置ける程度の大きさで
10畳ほどの執務室(カッコつけているのではありません、実際の執務室です)で
聴く音楽は「SP復刻CD」と「モノラル時代の復刻CD」でリートとソナタが聴ければOK

使うスピーカーはフランスで販売されていたが、製造は英国MARCONIの絶品たる8インチフルレンジ
マッチング・トランスとキャビネットは純正のままで傷のない極上品を組み合わせた

内磁型の棒状のアルニコマグネットがそそりますねえ
その奥に「良い音の秘密」がありますが・・・

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もちろん「パンツ」も履いたままの淑女です

出荷時のタグも付いたまま、おそらく未使用品でしょう

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さて、アンプの構成は我が家でSP専用として試作したPX-4sを採用
どう考えてもこれ以上の回路は思い付かないので即決
今回も自作マニア諸氏では想像もできない回路になります
というか、このスピーカーありきですからね、普通のスピーカーは鳴らせません

インプット・トランスは試作機ではFerrantiのむき出しの物を使って、誘導ノイズに苦しんだので(失敗は成功の母なのよ)最初からシールド付きの物を選んで一発でバッチリだった

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この写真は試作1号機です
幅230mm x 奥200mmの中に納めています

周辺機器との色調を合わせるため「ダーク・ブラウン」に塗装
渋いです


今回の新型機は電源トランスを特注してギリギリの容量にした専用品、寸法を切り詰める為無駄を省きました

ついにやりました!

200mm x 180mm でアンプを作りました


そして、いつもの通り内部配線しか撮っていない
表側はマジでキッチキチです

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写っている物で全てです
LINE入力3系統
出力 1.7W ほど
ナス型の旧タイプのPX-4 や PP3/250も使える様に動作条件を設定しています

低域の分解能が異常です
聞いたことのない音の世界観

もう少し大きなスピーカーで鳴らしたらどうなんでしょう?

同じことを考える人はいるもので、このプロジェクトには続きがあります








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素晴らしいアンプをご紹介します

前回の舌の根も乾かぬ間に(笑)
あまり見たことの無いアンプが手元に来ましたので紹介しましょう!

それも1台だけですね
前回の記事とは正反対の内容ですよ

しかし、最後まで読んで頂くとどんでん返しが待っていますので、お楽しみに



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1962年に英国で製造されたKT-66ppの素晴らしいアンプです
どこからどう見ても100%文句無しの業務用の設計と製造で「非の打ちどころがない」を具象化した様なコンストラクションです


製造は英国大手のトランスメーカーである PARMEKO社


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この威風堂々たるパワートランスをはじめ全て自社のトランスを採用しています



アンプの銘板には

FOR A.C. OPERATION と謳ってあります

本体右側の1/3はP.S.U.のユニットが装着されており、これは劇場など建物の内における使用(オペレーション)に対応した仕様であります・・・つまりACコンセントが使える場所って事ですね

一方、船舶や列車=豪華客船やブルートレイン?=の様にACが使えない、または低圧の場合には

FOR D.C. OPERATION  の銘板と共に異なる電源インターフェイスが搭載されたと推測されます

まさに、働く増幅器です、カッチョいいー


ではいよいよ本機のハイライトである内部構造を見てみましょう

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セラミック碍子のターミナル・ポストに整然と配置されたCR素子

全てのパーツには番号が振られ、スケマチックを参照する際に迷うことはありません
全盛期のTelefunken SIEMENSに匹敵する徹底ぶりです

太いアース母線を最近は嫌う人が多い様ですが、実務の際にはこれ程頼れる方式はありません
私も迷うことなく母線を採用しますが、その方法論は星の数ほどあって一朝一夕で身につく物ではありませんから、長い時間をかけた経験が物を言います

本機も実に手慣れた風格のある配線になっています


さて、こんなにも他人様の功績を私が成り代わって「ドヤ顔」で紹介したのにはちゃんとした理由があります


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電車通勤の方には分かっていただけると思いますが

「車掌さんって、なんでみんな同じ声なんだろう?」って思った事 ありませんか?

それは満員電車の騒音の中でアナウンスがより聞き取りやすい様にする為、周波数のトリミングを行なっているので、個々人の声の個性を聞き分けるのに必要な帯域の音を変化させているからなんですね


こちらのアンプも同じ用途で作られた「スピーチ・アンプリファイヤー」なのです

だから、どの歌手でもみんな同じ声に聞こえる?
流石にそんなことはありませんが、音楽鑑賞にはこのままでは全く使用に耐えません


そこで回路図もないので現物調査をしながら「MISIC アンプリファイヤー」へと改修しました
最初は簡単に考えていたのですが、数箇所もの手直し、と言うより設計変更が必要でした

これがまた、当然意図があって決まった仕様と思いますが、何でここまで複雑怪奇に出来るんだ!ってな感じで
英国製の業務用アンプのクセに精通していなければ理解不能なことばかりの様な気がしました


