趣味の世界感 見栄と競争を取り除いたら何が残る?
少し前のニュースになるが、自由民主党の谷垣前幹事長が趣味のサイクリング中に転倒事故を起こし、頸髄損傷の治療のため幹事長職を辞すると言う重大事になった(もちろん日本国における重大事という意味です)
谷垣氏は若い頃からロードバイクやランドナー(フランス風旅自転車)の熱心な愛好家で今でもフランスの幻の名車サンジェやイタリアのヴィンテージ・ロードレーサーを多数所有されているようです
今回の事故に遭われた当日、議員宿舎からでしょうか颯爽と!とは行かずにフラフラと自転車に乗って出かける谷垣氏の映像は、TVニュースで何度も流されたのでご覧になった方も多いでしょう
誰もが憧れるイタリア製のバリッとしたヴィンテージ・ロードレーサーでしたね、しかし谷垣先生も御年71歳
TVで見た感じではサドルに対してハンドル位置がかなり下がっており、腹筋、背筋の弱い方が乗ると頭が下がりすぎて前荷重過多となり、腕=ハンドル=前輪に体重がかかり過ぎてニュース映像にあったようなフラフラ運転の原因になります

愛車にまたがり微笑む谷垣先生 、事故当日はさらに前傾が深いように感じました
今回のこの事故に関して、ちょっと考えさせられることがありました
日本にもサイクリング趣味の人が多くいますし自転車の文化は広く根付いていると思いますが、趣味として文化としての成熟度はいかがなものだろうと思うのです
今回の谷垣氏の事故に関して、サイクリングを趣味とする方々の中にこのような意見があるのを見かけました
谷垣さんの事故は自転車のチョイスに問題があるんだ
ただでさえ体力の衰えた人が、性能の劣るヴィンテージ自転車に乗って走れば危険は増す
軽量車両に制動の強い油圧ブレーキを組み合わせていれば助かったのに
その記事を読んで、「ああ、日本人だなあ」と思いました
オーディオでも同じことですが、性能の追求、スピードの追求、走行距離の拡張、連続走行時間の延長・・・etc,etc
しかし70歳を超えた政界の大物に「最新ロードバイク」をお勧めする感覚はどこから来るのだろうか?
自転車にまたがる全ての人にとって、そんなに速く走ることにどれほどの意味があるのでしょうか?

日本の旅サイクリストたちの尊敬を一身に集める堀越新一さん もう90歳を過ぎている
数年前には毎日自転車に乗り、女性客で溢れるおしゃれなイタリアンに堂々とお一人で入ってパスタを食する日々だった
所有する自転車はアルプスのクイックエース他3台、写真の通り全てハンドルをアップポジションにセットしている
前与党幹事長には失礼だが、趣味の深さが違い存在の爽やかさが、潔さが違う
私自身が自分の好きなオーディオやその他の趣味の時間に求めるのは「そこにだからある世界観」とはっきり思います
茶道の世界観ならすぐにピンときますね
お庭や小径や茶室、その中に存在するお花や茶道具などの小物と行き交う人の服装や交わす言葉や歩き方など
「しつらえ」や人の存在が「茶の湯の世界観」そのものを体現するように構築されています
オーディオであれば自分が音楽(私の場合は主にクラシックの曲)を聞く「世界観」が自分の部屋で実現できていなければ、例えば部屋が乱雑な状態では、いまは無理して音楽なんて聞かなくてもいいや。と思います
だから、横浜に単身赴任していた時代は全くオーディオは触っていませんでした。これも個人の趣味だから他意はないのですが
待機中のケーブルや使っていないアンプやその他の機材が沢山見えるような「男の城」的な部屋や、生活の証が見えるリビングでは真剣に音楽と向き合おうという感情が湧いてこないのです
私たち日本人の作法のお手本が、皇族の方々であるのは2600年間不変のことと思います
その上で上述した追求型の日本の文化論を思うとき、いつも思い返すのは秋篠宮殿下のご趣味についてです
自転車と自動車の違いはありますが
皇族の方々が自動車をお乗りになるときは、まあ普通に考えて国産の車にお乗りになるのが無難でしょう
そこに、あえて自らの御意志と世界観で持って、なおかつ国産車でなくともどこからも異論のない唯一の正解を見せて下さいました

