日本て良い国だよねと、思った瞬間

昨日は「文化の日」、一日ゆっくり過ごす事ができた。この日に合わせてTV局も文化の香り高いプログラムを用意していたようで、久しぶりにたっぷりTVを楽しむことができた。

その中でも、NHK-BSで放送された「シリーズ 正倉院 宝物が語る平城京」は大変興味深く見せて頂いた。
紹介される宝物の素晴らしさと共に、宝物に纏わった人々の抗争、情念や趨勢が語られ、実に文化の日らしい良い時間だったと思う。


一夜明けて、本日11月4日はエジプト考古学史上最大の発見とされる「ツタンカーメン王」の陵墓が発見された日らしい。
朝の情報番組で紹介されていた。

その番組を見ていて、ひどく考えさせられてしまった。
というのも、ツタンカーメンが埋葬されていた通称「王家の谷」一帯は、沢山の王族の墓があるのだがその殆どが盗掘被害を受けており、1920年代の当時で既に、残された墓は無いと言われていたらしい。
そんなエジプトで、ツタンカーメンの墓が手付かずのまま発見されたために、副葬品の価値も含めて大発見と言われたそうだ。

800PX-+1_convert_20101104151044.jpg


多くの方は、修学旅行などで正倉院を一度はご覧になったことがあるのではないでしょうか?
私も中学の時に見た記憶が甦りました。

なんともあっさりと、人々が行き交えそうな場所に木造の倉が立っているという風情ではないですか!?
しかもホンの50年前まで、宝物はあの倉の中で実際に保管されていたそうです。

それなのに、国宝級*の品々や世界で唯一と言った希少な物が沢山(宮内庁が整理済みの物だけで9000点ほど)残っているのです。
少し信じられないような気持ちになり、NETで簡単に調べてみました。

(注* 宮内庁管理の皇室ご使用の宝物は一般的な文化財保護法の指定する国宝、重文とは区別されており、正倉院宝物類は一つとして国宝などの指定対象にはなっていないようです。建物自体は世界遺産登録に際して国宝指定された。)


すると、さすがに過去に何度か盗賊に入られたこともあり、また心無い人による窃盗などもあったらしいのですが、根幹を揺るがすほどの被害にはあっていません。
また、火災や兵火で東大寺の大仏は焼け落ちていますが、院はそのような天災、人災からも逃れて今日に伝わっているのです。

翻って、エジプトの陵墓は巧妙に盗賊回避のトラップが仕掛けられているにも係わらずの災難続きです。
勿論、日本でも前方後円墳などでも盗掘の跡は見つかっています。
しかし、質、量共に国内最大級の宝物殿であろう正倉院の無警戒ぶりと、それに反しての宝物の残存数は驚愕に値するのではないでしょうか。


電車やバスの乗り降りが整然となされ、350円のアイスクリームを買うのにも粛々と行列を作る。地球上でも類稀な資質を持った日本人と日本国。
正倉院の溢れんばかりの宝物を現代に見るとき、この国に生まれた幸せを思うばかりです。


その中でも象徴的な宝物を見つけました。

800px-RanJyaTai_Shosoin_convert_20101104151012.jpg蘭奢待 (ランジャタイ)
天下第一といわれる 香木の王様です。


この香木はこれまでに 足利義満、織田信長など時の権力者の手によって、50回程度切り取られた跡があるそうです。

香道に使うので一回の使用量は数ミリ四方で済みますから、写真のテープの場所のように僅かづつ切り取ったのでしょう。

そして、なにより敬服したのは、
それぞれ時代の天下人でさえ、蘭奢待自体を我が物にすることなく、使用後はそっと正倉院に返していることですね。

これほどの徳を持った日本が今は苦しんでいます。
一日も早い再生を願って止みません。


本日の記事中、写真と史実関係はWikipediaに拠ります。
また、宮内庁製作による正倉院のホームページでは宝物類の写真を閲覧できます。



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巨匠Furtwanglerが教えてくれること

正直申し上げて、僕は巨匠Furtwanglerの熱心な聞き手ではないわけです。(以下、名前が長いので巨匠とします)
中学生の多感な頃には、巨匠のレコードを全部買ったらレコードは終わり!なんて酷い勘違いをしていた時期もありましたが、無論そんな人生は歩まず今日に到っています。

長ずるにつれて、それまでは伝道師の如きお慕い申し上げていた「コーホーセンセイ」のウザありがたい文章に引く自分があり、時を同じうして巨匠の音楽からも遠ざかるようにもなりました。


