文化の日を前に  「ホンモノ」を考える

食欲の秋とか読書の秋など日本の秋を形容する言葉は枚挙に暇が無いが、来る文化の日を前に受勲の話題も挙がる時節になった。

先日ある頂きものをしてこれをきっかけに想いを巡らせてみたことを今日の記事としたい。
なお、このブログは国の制度やあり方についてなど甚だ僭越な事を述べるものではないのを始めにお断りしておく。

また、自分のような才覚では及びも付かないことだが、日本国民として生まれたからには世の為、他人の為、お国の為の仕事を成して栄誉を賜る事ができるように精進したいと思っている。とだけ申し上げておく。



さて、この春に県の書道界の重鎮であられる先生が「旭日双光章」を受勲され、先ごろありがたくもその祝賀会にお招き頂いた。

その時にお使い物として頂いたのがこちらのカステラ
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これは、銀座文明堂のカステラで重厚な造りの桐箱に入った特製品だけれども、ホームページのお品書きにも載っている品なので関東近郊では召し上がった方も沢山おられると思う。

このカステラの持つ味わいが、これまでに頂いた御用達品への想いを振り返らせてくれた。
と言っても現代では「御用達」も宮内庁が必要として購入する物品と言うくらいの意味合いだそうだが、菊のご紋を前にすると身の引き締まる想いがあるのは日本男児としては当然の事だ。



時間は少し戻って、数年前に親戚のおじさんが受勲した際の記念としてお裾分けを頂いた。
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素晴らしい入れ物に入った朱肉。
使ってみたらニュルッとした感触で、印の鮮やかさとキレがハンパ無い。印泥の初体験だった。
自分ではその必要は無いが、落款を押す必要の有る人間が周りには多いのでその時にはこの朱肉を借りにくる。
写真を撮るときに裏を見たら24kだった!無垢ではなくて貼りだろうけれど。


もう一点はゼブラのシャーボ、皇居内の生協で販売しているスーベニール。
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漆色と黒の二本セットだった。なんとなくこちらが気に入って常用しているので擦れていたりする。
黒は大切に保管しています。




これらのご紋が入った品に限らず私たちにも購入が叶う「皇室御用達」は沢山有る。
現在は、一般競争入札による他省庁と変わりない選定方法が取られるそうだ。しかもその業者・商品リストは御用達の名前を使って不当な営利競争に利用される事を懸念してか公開はされていないらしい。
しかしながら、納入元もご使用の意図は心得ていて当然自社の第一級の製品をこれに当てることは間違いない。

このように、法律上も制度上も皇室側から特別なご用命の許認可が下る訳ではない現代の「御用達」ではあるが、それでも御用達品には共通する一種独特の「感触・感覚」を感じてしまう。


その特徴として確かにどれも上質で一級品なのは間違いないが、使う人を驚かすような「絢爛さ」が無いと言うことを第一に挙げたい。
例えば、宝飾品や女性の装飾品であってさえも欧米の有名ブランドに有る外に向けた強いインパクトを感じることは少ない。

突出した面よりも昔からの製法を守り丁寧に作られて、何年もの歳月を生き抜いてきた物が持つ「気負いの無さ」「奥ゆかしさ」「節度」を見事に体現していると思う。

そう感じる理由を恐れ多くも推察するに、それが日本の心そのものでありモノ造りの精神なのだから造り手が丹精こめて造れば自然とそのような感触が生まれるのではないだろうか。

陛下を始め皇室の方々のご生活は”質素を旨とする”というお計らいがあるように伺った事があるが、品位を保ちながらも華美に走らない御用達の品々は、誠に私たちのお手本とするに相応しいお品だと思います。



カステラを食べながら音楽を聞いていたら、高域が0.5dBほど下がって渋い音になったような気がした。
「主人の気持ちを慮る中々できたスピーカーじゃ、」(部屋の整理中で荷物が沢山出ているからかも・・・整理が済んでもこんな感じのままでいこう)


最後に
私が始めて御用達品を頂いたのが、有名な「恩賜のたばこ」であった。
マイルド・セブンらしいが、吸ってみるとどうも味が違う。(当時はラークを吸っていた。今は全く吸ってない)

それで、大抵のタバコを扱っているショップへ行きあらゆるマイルドセブンを購入し吸って味を比較してみた。
その結果、自分の感覚では「マイルド・セブンFX」という銘柄が一番近いような気がしたが、少し違うようでもあった。長年の謎は溶けないまま今も胸に仕舞ってある。

この件に関してご存知の方が見えたら、是非教えていただきたいと思います。







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デジタルオーディオはどうする?どうするー?

CDはダメなの?  とか
PCオーディオはやらないのお?