シャツの柄は私には少々アバンギャルドに過ぎましたが、ヤング・プリンスが私たちに見せてくれた世界観としては
一歩後ろに下がった清楚な紀子さまのお姿も含め理想的なものと思います
どこから見ても憧れの高級車でも最新鋭の高性能車でもないのですが、なんと言いますか実に趣味の良い絵面ですね
やんごとなきお方の生き方はまさに我々のお手本でありますが、スピードや馬力や最新式のコンピューター制御高性能をもってしても手の届かないところにある何か、それも豪華でも華美でもない外見故の奥ゆかしさこそが豊かな生き方なのだと示していただいているように思います
話を戻して与党幹事長といえば、まごう事なき国の中心を支えるお立場です
その方が、蟻の巣のようなヘルメットを被りピッチピチのサイクリングスーツを着て、速さを競う目的で作られたロードレーサーに跨る世界観の趣味をお持ちであるところに若干の違和感が残るのです
今回のように大きな事故で一線を退くのが、谷垣氏のような有能で有力な政治家であれば大変に国益に反する事です
そのようなお立場にある事をもう少し考えていれば、同じ自転車趣味であってもただ豪華なヴィンテージレーサーに乗ってみたい! だけでなくご自身の体力や技術に相応しい自転車との付き合い方があったのではないでしょうか
ニュースでもその点に言及したものを見ていないですし、それどころか「最新のロード車じゃなければ・・」などと言い出す自転車ファンがいる事に「日本自転車文化、未だし」の感を持ちました

こちらは、昨年英国から譲っていただいた車種のオーナーさんたちによるクラブミーティングのひとコマです
近年、日本でも「ツィードラン」のようにクラシックな装いで自転車に乗る催しを見かけますが、あれはなんと言いますか大学生のサークルが運動資金集めのためにパーティーを開くようなノリで・・・なんとも頂けませんねえ
そういった外見のカッコやさや金の集まる匂いのするパーティーに対して、歴史ある英国式クラブは自転車先進国ならではの文化の深さを感じます
趣味の対象が自身の権力や財力を誇示するためのツールに成り下がっていないし
競争や見栄、意地の張り合いの道具にもなっていない
何に乗っていてもいいが、むしろ自転車の魅力よりも人の魅力が優先されます
ただ好きだから、ここにある
自転車に乗って、何百キロを何時間で走ってやろうとか、時速何キロ出るか挑戦しようという楽しみが一方にあるのはとても健全なことだと思います
しかし他方には、老猫と余生をゆっくり過ごす的な自転車との付き合い方があっても良いはずです
何かと比較して自分が劣っているとか、性能が良いと噂の新しい部品に付け替えるなんてことはしません
誰かと比べて自分もグレードアップしにゃいかん・・・なんて虚無な競争は存在しません
しかるべき人は、相応しい場所(世界)に身を置かなければいけない。ということなんだろうと思います
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谷垣氏は若い頃からロードバイクやランドナー(フランス風旅自転車)の熱心な愛好家で今でもフランスの幻の名車サンジェやイタリアのヴィンテージ・ロードレーサーを多数所有されているようです
今回の事故に遭われた当日、議員宿舎からでしょうか颯爽と!とは行かずにフラフラと自転車に乗って出かける谷垣氏の映像は、TVニュースで何度も流されたのでご覧になった方も多いでしょう
誰もが憧れるイタリア製のバリッとしたヴィンテージ・ロードレーサーでしたね、しかし谷垣先生も御年71歳
TVで見た感じではサドルに対してハンドル位置がかなり下がっており、腹筋、背筋の弱い方が乗ると頭が下がりすぎて前荷重過多となり、腕=ハンドル=前輪に体重がかかり過ぎてニュース映像にあったようなフラフラ運転の原因になります

愛車にまたがり微笑む谷垣先生 、事故当日はさらに前傾が深いように感じました
今回のこの事故に関して、ちょっと考えさせられることがありました
日本にもサイクリング趣味の人が多くいますし自転車の文化は広く根付いていると思いますが、趣味として文化としての成熟度はいかがなものだろうと思うのです
今回の谷垣氏の事故に関して、サイクリングを趣味とする方々の中にこのような意見があるのを見かけました
谷垣さんの事故は自転車のチョイスに問題があるんだ
ただでさえ体力の衰えた人が、性能の劣るヴィンテージ自転車に乗って走れば危険は増す
軽量車両に制動の強い油圧ブレーキを組み合わせていれば助かったのに
その記事を読んで、「ああ、日本人だなあ」と思いました
オーディオでも同じことですが、性能の追求、スピードの追求、走行距離の拡張、連続走行時間の延長・・・etc,etc
しかし70歳を超えた政界の大物に「最新ロードバイク」をお勧めする感覚はどこから来るのだろうか?
自転車にまたがる全ての人にとって、そんなに速く走ることにどれほどの意味があるのでしょうか?

