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大失敗 (やっちまったなあー)

「Read on Carefully.」  電気製品などの取説の最初に書いてある言葉。  「良くお読み下さい」

今回は悲しい失敗の話、それも使い方どころじゃなく薬の用法で言えば「食中に飲んでください」とあるところ、お米とおかずの間に急いで薬を飲んだってくらいバカバカしいお話です。

数日前から左側の音圧が低い。と、ステージのイメージが右側へ寄ってぐにゃりと歪んできます。
すわ一大事と、スピーカーの置き位置を確認したり、球のへたれを見たり・・・

いずれも問題なく、なんとなしにスピーカー自体の異変ではないか?と野生のカンが。
Europaはフィールドコイルなので当然エキサイターが必要になります。
そこで、フィールドコイルの電圧を測ったところ 170v!!!(指定は200v~220v)

現在使っているエキサイターは
Klangfilm Kl-Q513C
DSC01970.jpg

改めてみると、中央の豆電球も心なしか元気が無い。(Zeissのアンプと同じく、電球メーター)

使用中のAZ 50を抜いてFunke W-19へ・・・・・ダメじゃん。 しかし、待てよ。
去年の今頃新品に入れ替えたばかりじゃないか。   い、一年でお釈迦?

このAZ 50は5年ほど前に結構な数の西独の国防軍放出品らしきものが秋葉に出現した時、安さにツラレテ纏め買いをした球です。
DSC01973.jpg


本来、Kl-Q513Cのソケットには以下の2種類の球を選んで使うようにとレタリングがされています。
06_convert_20090530015814.jpg

Kl 75301 (RGN2004相当)
Kl 77305 (RGN4004相当)
と書いてあるので
AZ 50はRGN 4004の親兄弟だから大丈夫だよね。なんて、少しでも高価な2004をケチろうと安さに負けて使い始めたのです。

最初の2本は3年ほどでNG。(横浜時代ですから実労は1年以下)
そして、次の2本はまる1年でNG。 幾ら安かったと言って、これではたまりません。

慌てた私は、励磁電源に詳しいH氏(お宅訪問記-1で紹介)にTELして、「石で、石で作るから作り方教えてちょうだい」と頼みました。
親切なH氏は翌日、主要部品を携えて我が家まで来てくれました。  ありがたや、ありがたや。

ひとしきりH氏と話をして、帰られた後に。
ふと、AD-1のアンプで使っていたRGN2004を引退させていたのを思い出し、これも電流値ギリだからいかんだろうな。と、思いながらエキサイターに挿して見ました。

な、なんと。電球はこうこうと輝き 
電圧はじりじりと上がり続け、しまいには206v

あれー??

理由はなんだったんでしょうか?
球の内部抵抗の違いか?そんな辺りだとは思いますが、最大の原因は私の貧乏根性ですね。

Klangfilmが規格の離れた2004と4004を指定しているのには理由があったのでしょう。(これら2種の間には2504という球もあるのに記載されていない)

今回の一件はかなりピンポイントな失敗例だと思います。
しかし、「効能書きをよく読んで、用法用量を守ってお使い下さい。」と70年前の人にさらりと戒められた気分です。

ブリュンヒルデのニルソンは間違いなくスピーカーの奥20m程の位置に立って歌っているのに、その声は額を直撃して痛い程のエネルギーを放出します。
Europaは800人のホール用というその実力を遺憾なく発揮し始めました。一聴して低音感は無くなりましたが、チェロバスが弾かれると床を伝わりお尻に来る衝撃波は以前の比ではありません。ウーハーの振動板が無駄な動きをすること無く、部屋の空気を制圧した証拠です。ブーミー感は全くありません。
これで、「音がよくなった」などとほざいていたら、70年前の人にぶん殴られます。 
「てめーが間違って使ってただけじゃねーか!」って。
気付いていないだけで、まだまだ沢山やっちまってることあるんだろうなー。