とか、意見をもらう機会が多くなってきたし、中には「オマエには最新技術の凄さが判らないだろう」なんて武道派も居るので一旦整理しておきたいと思う。
ただし以前に書いた「いくつの良い音を持っていますか」って記事だけは事前に読んで頂きたい。



SP盤やモノラル録音、1960年前後のステレオ録音までが主たる守備範囲なんで、ハッキリ言えばそれらを聴くことに限定すると蓄音器や戦前のWEや今使っているEuropaは最新ハイエンドの機械よりも明らかに「マッチしている」と思っているから使っているだけだ。

絶対的な音質(周波数特性とかS/N比とか試聴結果)は新しい機械の方が良いってのはサルでも判る話。
今後聴く音楽の趣味が変わって新しい録音をメインに聴くようになったら新しい装置に切り替えるのは自明の事で何度もそのように書いてきた。

そんな現在の僕に、良い音はこの世に一つしか無いそれは最新の技術だ。なんて論点を突きつけられても、
「ここでは貴方のお国よりもうちょっと人生が複雑なの」と紅の豚にでてきたジーナの銘台詞でもお返しするしかないので、カーチス君ももうそろそろ分かってくれよ。というのが本音。

ここまでは「聴きたい音楽があるからオーディオを選ぶし、所有する」
良い音なのは否定しないけど、その「音」を聞くために、好きでもない最新、優秀録音の演奏を聞く様な本末転倒な事はしたくない。というのが今日の一つ目の答え。



さて、次はハードウェアのハナシ。
私は長いこと家電AVメーカーで販売促進、マーケといった仕事をしてきた。ほんの数年前には32インチの液晶TVを298,000円で売っていた業界だ。「やりました!1インチ1万円を切りました」ってね。

それがどうだ、土曜日の新聞チラシをみれば、3万円台で売ってるじゃないか! 1インチ1000円だよ。十分の一!!

でもこれは勘違いしないで欲しいのだが、家電業界やソフト技術が詐欺だとかボッタクリ(でました)だとか言っているのではない。その時点では最善の技術と価格を提供していただけだ。
技術の進歩は、性能だけでなく低価格化、小型化を進めるという事実を具象化しただけのこと。

デジタル技術全体がまだ発展途上で未成熟なだけなんだ。
今現在のデジタル技術の成熟度を百年後に振り返ってみたらどの辺りだろう?
小学生?高校生くらいにはなった?どうだろうか。成長分野には多額の投資がされるし優秀な頭脳も集まるから今後も伸び代は大きい。

今の段階では、今日の最先端も明日には最後尾になるって現実を個々のユーザーがどう捉えるかだと思う。
新商品をチェックして、ソフトウェアの更新に目を光らせて、自身でも実験を繰り返してその結果を情報発信する。
NET時代では企業の研究室だけでなく一緒に走ってくれるそんなユーザーも沢山必要だ。

一方、普通のおじさんオーディオマニアがハードウェアスペックだけにほだされて手を出すと、数年前に買った35万円のSACDプレーヤーも今日買える39800円のユニバーサルプレーヤーに劣りはしないかと震えて過ごすことになる。結局はハードに先んじて聞きたいソースがあるかどうかに帰結する問題だと思う。(新し物好きの人や買い物フェチのお金持ちは除く)

今の自分にはありがたいことにどうしてもハイレゾやCDでなきゃ聞けないソースってのが極少ないから静観して賢い人達にお任せしているって寸法だ。

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こんな他人行儀な発言をする僕だって、ヴィヴァルディの四季の新解釈は何種類もCDで買っているし、未発表の放送用クラシック音源だけでなくシンディ・ローパーやケイト・ブッシュもCDで沢山持っている。




ここまで書き終えてから思ったのだけれど・・・

デジタル技術が日一日と進歩してゆくのは間違いないけれど、技術の進歩が音質の向上に繋がって行くと考えるのは、子供ながら高度成長時代を生きてこれた幸せボケのおっさんの発想じゃないだろうか、と思った。

現状の経済状況のままだとその技術進歩も低価格化や小型化に大きくシフトしてHi-Fiは取り残されるかもしれない。

質の高い文化の趨勢はグローバルなマクロ経済の成長と密接に関係するから、何よりも景気回復が最優先なのだろう。
若い人たちは大変だろうけれど頑張ってもらうしかないね。音を良くするために。

でもミクロで考えればどの時代でも等しくチャンスはあるのだから全く悲観することはないよね。






「うえすたん」という会社

毎度のことだが、古い機械ばかり弄っていると不思議な感覚に見舞われることがある。
自分の脳が眩暈を起こすとでも言うのだろうか・・・世間的にはとんでもなく汚いものが美しく見えてしまうのだから、これは明らかに病気だ。


古い機械だから、まあ大概は汚いしボロイ。シャーシは隙間だらけだし、その上業務用であればデザインだってゴツさばかりが先に出ている。

しかし何と言うか「畏怖の念」を感じるのはオーディオに限らずいつも古い機械達だったことも正直に告白できる。

「畏怖の念」とは、同じ工業生産品で言うと江戸切子や寄木細工を目の当たりにした時に
「もうしませんから、かんべんしてくださいーー」って土下座せざるを得ないようなパワーのことだ。

その源はなんだろうと考えてみると、職人さんの仕事に打ち込む「情念」の有無だろう。
一流の斬新なデザインに、最高に良質な材料を使って、どれ程高精度な加工を施してもインダストリアルな製品ではたどり着かない世界があるに違いない。

まあそんなことは誰もが分かっているが、その道ではど素人の僕よりずっと江戸工芸に造詣の深い人だってオーディオなら音や使い勝手で現代品を持つ方が余程多いと思う。
オーディオにも職人芸を求めてしまうから、自分は脳が眩暈を起こしていると言うのだ。



さて、ステレオ音響なる近代のカラクリに現を抜かし、さらに大切な原典のオーディオを長いこと蔑ろにしてしまった。

こと此処にいたって、いよいよ自責の念に耐え切れず、まずはSP盤の電気再生におけるパワーアンプのメンテナンスに取り掛かることにする。(まだ宣言にすぎないか!)

