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ウエスギ研究所に行って参りました。 S/N比の値段

真空管アンプの名門であるウエスギ研究所は創業者の故上杉佳郎氏の後を藤原伸夫氏が事業を引き継ぎ、意欲的な新商品を展開してファンの皆さんも胸を撫で下ろしてることと思います。

その藤原さんが昨年我が家を尋ねて頂いたことは以前の記事にあげました。
1年と少しが経ち、先週末に今回は私が「ウエスギ研究所・横浜事業所」でもある藤原邸にお邪魔して来ました。

東京と横浜の間に位置するような絶妙なロケーションの閑静な住宅街にあるのですが、通りからは母屋しか見えません。
中庭にそれはありました。
増築というよりは母屋から独立していますので建て増しですね。当然の事電源の引き込みや水回りも個別です。
電源容量をいくらと言われていたかな?ビックリして記憶が飛びました。普通の住宅で3軒くらいの電流だったと思います。

さて、専用室の玄関〜入り口のドアと2つの重い扉を開けて中に入ると・・・・

あの感じが身を包みます。
あの・・・と言ってもですが。
コンサートホールに入ったときに、耳ではなく全身で感じるあの感じです。

圧倒的な静けさが全身の細胞を包み込みます。
お話によると部屋の中に一回り小さい部屋を作った二重構造で 18.5dB(Anet)のノイズレベルを達成しているそうです。
これだけでもう、遠路はるばる尋ねて来たかいがあるというものです。

このS/N比を獲得するには、装置とは比較にならない金額がいるんだな。と再確認させられた体験でした。

ご挨拶やら近況のお話をしている背後には、小音量でピアノが鳴っていましたが使っているスピーカーの大きさ(規模)からは想像もできない音離れの良さです。
視覚情報はALTECの15インチ・ダブルウーハーを見ているのに、そのスピーカーとは何の関係もない場所から聞こえてくるがごときピアノの音の聴覚情報は全く別世界の出来事のようで、自分の脳の中で整合が取れずに感覚の戸惑いを覚える程です。

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これがALTECとオンケンドライバー&ツイーターの3Wayスピーカー

沢山の演奏と同じだけ沢山のお話をできました。
詳細を全て書く事はできませんが、藤原さんといえばその代名詞とも言えるアンプがあります。
Victor在籍中にやりたい事をやりつくしたかのようなこだわりの固まりである・・・

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Victor ME-1000アンプ 1995年リリース 1台あたり83kgのモノラルアンプ

お邪魔するにあたって楽しみの一つであった新しいウエスギ・アンプの音は、全国から試聴会や試聴の要望が重なっていて残念ながら1セットも残さず出払っており聞く事が叶いませんでした。

その代わりなのか、おかげかME-1000を6台使ったマルチチャンネルで駆動する音をたっぷり堪能できました。
そのパワー・ハンドリングやバランス、鮮度は昔忍び込んで聞かせてもらった会社のマスタリング・センターの印象に近いものでした。
藤原さんは恐らくそのように意識はしていないと思います。

長きに渡るオーディオ製品との関わりの中で、自然と「仕事の音」に寄っているんだと私には感じました。
まあ、ご本人は否定されるかもしれませんけれど、こっちの側の勝手な印象ですからあしからず。です。

ここでひとつ驚異的な写真を出しましょう。
130921_154646.jpg

大先輩自らに持って頂いて撮った写真は、マッキンのC−22ならば何にも珍しい写真ではないのですが。

これなんと・・・
板の一枚から全て藤原さんのお手製なんです!?
それも、高校生の時の!?

写真は光ってしまって下手ですみませんが、それでもコトの重大さは伝わるでしょう??
当節流行の、穴あけ済シャーシもなければ、ましてアンプキットを組み立てたのではないのですよ!
シャーシの板1枚を折り曲げて合わせる事から小さなスイッチ一つに至るまで、並々ならぬ精神力とこだわりを持って作り込まれており恐るべき高校生と言わざるを得ません。

古くからのウエスギ・ファンの皆さん。
先代の故上杉氏がお亡くなりになって、肩を落とされたむきも多かろうと思いますが私は今回確信しました。
このC−22レプリカを作った藤原(当時)少年が長じて現代に生み出す新世代のウエスギ・アンプも大変に価値ある製品だと思います。
もちろん私の確信なんか全く必要ない程、世間では評価されているので大きなお世話なのですが、音がとか、真空管がとかいうまえに、何よりもまず心からアンプを好きな一人の技術者として心底尊敬したのです。