結果的に、安くあげようとして払った授業料は高かった。
DSC01972.jpg
みんな、ゴメンネ

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Hi-Fiってなんだ (続編)

前回は、私が自分の装置を使ってやろうとしていることは収録会場のステージを再現すること、それはバランスエンジニアやプロデューサーの意思が加味されたパッケージソフトを使って行うこと。というようなお話をしました。

その時添付したレコードリブレットの写真はショルティ盤「神々の黄昏」でした。

恐らく、時間だけでいうと私が生涯で一番長く聴いているだろう演奏です。いまだに1回/週以上は飽きもせず・・・
LPで6枚:12面ですから1日ではとても無理ですが、今はもう、レコードのキズの場所まで全部覚えているほどです。

さて、このセッションの終盤近くをBBCがドキュメンタリー番組としてその模様を取材し、映像に残してくれています。
右側のDVDです。
DSC01959.jpg

映像は会場のセッティングから始まっており、Mr.バリーがマイクを吊っていたり、Mr.ブラウンがダクトに上半身を突っ込んでケーブルのハンダ付けをしている様子なども写されており、私には何よりのプレゼントです。
前述したブックレットの写真にまして、VPOのメンバー一人ひとりをより詳細な、しかも動画で見れる訳ですからシビレっぱなしです。

その上このDVDの貴重な点は、Mr.カルショウの強力な希望によりコンソールからミックスダウンされた音声信号(つまりレコードと同一音源)によって記録されていることです。  おお、神よ!

写真の左側は、一連のリング収録についてMr.カルショウが書いた手記です。これも曲に負けず劣らず、堂々の460ページです。
何回も何回も読みました。Mr.カルショウとMr.レイバーンを頭にした「デッカ・ボーイズ」が何を考えてかくも長大なドラマに挑んでいたのか。
そして、視覚要素の重要なオペラをいかに音だけで表現しようとしたかの一端を推し量る為の貴重な資料になりました。
最近は、さらにB・ニルソンの自伝記まで加わりました。

また、プレーヤーやEQアンプ(RIAA設定)の検討には必要に応じてマスターコピーを聴きます。
このときも、テープとLPでは楽音のタッチはかなり異なりますが、ステージの確認には有効です。
余談ですが、マスターがいい音(この「いい音」ってのが私には分からない)だなんてことはありません。これは素材ですから。
あくまで、プレスされたヴィニールになって始めて、製品として購入者からお金の取れる音になるのです。
DSC01963.jpg
Frcsay BPO  Beethoven Sym No.9 のLPとテープ


我が家では、ケーブルやその他の部品とは比較にならないほど、こういった「意識」が大きな影響を音に与えています。
結局のところステージの再現、すなわち(もし言い方が間違っていなければ)位相による距離情報の提示だけを検討対象としているのが我が家の装置です。

楽器の音は、位相のピントがバッチリあった時(いつもではありませんが)に死ぬほど躍動感が表現されるように感じています。
恥を忍んで告白すると、昔は聴こえてくる音そのものをどうにかしようと考えていました。しかしそれは自分には判断の付かない、比較すべき基準の無い「良くなったのか悪いのかが判らないファクター」だと気付きました。

もともと美声とは言いがたい、しかし誰よりも大好きなMr.フリックの歌声が、イタリア人テノールのように「キレイ」に聞こえるオーディオ装置なんて、それがどれ程特性の優れていたり、オーディオ関係者大絶賛の良い音の装置でも私には何の価値も無いものなのですから。

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パワーアンプ  3

今回は、以前Eurodynを使っていた時のアンプです。

Klangfilm Kl-V401
DSC01944.jpg

欧州大戦後すぐに作られたもので1946年ごろのアンプです。
当時の主力スピーカーはEurodynですが、始めてパーマネントマグネットが採用された時代です。
それまで(戦前)のフィールドコイル+3極管の時代から、パーマネント+多極管へと移行した時期でここから劇場機器も近代化が推し進められてゆくわけです。