で、随分以前に入手した 「WE-14型リプロデューサー」 である。もう2年も前だ(汗)

これがアンプボード(木の板に組まれたアンプ部)の全てだ。
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抵抗・ゼロ、コンデンサ・ゼロ(外付けで1個!いるらしい)・・・真空管のあいだをトランスで繋いだだけ。

下手な写真で正しく伝わらずに大変恐縮だが、この板といい、トランスといい、ツマミ一つを取ってもその仕上げの美しさと言ったら息を飲むばかりである。

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いつの時代(1922年のようだ)にどのような目的で生産されたかは知らない、こんなナリでも家庭用なのかとも思う。しかし豪華絢爛なオーディオやラジオ、高級乗用車などとは明らかにタッチが違う。

横須賀や厚木の基地でお祭りの際に閲覧できる戦車や戦闘機の備品のような「ポッタリとしてツルン」としたタッチだ。
もう少し普遍的なもので例えると、昔の電車の運転席(クリームの塗料を厚く塗っていたやつ)に近いだろう。

工業生産品を越える何かがあるのかは知らないが、今に至るまで多くの人の気持ちを引き付けるのはやっぱり稀な存在だからと思う。

これで、音まで良かったら反則だ!
でも、僕の脳はもう聞かなくたって音が良いに決まってると告げている。

「戦前のうえすたん」という会社はきっとそういう会社だったのだから。




古いアンプは本当に良い音なのか? その2

戦前のアンプは本当に音がいいのか?
今日は二つ目の問題についてです。

まずは矩形波の出力波形を

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これで1kHz。冗談か、ギリセーフの境目。



続いて
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100Hz。完全にアウト(笑)
10kHz も取ったが、ほぼ正弦波といえる(爆) これほど酷くはないが、古典球に古典トランスを組み合わせたAD-1sも似たり寄ったりだった。


真空管アンプは歪があるからホンワリして癒される、なんて意見もあるようだがそんな次元を通り越したひどさだ。

しかし、人間の耳はまた違った判断をするので話は複雑になる。
何方にお聴き頂いてもこのトボけたアンプの紡ぐ音楽は他を圧して素晴らしいと仰って頂ける。自分で聞いてみても、「なんて気配出してやがんだ!こいつは」と思えるから困ってしまう。

誤って解釈して欲しくないので言うが、人間の感性は測定器を超えた所にあるとか、これこそ真空管の暖かさだ。なんて子供じみた結論に導こうとしているのでは決してない。
測定結果と聞いた印象の乖離に困惑しているだけだ。



アンプの不思議とは直接関係ないが、先日TVを見ていてなるほどと思ったことがある。
タモリさんと脳学者の茂木さんが出ていた番組で、女性の「美しさ」についてタモリさんが話していた。

「整形した人の顔って実は綺麗じゃないんですよね。
人間の顔はどんなに整っていても、自然の造形物である限り何処かに不均衡や歪みがある。そこを美しいと思う。

だけれど、整形をするときには物差しで計ってやるから、自然さが無くなって造り物の美しさになる」

といった。この人はもの凄い洞察力だなと感じた。
「全体の均整が取れている」ことと、「単に寸法的に同寸、或いは対称である」ことの違いを人間の脳、つまり感性は見分けるのだろう。



くどいけど、女性に例えて歪があるアンプの方が音楽性豊かだなんて言おうとしているのではない。
そんなことじゃなくて、女性の美にしても顔の造りの問題ではなく、見た人の脳の認識の問題つまり見る側の美意識の問題なのだとつくづく思ったのだ。
男同士で酒の席。各々女性の好みを言い合って、その幅の広さにビックリされたこともあるだろう。

「われ思う、故に我あり」みたいな話で恐縮だが、「我聴く、故に音あり」だ。

先般、ハム対策の項で書いた「スピーカーに繋いで耳に達しなければアンプのノイズは存在しないのと同じ」と言う事とこれは同意だと思う。

ということで、今日の結論は「昔のアンプなんてそりゃ音は悪いよ」でも「実際に聴いてみなきゃ、判らん」という間抜けなことになった。



古いアンプは本当に良い音なのか? その1

まず、「良い音」の定義が無いと始まりません。

幾度と無く書いているけれど僕は「自分の好きな音」ってのが無く、一流の機械がキチンと動作した音と言うのはどれも感服するばかりだと思っている。

それでも無理やり「好き嫌い」を申せば蓄音器の音が好きだが、それは決して「良い音」と同義で考えてはいない。

良い音は「充分に広い再生帯域(どこかで38万~40万の法則を満たす)」「平坦なレスポンス」「低歪」を満たしている音と考えている。
もう一つステレオ再生の際には「2つのチャンネルが近似である」という要素も重要になる。