現状の巨匠に対する偽らざる気持ちは、

感情の隆盛につれて大きく燃え上がる曲想といった巨匠流スタイルとそれに熱狂する支持者に対しては「ほんまにええんかいな?」と懐疑的になり、むしろアンチテーゼとして淡々と曲を組み立てて行きそうな職人気質指揮者に肩入れするものでした。

多数所有していたレコードも多くは処分をしてしまい、大物指揮者の中では最も聴く機会の少ない一人になっていました。



今週末は折からの台風接近の影響で雨模様となり、終日外出することも無くゆっくり音楽を聴くことができました。
実は10月の後半は講師の仕事が詰まっており(授業は1日6時間だけれど、準備に時間がとられる)帰宅後にアンプの電源は投入しても音楽までは聴けない日々が続いていたので、ようやくとここで溜飲を下げる思いでした。

こんなゆっくりした日は、自分のレコード棚にある「気になっていてもかけにくいレコード」を取り上げる絶好の機会といえましょう。

長いこと聴きたくても手が伸びず、疎遠になっていたレコードを聴くことができました。

DSC03234.jpg
見慣れない共通ジャケットです、
Pathe Marconiブランドの巨匠によるBeethoven Symfonie Nr.3  FALP-287  とありますが・・・

DSC03239.jpg
中身はふつーに ALP-1060 Made in Englandがしれーーっと入っています。
GG盤で何気にエンジェルは居るから海外向けの2版あたりでしょうけれど、「LA VOIX ・・・」ではないんだ。手抜き?

演奏は52年(頃)のVPOとのスタジオ録音で、巨匠最晩年の録音です。
この演奏については、コーホーセンセイは「冷静すぎる」と仰っていましたね。



僕は 通称「英雄交響楽」が大好きです。シンフォニーの中では多分一番好き。
カイルベルト先生やクレムペラー教授の名演はじめかなりの同名曲のレコードを持っていますし、頻繁に聴いてもいます。

それでも、ずーと耳の奥に残っていたのが、今回の巨匠の1枚でした。

これは、若い頃には随分と聴いていたレコードです。
しかし、今聴きなおして初めてこのレコードの価値を知ったのではないでしょうか。

この演奏全体を取りまく、想像を絶する程の透明感!(この賛辞の半分はEMIのスタッフへのものです)
各パートの完全なバランスと、内声まで見通せて織り成すハーモニクスの妙。
そして、類稀な和音の生み出す生きているかのような音色と息使い。(これはBeethovenとVPOにも感謝)


そして、やはりこの歳になって初めて巨匠の目指していたものや、それに因って到達した途方も無い境地をおぼろげながら想像できるようになったのだ。と思いました。
それはそれは、幸せな時間でした。


こんな心持ちで巨匠の演奏に接することが出来たってことは、少しばかりは我が家の装置もよろしくなったってことなのかしら。
そればかりは自分では分かりません。

しかし、死を目前にした偉人の最期の境地と言うのは、想像を絶するパワーがあるというのは判った。

これをオーディオに例えると老境の域に達した達人が使う、出力3wのシングルアンプと、フルレンジ(或いはそれにツィーターをそっと乗せたくらいで)だけで、音色とフェイズに全くにじみのない音の境地だろうか。


細かい機材は別にしても「潔くて、凛とした」オーディオであることは間違いないだろう。

驚くほど単純な道具建てで、驚くほど複雑な倍音を響かせる。
明らかに自分の理想には違いないけれど、果たしてその境地には何時になったらたどり着けるのやら。


一つだけハッキリしていることがある。
形だけ真似てシングルアンプ&フルレンジを使ってもどうにもならないってこと。

そこに行くまでには、マルチアンプやら5Wayやら、WEのシステムやらハイエンドやら、はたまた擂り鉢みたいなターンテーブルといった巨大な装置に溺れた後にシンプルな装置にたどり着いたのでなければダメだってこと!

機械の音の違いをトコトンしゃぶりつくしてから、実は機械の音の違いは大して重要じゃないってことも判るんだね。
これはまた、前回の記事のマーラーの言葉「二流の演奏家は・・・」に繋がるんだろう。

いずれにせよ、その人の歴史やバックボーンが重要だってことをマーラーやFurtwanglerは教えてくれているんだ。
たかがオーディオ趣味だって、若い頃は小さくまとまらずにヤンチャした方が、将来楽しみってことでしょう。
人生ってのは、別のことをしているようでも成功のキーは全て同じなんだよ!ってね。


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