球の構成は、プリアンプ+EQ付きで
電圧増幅までEF-12を4段で使い、
出力管はEL-12/375のPPとなります。
DCP_0406_convert_20090527122852.jpg

EQは別筐体となりUFソケットで本体に挿入されます。 Kl-V7401
DSC01948.jpg
このEQは言わばトーンコントロールで劇場毎のフィッティングを行う機能を持ちます。
前回のZeissのアンプより古いものですから、固定抵抗の選択によりカーブを出すと言うトラディッショナルな方式です。

さて、このアンプは私が始めて自身でメンテナンスを行った、思い出深いものでEurodynを手放してからもまだ手元にあります。

出会いの頃・・・
DCP_0050_convert_20090527121340.jpg
そりゃもう、サビサビのボロボロでした。

でも、何かトランスが多いんです????
現在まで、このアンプの回路図を入手できておらず、始めはびっくりしましたが回路を追っていくと、ヒータートランスが独立していました。
うーん、どうなんでしょう。
写真の左から、チョーク、ヒータートランス、高圧トランスです。発電所のようなコンストラクションだと思った記憶があります。

信号回路は
DCP_0047_convert_20090527122225.jpg
こちらも、えらいことになってます。
立体構造+空中配線。良い子はまねしないでくださいねっていう状態です。

自分としては、このアンプの能力を十全に発揮した音を聴いていないと思うので、時間をかけてもう一度取組んでみたいと思っています。

在りし日の雄姿を。
DCP_0012_convert_20090527123240.jpg


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パワーアンプ  2-3

Zeiss Dominal-Lの最後になります。

左が電源トランス、右がチョークです。
DSC01701.jpg

大きさの比較の為MT管を置いています。
現代の部品とは効率が違いますので単純な比較は無意味ですが、ケースに入っていない状態でこの大きさです。

少し前ですが、BS-Japan(テレビ東京のBS)でクラシックカメラの番組がありました。
そのZeiss特集の時に、社の幹部インタビューで
「当社は2,3年で買い換えたくなるような商品は作りません。ユーザーが長期に渡って楽しめる物を送り出したいと考えています」


さて、出力管のEL-12は初登場なので少し触れておきます。
欧州の多極出力管は1947年の「AL-1」辺りからスタートし、「AL-5」までヒーターが4vです。
48年6月には6.3v管が登場しています。「EL-11」
その後、48年9月に今回の主役である「EL-12」と矢継ぎ早に発表されています。

EL-12 標準規格(シングルA)
Va: 250v
Vg2: 250v
Vg1: -7v
Rk: 90Ω
Ia: 72mA
Ig2: 8mA
Ra: 3.5k
Wo: 8w

Va:250vというのは「AD-1」時代からの伝統です。
しかし、劇場用途ではABクラスで使う環境も含め、アノードの耐圧を上げた「El-12/375」が多用されています。
DSC01905.jpg

左から「EL-12」 「EL-12/375」 「F2a11」

アノード電圧の拡大された「EL-12」からF2a11、EL-34、EL-156等のスター管へとその系譜は引き継がれてゆきます。

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パワーアンプ  2-2

引き続きZeissのアンプです。

業務用途のアンプには球の動作状態を監視するメーターなどを備えているものも多いですね。
一定の電流値を下回った場合に球を交換する為ですが、Zeissの発想は・・・微妙です。

DSC01684.jpg

本体下側の覗き窓の奥に電球があります。
これらは整流管のアノード回路に直列に入っていて、「明るさ」で球の電流値を監視するものです。

「Zeissさあん、電球暗くなったんだけど球を取替えに来てくれない?」なんてオペレーターのおじさんが電話でもしたのでしょうか。
10v0.2Aの電球が指定されています。少しでも規格の異なる電球を入れるとはっきりと明るさに違いが出て、結構精密なんだと感心させられます。