では、本日の御題である「古いアンプは良い音か?」について考えるが、結論から申すと今回の修理において、2点ほど問題ありと認めた。

まず、一点目は 周波数特性の問題。

家庭用アンプの場合は、平坦な周波数特性をクリアーした物を大量に生産・販売すれば商品として成り立つが、ステージ用アンプは設置先の音響特性にフィットさせたオーダーメイドの納品になるから、通常1台、1台イコライジングされて異なる周波数特性を持つことが多い。

この点は、戦後のアンプは合理化が進んでイコライザー機能(トーンコンですね)を持たせたり、別途イコライザーを用意することで汎用性が高まり、アンプの基礎的な特性はフラットなものが多くなった。
しかし戦前においては完全な現場・現物合わせのケースも多く、同じアンプを2台購入して周波数特性を測ると個体差とは言いがたい差異を示す場合がある。

つまり、中古品や取り外したアンプを購入し、そのまま自宅のオーディオセットに接続しても直ぐに真っ当な音を再生できない場合も少なからずある事になる。

2台のアンプの特性に差があるまま使っておいて、「名前ばっかりで大して良い音がしない」とか「これが味があって良いのだ」なんて誤解を生じていることも多いように思える。

PICT0044.jpgアンプ自体が大きくて重いので、必要な測定器を最小限持ち込んで計測に入った。




兎に角色々な要素が絡み合って原因を作っているので全てはリポートできないのだけれど、将来の自分のために項目で残すと。

・入力トランスにおける負荷 (CR発信機は出力Z=600Ωなので、この時代の入力トランスでは負荷が重過ぎる、200Ωのフェーダーを入れた後に測らないと高音で損失が出ると気付いたのは少し経ってからだ)

・この時代はトランス単体の特性が狭いので回路上の共振で両端を伸ばしている。
その共振点をずらして特性を整えている。

等など、それぞれ確認を取ったりCRを外したり別の値のものを着けたりしながら毎回周波数特性を測っていたので、A4の大学ノート1冊近いデータになってしまった。
なんとか一月をかけて2台の差を0.5dB前後にすることができた。

こうして書くと、そんなの経年変化や組み立てのバラツキだろう!なんて家庭的な意見もあるといけないので、ライン出力トランスのアップを載せておく。
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・最後まで気付かなくて苦労したが、入出力トランス、段間トランスは型式の後にも番号が振ってあり、周波数特性の個体差が結構ダイナミックだ。
左は 2201/9 右は2201/16 (005が並記されているので入力トランスとしても使ったことがあるようだ。)



最終的にアンプトータルの周波数特性は40Hz~14kHzで-2dBに追い込んだが、40万を少しオーバーで残念。
そして、この結果は今の常識からすると、ハナシにもならないくらい狭帯域である。いわゆる「良い音」のアンプとはとても言えない。

ただし、これでレコードを聞いてみると低音も高音も過不足がないばかりか、実にバランス良く聞こえる。
不思議に思うけれど理由は明確だ。
Neumann DST-62は上が15kHzまで、Europaも保証は15kHzまでなので、入口から出口までエネルギーが保存されたまま伝えられている。
だからこそ、ソースたるレコードに1970年録音以降の盤や逆に古いSP盤を用いると、高音が詰まったり、ノイズが多くて薄い音になる。

ソース側にも「丁度良い」帯域のものが求められるのは、オーディオで有る限りこれは道理だ。


スピーカー出力のトータルな特性を見る
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このスピーカーを購入以来かつて無い良質な特性だ。
これまでお見せしてきたのはZeissアンプとの組み合わせだったが、そこで目に付いたピークやディップが見られず、穏やかな、ふたこぶラクダのような特性になっている。

この結果は、レコードを聞いた印象を充分に裏付けるものだ。
ただし、右端の20kHzのレスポンスは無くなっているが、これは上述した通りの理由による。



長くなったので、2つ目の問題は次項に譲る。












戦前の劇場用アンプと付き合うということ  

19歳の時にバイトを頑張ってSiemensの鉄火面コンビネーションを購入して依頼、30年もいわゆる「供給側」の音響と戯れてしまった。


それを聞き及んだ方から時々「自分も業務用のオーディオをやりたいんだけど」という相談を受ける事があるが、僕に相談されても実は答えを用意していないので何時も返答に困ってしまう。

よくよく聞いてみると、ラックマウントのPA用トランジスタアンプを使いたいという意味だった事もあり、これは継ぐ機械のインピーダンスに気をつける程度なのだけれど。
問題なのはハンダコテも握った事がなく、測定器もお持ちでない方が、WEであれば46型以前のものや、Klangfilmの50年代までのアンプを使いたいという時で、上の質問や相談に対する答えでもあるから今回の補修で気づいた事を幾つか書き留めておこうと思う。

ただしどうしても、古い時代の機械は変態だよ。って話が多くはなると思う。
しかし、決してネガティブキャンペーンを貼るものではなく、むしろ想いのある人はドンドン挑戦して欲しいと思うからこそなのでその心算で読んでいただきたい。



