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恐るべし! アキュフェーズの企業理念&それを可能にする体制

ご存知の方も多いと思うが「アキュフェーズ」という会社、歴史を少し紐解くとルーツに「トリオ」があって創業の地は長野である。

伊那地方にはここに勤めていた人も沢山いるし知り合いにも幾人かみえる。
そんな意味では親しみがあったのだけれど、古い機械ばっかり遊んでいたので自宅の方ではとんと縁がなかった。

それがこの度、この会社のフラッグシップ・プリアンプを扱うことになった。というのも
ある方の御宅のアンプ入れ替えに伴い次のオーナー様へお取り次ぎをすることになったので。

PICT3170.jpg

我が家に降り立った  王者 C-3800 プリアンプ


以前から、噂だけは耳に入ってきた。

・部品保有の維持に意地を張っている?
  保有期間なんて無視して頑張って修理してくれるそうです。
・新品購入時の保証期間が5年!!!

こうした社風の話をききますが、保証5年って・・・このような施策がなぜ可能なのか不思議でした。

おそらく、5年以上壊れないように回路設計&部品の選定&コンストラクション&実装をしている自信があるってことですよ。
裏返すと、そのように作っているから新品で購入するときはお高いですよ。というそれが会社のポリシーなんだと思う。
https://www.accuphase.co.jp/philoso.html
ここにちょこっと書いてある
皆さんも製品の購入を検討するときに、会社の理念や沿革を知っておくとちょっといい感じ。

覇者アキュフェーズ が狙うターゲットからするとHPの理念の書き方がもう少し洗練されていても良い気がするけれど。まあ、この辺りも長野県の出だってことでご容赦ください。
そこに行くと創業昭和9年、元々はアメリカさんの会社だった(旧)ビクターなんて老舗は理念も立派でした。

文化に貢献、社会に奉仕
ビクターマークは世界のマーク  ってね

製品で人々の文化的な人生を創出し、利益を挙げることで(お給料で)生活を守り(納税で)社会の発展に寄与する。そしてグローバルな立場であること・・・うーーん、退社して8年になるがすらすらと書ける、われながら見事だ。
こんな立派な理念があったけれども、今では正にケンウッドさんの傘下ですから時代の移り変わりは怖いものです。
 



さて、余談はこのくらいにして今回一番驚いたこと
保証期間中に所有者が変わった場合に、その変更を届け出て保証期間の残りはもちろんのこと正規顧客として各種サービスを継続して受けることのできるシステムがあること。

もちろん、保証期間内であれば、最初のオーナー以外でも保証書を添付すれば無償修理が受けられるのはどのメーカーでも一緒です。
しかしなんというか、手間がかかってる、というか丁寧というか家電メーカーではちょっと考えられないシステムのようです。


このためにアキュフェーズの取った方法は徹底しているんです。

前のオーナーと新しいオーナーの署名捺印をした「譲渡証明書」を提出するとアキュフェーズ内の顧客台帳を更新し、何処のどなた様が新しいオーナーであるぞ。としてサービスの体制を整えるのです。

一見それ自体にメリットは無さそうだけれど、高級オーディオ機器という性格上(高額でかつ生産数が少ないだからこそ信用第一)実質的でヒョーマンライクな方策だと思いました。
だってね、これは正しい方法だろうと誰も分かるけれど早晩保証期間は切れるわけで、ここまでするコスト・手間を考えると中々出来ることじゃないでしょう。

PICT3209.jpg

これが証明書。譲渡者本人の承諾があるか確認するため、前のオーナーに電話で確認までしてくれる場合もあるそうです。こういう手順をしっかり踏むと ◯◯サギとか減るのにねえ、気をつけましょうね、お互いに。

C-3800は最高峰の高額なアンプだったからできたのでしょうか?違うような気がします。
物の作り込みやこうした種々な事象を見ると、アキュフェーズという会社がそうした理念を持っていると感じます

一言で表すと
「徹底した・・・」ということになるのかな。などと考えていた秋の夜でした。

次回もアキュフェーズ・ネタ 続く






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2年ぶりのオーディオ製品お買い物

ブログの過去記事を追ってみると、約2年前にQUAD ESL-57を買って以来オーディオの買い物がなかった。

途中Garrard 301グレーのすこぶる付きの美品&完調品を満足するまでメンテして、さあ使おうと思った矢先に縁あって嫁いでいったりした。



さて、前置きが長くなってしまったが
さる10月の良き日に2年ぶりにお買い物をしてしまった。

何を買おうとも自分の懐を涼しくして買うのだから、誰に憚ることもないのだけれど、「してしまった」と書きたくなるくらいまとまった額だったから

PICT3148.jpg

記念に2台を重ねて写真に納めていますが、上のは前から持っていた
Neumann WV-Ⅰ モノラル用

そして、下になっているのが
Neumann WV-Ⅱ ステレオ用の フォノEQアンプです。

実は「買ってしまった」という後ろめたさにはもう一つ理由があって、この機種は以前に一度手にしていたにもかかわらず自分の能力不足で手放してしまったものだったからです。