ちょっと待て!そうです、この電球が切れるとアンプは停止するようになっています。
どうなんでしょうねえ。

さて、内部配線は、外見上は見事なものです。
DSC01694.jpg
絶縁材はその殆どが碍子です。これが割れ難いようにフレキシブルなバネ素材の端子が備えられており、この端子台だけで、結構なコストだろうと思います。
プリ段と後段には仕切りのシールド板までおごってあります。

しかし、部品の交換は困難を極めます。
DSC01697.jpg

谷底のような場所にCR部品があるからです。

うーん どうなんでしょう。

開発の当事者は全く異なっているにしても、Zeiss Ⅰ型カメラを想起させざるを得ない強烈なメーカーの個性を感じました。

このアンプについては、次回ももう少しお付き合い下さい。

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パワーアンプ  2

今回は、CDや80年代以降のLPを聴く時に使っているパワーです。

カメラで有名なZeissの製品です。
カメラでもダンディズムの塊であったZeissは映画機器でもやっぱりおしゃれで、お金が掛かっていてアイディアがいっぱいです。

ZEISS IKON DONIMAL-L  Type32/02-11
DSC01853.jpg

構成は
プリアンプ(RIAAを通せるというウワサが) EF-40x1段。
EQが入ってからEF-40x2段で電圧の昇圧と劇場毎のフィッティングを行うトリミング、ピーキングの補正回路が入ります。
その後EF-40のインバータへ渡され、EL-12のPPのパワーステージをドライブしています。

DSC01843.jpg
ちょっと解りづらいですが、ストレートのアンプには見られないLCRが沢山入っています。

通常の室内で使うにはこれらをスルーする必要があります。
現物合わせで必要なものと不要なものを付けたり外しては、F特を追っかけていきます。

頭で、というか教科書で教わった通りには実は行きません。
これが、現在使っている状態のF特です。
DSC01839.jpg

100Hzの辺りで0.8dB程のピークは電圧増幅段のカソードをチョークで受けて4μFのCと共振回路を作っているためで、色々なCの値を試しましたが、元通りの4μFがピークは一番低くなりました。

まったく、お釈迦様の手のひらの上の孫悟空の気分ですがやってみた結果ですから納得しました。(少し後に当時のアンプはWE.London.LTDなども100Hz辺りを持ち上げているそうですと聞きました。早く言ってくれー)

このアンプは、中々個性的な奴なので後半は次回への続きとしましょう。

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バラが咲いた

このブログを始めた頃には、雪の積もった写真を載せました我が家の玄関先に・・
今日バラが咲きました。

DSC01871.jpg
黄色いのと

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深い赤色の2種類です。

オールドローズとかで、八重咲きに花をつけます。
しかし、茎が細いので花が成長すると、下を向いてしまうのです。

何か、解決策を考えてあげなければ。
今年は時間があったので、ちいさな蕾はかなり剪定しましたから去年までよりは良いはずなんですが。

パワーアンプ 1

これまで、何度かご紹介してきました、縁あって手に入れることのできたAD-1を使ったアンプからパワーアンプをスタートします。

絶妙に気恥ずかしいので本当は出したくなかったのですが、我が家にあるアンプでは一番古いもので仕方なく登場です。

AD-1s Telfunken.GmbH
DSC01664.jpg

浅野先生の追試記事にもありましたTelefunkenの推奨回路に、入力を600Ωとするため若干のモディファイをしております。
初段REN904(オリジナルはAC2というサイドソケット、手持ちが少なく様子見)→AD-1の2段の極く単純な構成です。
整流管はRGN2004他同等管ですが、これを選択した後の苦労は以前にお話した通りです。
これもオリジナルはAZ-1で電流規模の小さなものです。

AD-1の動作は
Va:250V
Vk:45V
Rk:750Ω
Ia:60mA
といった、A級動作のお手本の値そのままになっています。

この手のアンプを考えるとき最初に苦労するのがヒーター電圧であるところは衆目の一致するところですが、さすがに管球王国日本?タムラジオ製のものにB:280Vx2、H:4Vx2組という誠に好都合な規格のものがあり、あっさり難関をクリアーできました。恐るべし、管球王国!