また、そんな難しい事には正対したくない、ただ珍しい機械を使ってみたいだけ。
厳しい意見には耳を塞いで気持ちよく購入の背中を押して欲しいと思う人は、こんなブログの戯言には目を伏せて各地にある専門店に相談される事をお勧めする。

現行機では決して得ることのできない深遠な良い音が「いかに簡単に」手に入るかを丁寧に説明してくれ、商品についているプライスタグの「0」の数の正当性を納得できて、気持ちよく購入できること間違い無しだ。



前置きが長くなってしまったので今日は1点だけ。

前回までノイズ対策の実例を2,3記事にしてきたが、まだまだ数限りなくあってとても全てはエントリーできない。
しかし1件、本項の題目に象徴的な事項があったので取り上げておく。

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多くの真空管アンプで本体正面の中央に鎮座ましますメーターは、出力管のプレート電流を監視する為だろうがさにあらず、これは電源電圧の監視用メーターなのだ!

1930年当時、Klangfilmは欧州本土、ロシア、北アフリカ等に機材を供給していた。

150v、200v、220v、240v他、沢山の電圧の地域があったし、何よりも現在の日本では想像もできないような「変動率」であったと思う。
(昼でも夜でもテスターを突っ込めば106vを示す国なんて、現代でも幾らも無いのじゃないかな?こんな電力事情なのに日本という国はとことん凄い国だと思う。若い世代が平和ボケしてこれが当たり前だなんて考えていたら、逆の意味で国際化が難しくなるかも)

そういった多種多様な電源事情に対応する為、メーターの下に口のように見えるスライダー=電源用のレオスタットでアンプへの供給電圧を微調整できるようになっている。中央の赤いラインでピッタリ



これだけでも、民生用アンプでは考えられない機能だけれど、このメーターは更にトンでもないヤツでもの凄いハムノイズを撒き散らしていた。

メーターの直ぐ上側が抵抗のラグストラップで信号ラインに近接しているからメーターへの配線を外して不動とするだけで爆音ハムはキレイさっぱり消え去ったけど・・・

家庭で音楽を「楽しむ」アンプとは使命と求められる性能のプライオリティが違う。音が良いといった抽象的なものは二の次三の次で、一番は壊れない事(客に入場料を返せと言われる)二つ目は長く使えること(経費削減)が何よりも優先される。

そうした背景を知らずに、コンデンサの容量が・・・とか、アースラインの引き回しが・・・とかを幾ら弄ったところで全くノイズには影響がないようにアンプは練り上げられているし、犯人(メーター)にたどり着かなかったかもしれない。

事実、ノイズ対策の最終段階でアースポイントの位置、ラインの取り回しをできるだけ試してみたが、ことごとくオリジナルの引き回しが一番ノイズ電圧が低かった。
Klamgfilmの技術者は、ソレくらいアンプ作りに精通していたということだ。

こうしたスタビリティ重視の設計や部品選択が結局、現代人の目からみると音が良いという風潮に繋がって、本来は楽隠居を決め込む老齢の機械がウソのような高額で取引されるのだからこれは皮肉な話だ。



ということで、次回は「昔のアンプは本当に音が良いのか?」についてです。





鉄心入りコイルは 大好き。だけど困り者

ハム対策も3回目になります。

今回は60Hz(商業電源が直接原因のもの)
120Hz (整流後のリプルによるもの)

の中で、影響の大きかった事例を取り上げます。


トランスやコイルの電磁誘導対策です。

以前はアメリカのアンプを使っており、一流の機械に搭載されていたのはUTCやTRIAD、ピアレスなど大きなケースに入ったりっぱな体躯のトランス達でした。

デザイン性はもとより、電源トランスやチョークコイルからの漏れ磁束による電磁誘導対策や磁気シールドの対策が施してあった。

遡って更に古い時代のトランスはむき出しのままのものも沢山ありましたが、相互影響を受けないように距離を離して四隅に配置するなどしてノイズの混入を避けていたものです。


はい、では1枚目の写真
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左の大きなのが電源トランス
中央がチョークコイル
右端が出力トランス。

これほど大きなシャーシに組んでいるアンプなのに、なぜトランス類をこんなにキッチリ並べているの?
それぞれ、コイルの軸を交差させて気持ちばかりの配慮はしていますが、何分この距離ですから盛大に飛び込んでくる。

電源トランスからは60Hzが、チョークからは120Hzのノイズが出力トランスに存分に流れ込んで行きます。




そこで、シールドを施術するのですが、ここは考えどころでもあり、無闇にゴリゴリとできないということだ(本によると)

つまり、トランスやチョークコイルは、元々磁束を発生して相互誘導作用で動作しているのだから、この磁束を押さえすぎると効率が低下して本来の作用が減じてしまうらしい。

また、対策すべきは「電磁シールド」と「磁気シールド」の2種類があって其々異なる対策が必要。と、いささか面倒くさい。



そして、どのトランスをシールドするかも大きな問題。

出力トランスを強力にシールドしてしまえば60Hzも120Hzも一網打尽にできて良さそうなものだが、アンプのシャーシ内を強い磁束が渦巻いたままでは、インターステージトランスや、初段のプレートチョークにも影響が残るだろう。
真空管やその他の部品への影響も捨てたものじゃないかもしれん!