これらのアンプは1960年代に欧州(とアメリカの大半)のほぼすべてのレコード会社に納品されていた人類最高のオーディオ機器であるレコードカッティングシステム Neumann AM-32に標準装備されていたアンプシステムVG1の中で、カットした原盤の確認のためにプレイバックアンプとして備わっていたEQなのです

am32b.gif

Neumann AM-32bカッティング・レース
おう、写真にはZ−25アームとホワイトのDSTオリジナルも見えますね。こりゃあ本物だ。

今ほど購入した個体は中期型の最後の方で外見はかなり綺麗なものです。
以前に持っていた最初期型の個体(たしかシリアル50番ほど)に比べ随分と簡素化が進んであっさりしたコンストラクションになっていて寂しいものがありますが、とりあえずざっと動作を調べて音を出してみます。


しかし何かがおかしい、左右の出力に差異があり、どうも何か動作がおかしいように感じましたので早々に切り上げて簡易的な検査を始めました。

PICT3125.jpg
時代は降っても相変わらずのジャーマン・クオリティー!

最初に申し上げておきますが
この商品は、割と有名な日本のヴィンテージショップから購入したものです。
そしてそれは、完動美品、完全整備済み。という触れ込みでした。


でも明らかにおかしい。
まあ、名誉のために具体的な事は避けますが

・小学生でも分かる配線間違いが1箇所
・RIIAカーブからは高域で2dB以上ずれていた

という状況でした。

以前の私なら「おいおい」と文句を言っていたでしょう(そのお店とは20年来の古い付き合いで沢山買ったし世話にもなったから言いやすい、という事もある)でも今はもうそんなことを言いやしません。

今回の状態は確かに不具合の度合いが酷いもので、他の方の手に渡ってそのまま使っていたら

「なんだよ、Neumannなんてたいしたことないじゃん」と言う悪しき印象を残して更なる転売にあっていたことでしょう。
時間を逆に戻して考えてみると、そうした誤解があった結果として、私の元に届いたとも考えられるのである意味好都合だったのかもしれない。


これまで多種のヴィンテージオーディオ装置を見させてもらって、この程度の事では眉ひとつ動かすことも無く当然のごとく自分で整備をするようになった。

正直言ってヴィンテージ品の整備不良をいちいち取り上げていたら、忙しくって仕事になりませんわ。
というか、手を入れずに使えるものは1台もありませんでした。




販売店にはもう一踏ん張り(畢竟、近い日にヴィンテージの製品は市場から姿を消す運命なのでその日までは。という意味)してもらいたいと思うが、コスト・商売のことを考えると余り無理は言えないな。と考えるようになったわけです。

その理由は・・・

比較的新しいマッキン・マランツにしたところで製造からそろそろ60年が経つのです。
それらの全てを完全整備していたら、コストがかかりすぎて売価は今の常識(相場)の倍以上になってしまうでしょう。

しかも、ヴィンテージを使う人間はこぞって「オリジナル部品があ〜」「カラーバーがあ〜」「ブラックぶーてーがあ〜」というお偉い人ばっかりなので、お店としても「音響機器」としては正しく整備したとしても「骨董品」としては価値を貶める事になってしまう矛盾があるのです。

せっかくお金と時間をかけて仕上げた素晴らしいアンプも「オリジナル部品じゃないからヤダ」と売れないのであるから業者さんはこぞってきちんとした整備を放棄して「音が出る」ことだけを第一にしたのでしょうね。

だって、整備のコストがかからない上に、より高値で売れるから儲けは莫大、その上お客は大満足・・・絵に描いたような幸せな結末だ。

marantz7_221120.jpg


先日ある人の依頼で、整備済みとして購入したマランツの#7のRIAAカーブを測定した。
案の定、両端で3dB以上下回る「カマボコ特性」だった。

真空管式のヴィンテージらしい「まろやかな音」と満足するならそれもいいのかもしれない。
しかし、#7発売当時の文献から新品時のRIAA偏差をみると、決して「まろやか」なんかではなくとても優秀な特性だったことがわかる。

そりゃあ当然だよ。
仮にも歴史的名器と称えられたアンプだ、さぞかし緊張感のある美しい音色だったに違いない。
もし、仮に「まろやか=寝ぼけた音」のアンプなんか売り出したって、そんなのもはいつの時代だってマニアたちからは見向きもされていないだろう。


姫路城が修復から再公開されると「白すぎる」という意見がでたそうだ
宇治の平等院鳳凰堂もあまり極彩色にして欲しくない。という声が少なくないらしい。
・・・日光の東照宮だけはいつの世も極彩色上等!だねえ、さすがに大御所さまだ。

文化財の時代考証はいつだって大変だ。
でもオーディオ機器に対する僕の気持ちはいつも明確だ
それは、工業生産品であって文化財ではないのだから。

ヴィンテージオーディオはもはや文化財だなんて言い出す向きもあるかもしれない。でもそれはメランコリックにすぎるだろう、

芸術(音楽)があるのはレコードの中にであって、機械は技術的裏付けや根拠があって初めて芸術たる音楽を扱える資格を持てるのだと思う。

お茶碗がゆがんでいるのはいい、でもそれを撮影するレンズやカメラボディがゆがんでいたら(その写真では)
お茶碗のゆがみに宿る「美」を正しく伝えることができないではないか。


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