次の課題は信号系に入れるトランス類です。
ドイツ製の古いシングルトランスも現在では比較的簡単に入手できますが、その多くはラジオからの奪取品となり、大型のスピーカーの駆動を前提とした使用においては特に低域端での余力に不満の残る可能性があります。
結局、お隣りデンマークのJSトランスに登場いただきました。JSはOrtofonのMC昇圧用として夙に有名ですが、当時はOrtofon製の見事なカッティングシステムに部品を供給していた実績のある会社です。
入力トランスはTelefunkenのラインアンプV72用の物が入手できましたので、これを使います。
また、チョークは偶々立ち寄った代々木の高層階のお店に置いてあったWE製のものを使いました。
球アンプを買うなり、造るなりする場合においては、これらトランスに(音の良し悪しではなく)信頼を置けないことにはコトが始まらないのは今も昔も変わりありません。

CR類はその殆どが古い機材からの奪取品です。
今風に申し上げると、リユースとかエコと言えますが、新品の部品より信頼性が置けるというのが唯一の理由です。

コントラクションを俯瞰して見ます。
DSC01668.jpg

多くのアンプとは出力トランスとチョークの位置が逆になっています。
これは初段への+B供給を明確にする為の手法で先人の知恵に因ったものですが、1段しかないアンプに対してはやり過ぎのきらいがないでもありません。

さて、手持ちの測定器で測った周波数特性です。
DSC01704.jpg

上は6kHzから落ち始める見事なかまぼこです。
ブログ先輩のクニタンさんに相談したところ、改善策も伝授頂いていますので試してみたいと思っています。ドイツから追加の部品待ちです。
下のほうも、常識外れの落ち方かもしれません。

しかし、聴取では特段不満を感じません。
昔の人はたいしたもので、40万の法則を満たすと問題なしと言っています。
このアンプは-2dBの直読で 28x15000=42万となり、こんなもんかな、と思っています。

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プリ(EQ) その7

これは TSD-15用として常用しているEQアンプです。

klangfilm 6 S Ela 2145. Eladyn-Steuerverstarker
DSC01351.jpg
Danner(ファーダー)で隠れている部分に専用電源を忍ばせています。
+B : 400V
H  : 6.3V で動きます。
球の構成は EF-40(3結)+EF-40(5結)+ECC-81(2段)という4段アンプで多彩なコントロールに対応できるよう十分なゲインを有しています。

以下の通り、業務用機器の中では日本で考えられる「プリアンプ」に最も近い構成を持っています。

入力 マイク1、2  ラジオ  レコードプレーヤ  テープヘッド
さらに、トーンコントローラーに相当すると思われる音質調整回路もあります。

マイク以外は150mV 500kΩが基準で2段目から入力されます。

マイクの入力は0.5mV 200Ωですが、贅沢なことに切り替えスイッチではなく、各入力に1個づつの入力トランスとEF-40をあてがい、他のライン入力と同じレベルまで昇圧してから2段目に渡しています。

上の写真にあるツマミの左側2個がマイクのインプット・ゲインセットです。
これらのマイクは(例えば映画の上映中に)メインの音声に被せて乗せることが出来るようにミキシング可能にしてます。

マイクの入力はMCカートリッジを入れるのに非常に都合がよろしいので此処にTSDを入力し、1段目の後にCRを入れてRIAAを取り出しております。

DSC01633.jpg
空いているソケットが使用していないチャンネル分です。

さて、このアンプを常用とする事情ですが。
これ以前に設計製造されたマイクアンプは前回ご紹介したV004のように5極管2段構成のものが殆どです。
2段アンプの後に別途ラインアンプを備えて+4dB(または+6dB)+1.55Vrmsの出力を送り出す仕様になっていました。