何となく電源トランスの影響が大きそうだけれど距離は少し離れているので、まずは出力トランスと隣接しており、且つ配線のやり直しが楽な平滑チョークから対策を行った。

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これは電磁シールドで、コイルの上に銅板でショートリングを巻く。
つなぎ目をハンダ付けして、メッキ線で引き出しておく。

この後、コア外周にそって、鉄板(磁性体)を巻いてコアリングとし磁気シールドを施した。




これは効いた。この対策で40mV以上あった残留ノイズは20mV以下になった。

予想以上の成果に気を良くして念押しのために出力トランスも同様の施術を行った。
そちらはノイズには殆ど影響なし。

作業中、ノイズ増減の確認は電圧計だけに頼っている。(前にも書いた通り気分やイメージで捉えると自分が手を掛けた物への愛着や体調などで判断を誤るから)

だから、出力トランスの対策による音への影響の有無は分からない。シールドによって誘導作用の効率が落ちるなら元へ戻さなければ成らないかも。

大昔のWEのトランスは「裸」だから音が良いんだ。なんて説が表れないことを祈りましょう。(既にそんな定評があったりして・・・)



現状では、最大の磁束漏洩元と目される電源トランスには対策を施していない。
ハンダ付けをしてある箇所が多すぎて、とても手を付ける気にならないから。

でも電圧の供給に悪影響が出ないならば何時かは処置してみたいと思っている。





古典アンプのハム対策は、教科書通りに行きません。

入力した信号を増幅して出力する。

通常のオーディオアンプなら極めて単純なアンプの目的ですが、お客さんを集めてお金を頂いて音を聞かせるという環境で使われる劇場用アンプは、いわば消防車や救急車のような「はたらくくるま」の仲間ですから、家庭用の乗用車では思いも付かない様な様々な特徴を持っています。



さて、古い時代の劇場ステージ用のアンプのノイズ対策の2回目です。

今回の対策すべき事柄を分野わけしてみると

Ⅰ:60Hzのノイズ
Ⅱ:120Hzのノイズ
Ⅲ:回路などによるノイズ  の3つに分けられます(この分類は大抵のアンプで同じです)

前回に引き続き、Ⅲ)の回路や部品の問題を取り上げます。


繰り返しになりますが、このアンプは入力セレクターとイコライザーを持つ「プリアンプ」と、「パワーアンプ」そして、前項で撤去した「モニターアンプ」の3つのアンプを内蔵した、いわば「プリ・メインアンプ」になります。

ということは、前項で挙げた写真の様に、この時代のKlangfilmではアンプ一式を映写室(客席の後の壁の奥)に設置し、ステージ上のスピーカーまで長い長い、時には数十メートルもスピーカーコードを渡していました。

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Rhysik und Technik Des Tonfilms Vol.2 より 
左の立体図中 3がアンプ     
右のダイヤグラムの上から 2番目b)が Junior-klartonであるとしています。(1939年)


このためでしょうか、スピーカー端子はフローティング(2次側のコールドが接地されていない)で、長旅を強いるスピーカーまではシールドケーブルを使っていたことが想像されます。

アンプを手がけた方ならすぐにピンと来たと思いますが、出力トランスの2次側を接地しないままスピーカーを使うとけっこうな量のノイズを拾います。

じゃあ、おまえもシールド線使えばいいじゃないか!ッてことには成らないんですよねえ。
ここで間違った使い方をすると、ヴォイスコイルの動きにより発生する静電気で、ライン上にカミナリが発生する危険性があるですばい。

そんなことは先刻ご承知のZeissのアンプには、最初から出力トランスの2次側とシャーシの間には0.1μFのコンデンサを挿入して手を打ってあります。(さすが大企業! Part2)

まあ、まあスピーカーコード1mの我が家ではわざわざシールド線を使いキャパシタンスをパラって高域のレスポンスを落とす必要も無かろうと、バシッとトランスの2次側で0vラインに落としてくれたわい。

この対策はハムには関係ありませんが、オシロ上でトゲの様に突き出ているジージーノイズを押さえる事ができました。

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右上のトランスがステージ用 200Ω その下がモニター用で15Ωの出力になっている。
双方とも0vラインに落ちていないが、作図した人が手を抜いた訳ではない。
実際の配線もニ芯シールド線を用いており、0vに落ちているのはシールドの網線だけだ。




今日は、もう一点この長いスピーカーコードに纏わる話題で、 むしろ言い訳と言っても良い。

上述した通り、長距離の配線に対応して、出力インピーダンスは200Ωであり、30v位でしょうか、電位を高いまま送るのは広い劇場用の常套手段です。

しかし、出力トランス単体で見ると・・・

1次側 A-A のZ-5kΩとしたとき、2次側 200Ωでは 5:1のレシオになり

                    2次側 15Ωならば 約18:1 です。

すなわち、増幅回路中のノイズが同じならば、出力15Ωのアンプに比べて3倍以上も大きなノイズを出してしまう。

もし、15Ωのアンプが3mVの残留ノイズで実用とされるならば、200Ωのアンプのノイズは10mVでよしとせねば成らない宿命であります。



逆に見ると、同じ時代のラジオセットの多くがスピーカーインピーダンス4Ωであったことは、ハムの面でも非常に合理的な選択だったと言える。
ハムの対策はお金が掛かる(コンデンサ増やすとかシールドとか距離をとるためにシャーシを大きくするとか)ので、低価格で聞き易い音を提供できる「一石二鳥」のヒューマンな技術です。