まあ、現状でも普通に「音」は出るのでね、おかしいと思わなければそれまでの事なのですが

ただ、球の構成もとんでもラインナップだし、入出力も変わり者だし、一筋縄どころか二筋縄でいかない頑固者でした

最終的には、そんな苦労も報われる素晴らしい音になったと思います









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PX-4s 再びシングルアンプ

元々の覚醒の引き金は2年ほど前でした

オーディオ界の大先達が70年代にビルドされた300Bシングル(WE91型)を製造後数十年経つので、とメンテナンスを依頼されたのが始まりです
素晴らしい部品=大半がMIL規格品とMARIC製トランスであったので幸い大きな不具合も無くメンテナンス自体は順調に完了し、91型回路に対して少し省かれていた箇所と追加されていたハムバッキングの回路を撤去してオリジナルに添わせてお届けしました

その時の音・・・大空間に広がる「オルガン付き」の整然としたオーケストラの形に頭を殴られた様なショック・・・を聞いてシングルアンプと恋に落ちたのです

その少し後にご依頼を受けたVT-52でシングルアンプを制作できる喜びを享受しました


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あまりの悪い特性故にメーカーは絶対に手を出さない、自作マニアの方はその存在すらご存知ない苔の生えた古典回路を採用しました
そのおかげかは分かりませんが、以前の記事で心配したシングルアンプの弱点をある程度克服できた気がしています

完成後このアンプは始め、TANNOY モニターシルバー イン オリジナルコーナー・ヨークに繋がれてJAZZヴォーカルを中心に楽しまれました

TANNOYでJAZZとは ヽ( ´_`)丿
と、嘲笑された方がおられるかも知れませんね
そうした方は、是非モニターシルバー イン オリジナルコーナーヨークをご自宅に招き入れて飽きる程JAZZを聞いていただく様に切にお願いします

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さて、
「楽しまれました」と過去形を使いましたのはその後の物語があるからです
私はこのVT-52sアンプは是非別室でもお試しいただく様にお願いを申し上げておりましたが程なくそのチャンスが巡ってきたのです

シングルアンプに気を良くされたオーナーは、引き続き英国製のアンプを御所望されました
球は大好きなPX-4ですぐに決まりましたが、回路を決めるまでに随分と時間をいただきました

夥しいスケッチをゴミ箱送りにした後、使うスピーカーを指定させて頂けたのでその後はすんなりと決まりました



またまた、表側の写真を撮り忘れていました・・・おかしいなあ
なので再び内側を先行公開です

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1930年代にアメリカに先んじて欧州で実用化されたCR結合回路の元祖です
この回路が実現可能になった大きな要因は
内部抵抗の極めて低いハイミュー三極増幅管の存在に他なりません(実際は数種類のμの異なるラインナップを持っていたので、ちょっと進んでいたのではなくとてつも無く進歩していた)

同じ時期にロウミュー管を幾段も重ねたり多極管に頼らざるを得なかった米国に対して大いなるアドバンテージを誇っていた時代です


このPX-4sアンプは現在LOWTHERのL.I.Bに繋がれ
そしてVT-52はたった1.7Wの出力でもって、50畳になんなんとするホールでWEの757モニターを朗々とならしております

+B回路の平滑容量が10μF程度の電源規模で2wにも満たないアンプがこれほどの音を出すのですから
この90年間のオーディオ界が消費した時間とは一体何だったのでしょうね?

まあ、答えは明確ですけれどね

「コストダウン」ですから、人や企業が生きてゆく為ですから仕方がありません

EDISON STANDARD PHONOGRAPH MODEL A

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EDISON STANDARD PHONOGRAPH MODEL B

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ここが、人類のオーディオのコストダウンの歴史のスタートですよ







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WE VT-52 ちっちゃいステレオアンプ 完成

週末にお届けしてきました

私の中でのシングルアンプの印象・・・いろいろなお宅で聞かせて頂いていたイメージです

・低音が(相対的に)薄い
・DC点火しないとハムがでかい
・三極管を連結していくと高い方も落ちる(ミラー効果)
・ffでクリップ
・透明で冷徹な音世界
・繊細だけれど、重厚さには欠ける

合わせてステレオアンプに対する印象・・・製作本やネット上でのイメージ

・電源が共通なのでひ弱なのかな?
・真空管をシャーシの手前に並べるレイアウトだと、配線があっちゃこっちゃだよね
・その為、飛びつきや誘導が起こりやすくノイズ・歪みの点で不利・・・実際に発信しているアンプ多い
・左右の条件が揃わないのでなんか気持ち悪い
・モノ二台の方がセパレーションが良く、音場が出る。と言っている奴がいるけれど、ホントか?