これ以前の2段アンプ単体でEQとして使うには出力電圧が低すぎるのは当然ですが、この2145型は最後に三極管2段の現代風に申すならば「ラインアンプ」が付加されていますので、現在の構成のままで+4dBまで持ち上げる事ができ、誠に都合が良いのです。

DSC01622.jpg

最後に、
この種の業務用機器をRIAA-EQに使う場合の泣き所は2段目のカソード電圧に規制されてヘッドマージンを取り難いことです。
その点もこのアンプは上記した通り、充分なトータルゲインのおかげでRIAA:1kHzを最大限落とすことにより、高域まで不満の無いダイナミックレンジを確保することが出来ました。

機会がありましたら、別項でRIAAの状態もご紹介できればと思います。

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訪問記 3

連休中はお仲間の皆さんとの交流が盛んになる時期ですね。

さて、第一回目のHさんと同様に、かれこれ20年来のお付き合いを頂いているYさんのお宅を訪ねてきました。
Yさんは私と同じく首都圏へ単身赴任されていたのですが、2年ほど前に戻られ、やっぱり私と同じく音を聴けない時間が長かった分を取り返しているかのように、このところオーディオ熱がメラメラと燃え上がっておられるのではないかと思います。

昨日のデンワ
「いやー、新しいスピーカーが届いたけれど、これが中々でさ、是非聴きに来てよ」

あれー?先月も同じような台詞を聞いた気が・・・
と、首をかしげつつ、今日の訪問とあいなりました。

Yさん宅は、7年に一度のご開帳でにぎわう善光寺さんの膝元にあります。ありがたや、ありがたや。
DSC01579.jpg
さすが、私の盟友のお宅にはどちらへ伺っても蓄音機が中心に鎮座しています。ありがたや、ありがたや。

Yさんは大学時代、都内のJazz喫茶はかなり制覇されたそうで、やはり現在でも東京での拠点は吉祥寺周辺です。
そんな訳でJazzに不明の私にその方面を教えてくれる先生でもあります。

聴かせて頂いたレコード
DSC01601.jpg
や、スズキ イサオさんのデビューアルバムなど(サイン入りなので写真は割愛します)。

そして、これが2日前に届いたマグナヴォックスの12インチ+EV T-35  2Way
DSC01595.jpg

ベースがセンター奥にポッカリと浮かぶ音離れの良さが印象的です。

プレーヤーはガラード301を2台でTSD-15がステレオ用。CA-25Dがモノラル用です。
DSC01586.jpg

その後はクラシックの隠れた名演の発表会をメインのWE555+Jensen Model Qを用いた3Wayで楽しみました。
DSC01592.jpg
さすがに、深みのある悠然とした風格を感じる再生です。

こちらのお宅の装置はプレーヤーを除いて、知り合った頃とは様変わりしていますが、
私にとっては、20年前となんら変わらない印象です。Yさんの世界はそのままですね。と、感想を述べたら
「えー?進歩無いって事?」的な不満顔をされていましたが、
音のクオリティの話じゃないんですよ。そんなことは私に評価できる資格なんか無いんですから。

針を落として、音が鳴り始めた瞬間に室内の空気が変わるでしょ!その色が20年前と同じだって事です。
その色が素敵かどうかがオーディオでは問題なんですね。
私から見てYさんの色は「ノーブル」というか育ちのよさを感じるものです。そして、やはり音の色もその通りなので20年間感心しているのです。

ひとしきり聴いてから、水割りで少々頂いて勝手なオーディオ談義をしてきました。
共有した結論は、
「オーディオなんて聴いて買うものじゃないよね。ピピッと来たのを買えば結果は後から付いてくるよね」でした。

おおー、そういえば、メインに使っているアンプもこの春にピピっときたやつじゃん。
DSC01605.jpg
マッキンの銘器 20W  V6のPPってのが良いですね。
音楽を知っている人しか作れないアンプだわ。これ。