日本の旅サイクリストたちの尊敬を一身に集める堀越新一さん もう90歳を過ぎている
数年前には毎日自転車に乗り、女性客で溢れるおしゃれなイタリアンに堂々とお一人で入ってパスタを食する日々だった
所有する自転車はアルプスのクイックエース他3台、写真の通り全てハンドルをアップポジションにセットしている
前与党幹事長には失礼だが、趣味の深さが違い存在の爽やかさが、潔さが違う
私自身が自分の好きなオーディオやその他の趣味の時間に求めるのは「そこにだからある世界観」とはっきり思います
茶道の世界観ならすぐにピンときますね
お庭や小径や茶室、その中に存在するお花や茶道具などの小物と行き交う人の服装や交わす言葉や歩き方など
「しつらえ」や人の存在が「茶の湯の世界観」そのものを体現するように構築されています
オーディオであれば自分が音楽(私の場合は主にクラシックの曲)を聞く「世界観」が自分の部屋で実現できていなければ、例えば部屋が乱雑な状態では、いまは無理して音楽なんて聞かなくてもいいや。と思います
だから、横浜に単身赴任していた時代は全くオーディオは触っていませんでした。これも個人の趣味だから他意はないのですが
待機中のケーブルや使っていないアンプやその他の機材が沢山見えるような「男の城」的な部屋や、生活の証が見えるリビングでは真剣に音楽と向き合おうという感情が湧いてこないのです
私たち日本人の作法のお手本が、皇族の方々であるのは2600年間不変のことと思います
その上で上述した追求型の日本の文化論を思うとき、いつも思い返すのは秋篠宮殿下のご趣味についてです
自転車と自動車の違いはありますが
皇族の方々が自動車をお乗りになるときは、まあ普通に考えて国産の車にお乗りになるのが無難でしょう
そこに、あえて自らの御意志と世界観で持って、なおかつ国産車でなくともどこからも異論のない唯一の正解を見せて下さいました

シャツの柄は私には少々アバンギャルドに過ぎましたが、ヤング・プリンスが私たちに見せてくれた世界観としては
一歩後ろに下がった清楚な紀子さまのお姿も含め理想的なものと思います
どこから見ても憧れの高級車でも最新鋭の高性能車でもないのですが、なんと言いますか実に趣味の良い絵面ですね
やんごとなきお方の生き方はまさに我々のお手本でありますが、スピードや馬力や最新式のコンピューター制御高性能をもってしても手の届かないところにある何か、それも豪華でも華美でもない外見故の奥ゆかしさこそが豊かな生き方なのだと示していただいているように思います
話を戻して与党幹事長といえば、まごう事なき国の中心を支えるお立場です
その方が、蟻の巣のようなヘルメットを被りピッチピチのサイクリングスーツを着て、速さを競う目的で作られたロードレーサーに跨る世界観の趣味をお持ちであるところに若干の違和感が残るのです
今回のように大きな事故で一線を退くのが、谷垣氏のような有能で有力な政治家であれば大変に国益に反する事です
そのようなお立場にある事をもう少し考えていれば、同じ自転車趣味であってもただ豪華なヴィンテージレーサーに乗ってみたい! だけでなくご自身の体力や技術に相応しい自転車との付き合い方があったのではないでしょうか
ニュースでもその点に言及したものを見ていないですし、それどころか「最新のロード車じゃなければ・・」などと言い出す自転車ファンがいる事に「日本自転車文化、未だし」の感を持ちました

こちらは、昨年英国から譲っていただいた車種のオーナーさんたちによるクラブミーティングのひとコマです
近年、日本でも「ツィードラン」のようにクラシックな装いで自転車に乗る催しを見かけますが、あれはなんと言いますか大学生のサークルが運動資金集めのためにパーティーを開くようなノリで・・・なんとも頂けませんねえ
そういった外見のカッコやさや金の集まる匂いのするパーティーに対して、歴史ある英国式クラブは自転車先進国ならではの文化の深さを感じます
趣味の対象が自身の権力や財力を誇示するためのツールに成り下がっていないし
競争や見栄、意地の張り合いの道具にもなっていない
何に乗っていてもいいが、むしろ自転車の魅力よりも人の魅力が優先されます
ただ好きだから、ここにある
自転車に乗って、何百キロを何時間で走ってやろうとか、時速何キロ出るか挑戦しようという楽しみが一方にあるのはとても健全なことだと思います
しかし他方には、老猫と余生をゆっくり過ごす的な自転車との付き合い方があっても良いはずです
何かと比較して自分が劣っているとか、性能が良いと噂の新しい部品に付け替えるなんてことはしません
誰かと比べて自分もグレードアップしにゃいかん・・・なんて虚無な競争は存在しません
しかるべき人は、相応しい場所(世界)に身を置かなければいけない。ということなんだろうと思います
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