それから最後に、

これから何か良いアンプ、それも手頃な製品はあちこちにあるけれど極め付きの1台が無いかなと思って探している方が見えましたら・・・
もう少し決断を先延ばしにしておいて下さい。

私も具体的には分かりませんが、藤原さんは近々に大きな発表が出来るように準備を進めているようです。

恐らく年末のシーズンまでには明らかにされる様ですから、終のアンプになり得る逸品をお探しの方はウエスギ研究所のこの冬の動きに注目下さるようにお願い致します。






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YOU TUBE アップロードへの道

ちょっとした必要に迫られてYOU TUBEに動画を上げる練習を始めました。

全く持って門外漢だった私ですが、中古のヴォイス・レコーダーを買って来てとりあえず、撮りました。
そして上げました。といった状況です。

検索を入れてみると、高音質のままアップロードする方法論がたくさん交わされています。

まだまだチンプンカンプンですし、それどころか録画したファイルの編集すらできないので撮りっぱなしのストレートです。

室内を散らかしたままで恐縮ですが、まだまだ公開作品とはいえず、テスト中ですので失礼します。



画質は720i /30
音声はACC
ファイル形式はMOV です。・・・私なんか変な事言ってません?大丈夫ですかね?
ハードはZOOM Q3HDで付属のソフトしか持っていなく、編集の仕方も勉強中です。

「こうしたらうまく行くよ」とか
「こんなソフトあったらいいよ」とかご指導、ご鞭撻の程よろしくお願いします。

また、iMACの内蔵スピーカーは低音が籠もりぎみなので、正しいバランスかどうかの確認もままなりません。
音を聞いた感想なども『お手柔らかに』コメントをお願いします。
では、皆々様がた、よろしくお願いします。



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これでもW.E? ボロくない?

ずいぶん長い事放置プレイをしてきましたが、先日の日記と同様、涼しくなる前に自分の仕事を追い込んできます。


WE14A

一言でいえば、有名なW.E7Aアンプと W.E527Wマグネチック・ドライバー(いわばスピーカー)と木製ホーンを組み合わせた、「パワード・スピーカー」みたいな製品です。
製造は1930年より前だそうですから、やっぱりSPレコードを鳴らすのが一番しっくり来そうですね。


W.E(ウエスターン・エレクトリック)は現代でも「オーディオの元祖」として広く知られてますが、その信仰の対称はある程度の再生周波数帯域を獲得した1935年ころを境にした新しい時代の商品群でありましょう。
今のソースも含めてステレオ音楽を楽しむとなれば新しい機械がマッチするのも当然の事と思います。

いきおいこの14Aや7Aアンプは元祖・家元W,Eの中でもさらに「骨董品」の扱いになっていて、オーディオの範疇ではなくて、電蓄の分類になっちゃうんでしょうね(笑)

「これをW.Eと言われてもねえ。困っちゃうよねえ」という声が聞こえて来そうです(汗)



さて、これがアンプボードです。その名の通り、木の板に部品が立ち並んでいます。
PICT2599.jpg

回路図をみればなんてことはないんですが、初めての人にはちょっとした衝撃映像ですよね。

そうなんです。アンプの中に「抵抗」も「コンデンサ」も一つも使われていないんです。
まま、確かに真空管増幅の理屈でいえばその通りなんですがそれにしても奇怪な映像です。

これだけを見ても、ここから15年程の間に音響機器というのは本当に急速に近代化、広帯域化が進んだということですね。
PICT2580.jpg

これは、真空管のソケットです。
写真では細部は分かりませんが、とてつもない材質と頭脳がつぎ込まれています。
このすぐ後に実用化された「UF」や「US」ソケットと比べると見た目は大きく違いますね。

このように生まれた時代の空気をたっぷりと吸って造られていますので、もの言わぬ機械であっても大きなリスペクトを感じながら作業をさせてもらっています。

PICT2594.jpg

この部品は何と言ったら良いのかな・・・「中間開閉器」?
ロータリー式に近いですが、ただ捻ればON-OFFするというものではありません。

強いバネが仕込まれていて、勢い良く「バッチン」と回転するんです。
同じ機能の部品を探すならパーツ店で80円くらいで幾らでも買えるでしょう。

しかし、スイッチが何の為にそこに有るのか?といって本質を突き詰めたらこんなの作っちゃったんでしょうね。どうしてこれを「やり過ぎ」って思わなかったんでしょうね?それこそが時代の空気なんでしょうか。

これこそW.Eって仕事がしてあります。




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