これらはみんな風評じゃないのか?ロジックに確認してんのか? と、自らにツッコミつつ


上記の通り、思い込みが酷くて40年間避けてきた「シングル・ステレオアンプ」を作りました
でも、せっかく取り組む機会を与えて頂いたのだから、自分なりに上述した疑問や矛盾をできるだけクリアーしたアンプを作ろうと思いました

とにかく、あらゆる製作本やブログ記事に記載されている「シングル・ステレオアンプ」は
こんなのゼッテー作りたくな〜い! と思わせる物ばかりだったのでそれに対するチャレンジでもあったのです


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お恥ずかしい事に外観写真を撮り忘れました
いきなりの初段付近です
pp アンプより入り組んだ感じがします
実際部品点数は多いですね

元になったアンプは1930年代に欧米で高級電蓄等に採用されていた回路をオマージュしています
今時こんな回路のアンプを作る人は誰もいないでしょうね

とにかく古典的直熱三極管シングルアンプといえば
直結だのカソフォロだのSRPPだのパワー管ドライブだの、カソードの先を半導体で引っ張るだのばかりで一向にやる気に火がつかなかったのです

もちろん段間にトランスを入れると全ての問題は霧散するのかもしれませんが、今回の対象であるスピーカーや聴きたい音楽を合わせて鑑みるとトランスを入れて全て良いとは思えない自分がいたのです

今回の様に、球が先にあってアンプを作る事は初めてなので結果(出る音)を明確に想定できずに少々ナーバスになりました

そんな中、このアンプが出来上がるのと時を同じくして始めてのJBL社製=1949年生れ=スピーカーが我が家に来たのを機にお初同士で組み合わせてテストをしてみました

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産まれて初めてJBLのスピーカーってのを買いました
識者によると極めて希少な個体だそうです。買えたのは1本ですが同じものを1本だけお持ちの方からお譲り頂ける約束をもらえて、ペアに出来る目処が立っての導入です

JBL系何十年の方から「JBLの音じゃない。聞いたことの無い音」とお褒めの言葉?をいただきましたwww


シングル・アンプの低音が薄いって言ったのは誰だー!?  オレだヽ( ´_`)丿

やる事をしっかりやっておけば、妙な風評なんか信じるに価しないのです

圧倒的な透明感とゴリゴリした実体感が同居するこの感触は、名古屋で味わったWE91型アンプ以来の印象的な体験でした
土曜日にお届けした際に、モニター・シルバーインオリジナルコーナーヨークでクープランの王宮のコンセールを聞いて確信に変わりました
シングルアンプもいいね・・・当たり前すぎる?

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先入観や思い込みだけで音を決め込んではいけませんね
いろいろな意味で、勉強させて頂き実り多いプロジェクトでした










ちっちゃいアンプ #2 初めてのステレオアンプ

確か、以前の記事で「ステレオ・アンプ」はコントラクションに納得性が無いので作り難いと書いたかと思います
その思いは今でも変わっていませんが、この度とあるストーリーの中で可及的小さなシングルで2chのアンプを作ることになりました

ある方の退職の記念に贈与された球を使って、その球を送られた方の為に小規模なアンプを作ります

出力管は決定しているのでそこから全てがスタートします
実は2種類の球を提示されたのです
一方は個人的に何度も取り組んで馴染みのある球でした
他方は日本では人気の様ですが、内部抵抗の高い増幅率の大きな所謂送信管でした
そちらは私の手に負えないと判断して、こちらの受信管だけの制作と相成りました

1939年と40年ですから初期に作られた個体です

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細い刻印が美しい


さて、ステレオ・アンプが生まれて初めてならば、シングルアンプは40年ぶりの制作です

突然ですが、ここで問題です
アンプを作ること、または購入する際に最も大切にすべき事柄は何でしょう?

「事柄」ってのがミソなんですけれどね

(私なりの)答えは必然性です
なぜそのアンプが必要なのか?・・・コンセプトと置き換えても良いかもしれませんが

今回のアンプは球が先に決まっていたので、実はコンセプトが曖昧なのです
なので完全に後付けで押し付けなのですが、想定スピーカーやレコードを後からこじ付けです
当座は先に納入したLowtherのL.I.Bとします
初期(ゴールド・レーベル時代)のハルモニア・ムンディやBOXステレオ時代のArcivを当時の電蓄の様な優雅さで鳴らしたいと目論みました

元々シングルアンプで、帯域がどうの、つまり低音があーたらとか、高音がどうしたと言うのはピント外れな要求と割り切って子供じみた「高音質騒動」からは最初から身を遠ざけておくのが無難と言えましょう

この出力管が作られていた当時、1930年台に普及していた回路を取り上げてみました
その為には現代では全く忘れ去られてしまった珍しい部品が必要になります
当該パーツは古い回路に詳しい旧知の部品屋さんに相談して用立てて頂きました

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またまた、終わりなき穴あけとの戦いでした
特に今回は2chが1シャーシなので飽きるほど穴あけに励みました

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軽量な実装部品をつけたところ
このくらいの規模のアンプとしては想像以上の高級な部品を採用しています

特にコンタクト・パーツには絶対の信用が置けないと運用を初めて後に原因不明の不具合に頭を悩ますことになります
ならば、少々のコスト増を受け入れて信頼の大なる部品を出来るだけ採用しておくことが重要と言えます



今回の記事は、このブログ開始以来 初と言えるほどの珍事なのだけれど
アンプ制作をリアルタイムに書きました
なので、制作工程は現在ここまでです、進みましたらリアルタイムで実況を続けます