一方、劇場用アンプはノイズが大きくとも、聴取者までの距離は大変遠いので実用上は全く問題とされない。

家庭用ラジオを聴く距離で、劇場用アンプとスピーカーを使おうとするからこそ、こんな苦労があるわけで。
一度、我が家ではハムを感じていたアンプを近所(初期盤3万枚男宅=Lowther TP-1。低域はしっかり出るスピーカー)へ持ち込んて聞いてみたら、全くハムが聞こえなかった。

ハムノイズというのは、スピーカーを繋いで始めて存在するという当たり前の事を気付かされたし、アンプの問題と言うよりはむしろ使うスピーカーの最低域の再生能力や部屋の大きさ、反射特性等々によるトータルな問題だと思い至った。



まあ、それらを乗り越えれば、劇場用装置の近傍聴取は得られるものは途方もないモノなので重い荷物を背負って急な坂も登ろうという気にもなるのだ。









さあーて、古典アンプのノイズに挑戦しましょうか

この一連の記事に関しては 2ヶ月ほど前に行った事です。
作業中は満足に写真も撮れなかったので、手元に残っている資料だけで話を繋いでまいります。若干分かりづらいこともあると思いますが、ご容赦願います。


さて、何時もの通りまず手始めに、作業綱領を作ります。

1)充分な現状把握と
2)問題点の抽出
3)克服すべき課題の設定
4)具体的解決策の策定と実行

これは、遥か昔に受けた昇進試験のときに、レポートや研修で教わったことと何一つ変わりがありません。
原因ごとに項目を分けて、其々の要素を影響の大きい順に重み付けして順位をつけてゆきます。

原因を大きく3つに分けると

Ⅰ:60Hzのノイズ
Ⅱ:120Hzのノイズ
Ⅲ:その他回路などに起因するノイズ  

そのⅢの中から、今日は一番影響の大きい要素のお話しをします。
この巨大なノイズを残したままでは、他の作業は全く行えないのです。



昨日掲載した全体の回路図を見ると、このアンプは3つの異なる部位からなる3in1アンプである事が分かります。

回路図中、中央に向かい合わせに有る2台のトランスをはさんで、左半分はプリアンプを構成します。
当然ですがこのままのプリアンプはノイズの塊りですから、現在はCUTしてあります。

その右側がこれから使うパワーアンプになります。


そして今日の注目は、パワーアンプの下に付いている「コバンザメ」のようなもう一つの、シングルアンプです。

DSC01989.jpg

直熱三極管 KL-71411のシングルアンプで、映写室内のモニター用にちょこんと取って付けた様に回路中に挿入されています。

でも、判る人がみればこれは「冗談」以外の何モノでもないですよねえ!


PP回路の片方のアノード(プレート)から 0.1μFのC一つと0.1Mのポテンショメーターだけで信号を横取りして「はい、モニターアンプ1台出来上がり!!!」ですから。

このアンプ自体も酷いノイズですが、何より本筋のアンプへ大きな影響を与えてしまっています。

これじゃあ、PPアンプの動作バランスもへったくれもあったもんじゃありません。

盛大なアンバランスによって、莫大なノイズを発生しています。

対策は簡単です。件のCとPの配線を外して真空管を抜いておけば良いのです。
しかし、今回は後日説明する別の理由もあって、トランスを含めた一連の部品を撤去しました。この項はこれで一件落着です。



以前に、コントロールスピーカーKL-L305で、天上からバッフルを吊るすぞーー、でも諦めたぞーーという記事を書きました。
その時の諦めた原因は、このシングルアンプが全く使えないためでした。22_convert_20110208190100.jpgまさにこのヤツですね。


この作業だけでノイズはどーーーんと約半分に減りました。

それでも、残留ノイズは40mV以上はありますから、まだまだ先は長いのです  (T T)





KL-32611 アンプ  実用化に向けて

営利企業と言うものは、すべからず効率を上げて利益を追求し公人としての社会責任を全うし・・・

ま、平たく言うとコストを下げて売上を上げる為に、合理化は不可欠なわけで。
劇場用の音響システムを提供するのであれば、館の大きさによって適宜ウーハーやドライバーの数を増したり、ブースターアンプで出力の増加を図ってフィッティングを行うと基本コンポーネントはそれぞれ一種類あれば使い回しが利きます。

WEだってALTECだって、これは当然のことですね。(515を4本に288を2本使うとかね)

ところがどうも、ドイツ人の生真面目さというか融通の利かない処ですがKlangfilmのシステムでは想定される劇場の規模によってアホみたいな種類のラインナップが用意されており、企業の効率としては最低の部類に入ります。
よって、そんな体制は間もなく崩壊しましたが。