帰りには、創業ウン十年の昔懐かしい味のラーメンをご馳走になりました。ありがとうございました。

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Hi-Fiってなんだ?(解らないこと、1)

オーディオ界はレコード(CD)をかけて音が出る前に沢山の理論が存在する類稀な世界ですね。

私には分からない事柄や言葉が多すぎます。
普段、疑問に思っていることを書いてみますので、めんどくさかったら飛ばしてください。

初回は根源的なとこで「Hi-Fi」についてです。

「Hi-Fi(ハイ・フィデリティ)」は日本語に訳すと「忠実の度合いが高い」と言う意味(造語)だと思いますが、専門誌や巷の人の使い方を聞くと単に「良い音」や「クオリティの高い音」というニュアンスで使われることが多いように思います。

しかし、「忠実度」というからには、元の対象物が存在し、それを模倣したときに対象とどれだけ似ているか、あるいは違っているかという度合いでなければ言葉の意味をなしません。
例えば、描かれた絵を見て、デッサン力があるとか、全然似てない。とかの評価ですね。

桃山時代の備前花入れを模倣して、昨年焼いた花入れの習作。
DSC01571.jpg
「忠実度」低くー

多くの家庭のオーディオでは、LPやCDを購入して再生しますから模倣を聴く事になるのは当然です。

そんな当たり前の環境の中で、我々は何に対して、或いは何を対象として自分の家の音の忠実度が高くなった。とかイマイチだ。と評価すれば良いのでしょうか?
一例をとると、大はスピーカーやアンプ。小はコードやコンセントを交換すれば音が変わることは当然として、いったい、何に対してどのくらい忠実度が高くなったとそれらを評価するのでしょうか?

もし、その答えが「自分の理想とする音に近くなった」であれば、とても結構なことですが忠実度ではなく、嗜好度が高まったと捉えるべきだというのはお解かり頂けると思います。


ここでの問題点は、自分では行ったことも無い場所で、まして自分が生まれるより前に収録されたソースに対して、何をもって「対象」と言えるのか?ということです。

私の対象は、これです。
DSC01568.jpg
収録セッションの現場写真ですね。昔のLPには立派なブックレットが付いていて収録風景を写したものが少なくありません。

この写真から、メインマイクの位置や、演奏家の位置関係、距離関係を推測し自宅に再現されるステージのイメージとの差異を評価するようにしています。
ドライバーのメンテナンスの項で示したようなF特の凸凹がひどい場合は、楽器があらぬ方向や前後関係を無視して聴こえるので装置の不備を知ることができるという具合です。

勿論、収録にはバランスエンジニアやプロデューサーの人的要素が加わりますから、珍妙な録音状態のものも有るかもしれません。しかし、パッケージソフトを購入する立場のユーザーは彼らの腕前や良心に期待するしかないのも当然です。
それがイヤなら高城先生のように自宅生録&再生とパッケージソフトの再生を別の手段として分けるしか方法はありません。

もう一つ、上のような写真を用いるとオペラや交響曲のようにステージの奥行きが深い音楽を再生するときは、演奏家が綺麗に並んで結構だが、Jazzを聞く身になれば音は前へ前へ出てきてくれなきゃ困る!というご意見もよく聞きます。
吉祥寺の有名なJazz喫茶マスターさんの著書には、度々そんな記述が出てきますね。(直近は少し嗜好が変わったようにも書かれていますが)

しかしそれは、簡単なことです。
もし、オペラでマイク⇔演者が10m離れて収録されたレコードを再生する時に、その様な距離感に聴こえる程に位相情報を正確に再現できる再生装置は、ピアノの中にマイクを突っ込んだような録音を再生する際には、20cm、30cmの距離感を再現することになるからです。

そうであるからこその「Hi-Fi」と捉えていますし、自分の部屋の装置にはそうなってもらいたいと望んでいます。

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