多くの人は「オイロダイン」という名前のスピーカーがあると思っているようですが、実は「オイロダイン」はシリーズの名前で、そのシリーズを構成するパーツとしてアンプもスピーカーも存在します。

ちょっと古いけれど、ONKYOの「INTEC」というシリーズ名のような意味合いで「オイロダイン」という呼称が使われているのです。
「INTEC」の中にはアンプもスピーカーもあると。



前置きが長くなりましたが、800人のホール用として

Europa-Junior-Klarton シリーズがあり

それを構成するスピーカーに KL-43006 が
同じくアンプとして        KL-32611 が配置されています。

01_convert_20111007125524.jpg
アンプにも ジュニア-クラルトン-アンプと命名されています。

同様にオイロダイン-アンプもありますが、実際には使われていないアンプも(ドイツ製というだけで)オイロダインの威勢をかったモノも多く流通していますので、購入の際にはそんな乗っかり商法には注意が必要です。

その辺りは別途詳しく記事にしたいと思います。


さて、そんな専用のアンプを使うことを楽しみに購入し、整備をしたのは数年前になります。
出てきた音は納得以上のパフォーマンスでした。しかし、ステージ上に置かれたスピーカーを駆動するアンプですからノイズに対する許容度が桁違いです。・・・・ひどいノイズの量です。

入力をショートし、出力端をバルボルで測ってみると、80mV(200Ω)あります。

普通のメーカー製多極管PPアンプならば 0.5mVでも大きい方か。

ヴィンテージアンプや三極管アンプでも 2~3mV辺りには押さえたい。

まあ、出力Zが200Ωですから単純比較はできませんが、それにしてもです。 
自分としてはハムを気にしない方です、しかしこのままでは鑑賞に支障の出る状態です。

PICT0055.jpg

記念にノイズの波形を撮っておいた。

60Hz に120Hzが乗って、お手本のような電源ノイズ(Hum)。


此処からがノイズ退治のスタートです。

しかし、私はノイズ対策はあまり経験がないのです、AD-1sアンプは最初から問題なく現在はヒーターをAC点火しているくらいだし。
Ziessのアンプは同じ劇場用なのに全く問題ない。(さすがに大企業はたいしたものだ。というか傍熱五極管PPだから当たり前?)

以前に使っていたV69を始めとするスタジオ用のアンプは「壊れているんじゃないか?」と疑うほどLowノイズだった。


このNet時代は本当にありがたいもので、その気があれば自宅に居ながらにして勉強が出来る。

とりあえずは、ハム対策の方法論の勉強を必死に始めました。






AD-1s アンプが壊れたーー 

私のようなズボラ+物忘れの激しい人間にとっては、技術の進歩というのはありがたいもので・・・
特に日記をつけなくてもデジカメでカシャッと写真を撮っておけばそれが何時の出来事だったのか画像データから分かるのです。

そのデータによるとEuropaの組立てが終了したのが8月1日なので、修理期間は5日間ほどでした。

これでいよいよ音楽を聴けるぞ、と喜んでいたが(我が家はスピーカーが1台しかないので、修理の間はPCでYou tubeを流すしかなかった。 で、「エブ・カチュ」が好きになる)本当の厄災はこの後やってきた。



AD-1sの片方が、「音も無く、音を無くした」
何の前触れも無く、突然発音を停止しました。  なんですとーー!

プチパニくりながら、それでも何時もの通り各部電圧を測り、オシロで出力を覗いて見た。

+Bの電圧が通常時より1割ほど高めに出ていたのが判断を狂わせたのです。
そして、出力波形は「よわーい120Hz」が漏れ出すような。

それで、自分としては出力トランスのレアーショートを疑ってしまった。

DSC02551.jpg

現行品ならば交換すれば良いのだが、この出力トランスはNETであちこち探しても見当たらずほとほと困ってしまった。

今から考えればよっぽど冷静さを欠いていたと思えるのだが、仕舞いには「自分で巻き直してやる」とまで追い込まれていたのです。(正確には勝手に追い込んでいた)

以前断線して使えなくなっていたトランスをバラシテ構造の勉強をしたり、巻き線機を購入する計画まで立てたの・・・だが。





どちらにしてもかなりの長期戦を覚悟しなければいけない、そこでもう一台遊休中のアンプを復活させながらAD-1sアンプの善処策を練ろうと言うことになった。(ホントに追い込まれていたなあ)

で、本来のEuropa専用アンプであるKL-32611の実用化への道を歩みだしたのです。

DSC01978.jpg
2年もかけて音は出せる様になっていたし、その音もすこぶる付きなのだけれど、ハムが酷くて使わずにいた。
それに、特性も揃えて居ないから一軍登用には至らなかった。

AD-1sアンプからは少し離れてこちらに注力することになったのです。




でも、AD-1sアンプの修理の記事はこれでお仕舞いです。  連載じゃないのね。

どうなったかって?  平滑回路のOUT側のコンデンサーの容量抜けだったんです。
出力管のアノード(プレート)まで300vが出ていたので頭の中で容疑者から外していたのです。
一番最初に疑わなきゃいけないことなのにね。

思い込みは怖い、正しい判断を曲げてしまう。残り少ない人生の教訓にしましょう。