FC2ブログ

ちっちゃいEQアンプ

kさんのご自宅のMonitor Gold in オリジナル オートグラフは現状でも世に並ぶもののない様な威容を誇っているのはそれを聞かれた多くの方の意見が一致するところだと申せましょう

その上で、もちろん現状に全く不満は無いけれど遊び心が湧いて来て、ゲルマン人の作った針を使ったらどうだろうか?
と、ご相談を受けました

大体、狙っているところの想像はつきました
おそらく、ドイツリートをほんの少しだけ硬質なエッジの効いた発音で聞きたいと思われたのでしょう

今の私は、意地悪な心持ち(本当の意味でご本人のためだと思うから)で、「音を良くしたい」から頼みたいと言う要望は一切拒否しています
そんな(手持ちの機器への)裏切りの気持ちで「グレードアップ」を図ろうという浅ましい下心に答える気には到底なれません

しかし、たった1枚のレコードやCDに対してでもなんとか本質に迫りたいと思う気持ちには全力でお答えしようと思います



ご要望は以下の通りです

・Ortofon SPU EMT TSD-15を対象としたRIAA-EQアンプ
・入力はハイ受け
・出力もハイ出し
・次段はプリアンプのライン入力(Ecc83 2段)
・高さは8cm以下
・大きさはお弁当箱程度
・しかも電源内蔵

中々の厳しい条件ですね
厳しい要件のほとんどは電源内蔵によるノイズの問題になるでしょう

しかし、回路はお話を聞きながら既に決まっていました、これしかありません
でも、その回路での制作の事例は恐らく地球上では皆無でしょうし(つまり、宇宙初?)成功の保証は全くありません


DCP_0011_convert_20090416091507.jpg

この写真の上の奴ね
わあ、懐かしいなあ、ブログを始めた頃はV76も使っていたんだ


回路図はネットでもありませんが、仕様書の中にはちゃんとありました
この回路はちょっと「やっちゃって」まして、アンプではまず使うことのない部品を増幅の核心的箇所に挿入して成立させています
その辺りが成功するか分からない。という部分なんです

年明けから

・回路・定数の決定
・部品手配の所でコロナに巻き込まれて外国から荷物がつかなかったり
・シャーシの手配
・実装の入れ込み・・・部品配置のことですね・・・シャーシ内が狭すぎて1ヶ月以上悩みました
・ある日何かを見ていて突然閃いた
・そうだ!2階建てでいこう

2階建ては妙案だったけれど、メンテナンスは大変になるなあ
私はガレージメーカーや自作アンプの修理をお断りしているけれど、それはメンテナンスすることを想定して作られていないから
良い音のするアンプを作ろうと思っているアンプは例外無く良い音が・・・


そうだ!ユニット基板を3個作って不具合が有ったらユニット交換をしよう!!
外したのを修理してバックアップにしておけば良いじゃん オレって天才?  普通か

_DSF0966_convert_20200701023743.jpg

これがユニット
出来てから見るとどーって事ないんだが、これの配置に1ヶ月以上掛かった
これだけで、1ch分のNF-EQとラインアンプ1段の全てです
苦労しただけ有ってシンプルに見えます・・・これを見ながら白米3杯行ける様になるまで頭を捻りました

カップリングだけは新品だけれど、信号内は米独のヴィンテージ部品を使っている

_DSF0987_convert_20200701024326.jpg

シャーシに高さが無いのでパワー・トランスは横置き

_DSF0979_convert_20200701024142.jpg

真空管やブロック・コンデンサーもみんな横置き
ECC82であれば大丈夫だったんだけれど E80CCのおかげでL字アングルをお手製で制作

また、スペースの関係上チョークは無し。と、言いたい所だけどオリジナルも無いのでここはそのまま
いよいよノイズは大丈夫か?・・・オリジナルはそれでも水を打った様な静けさ・・・それだけを頼りに

_DSF0991_convert_20200701024354.jpg

1階を施工
配線を済ませ、六角延長ボルトを立てて2階の棟上げの準備

_DSF0994_convert_20200701030317.jpg

無事2階建てが完成しました

本当は、アンプの理想はガランドウのごとく何も入っていないかの様な状態が良いのだけど
今回はユニット基板からの配線がちょっと騒々しいね


作る際のポイントは、増幅の3要素のラインが近接しない様に気を配ること
それと、ACとDCのラインを区別しておくこと
ラインの取り回しに際しては、電源を入れて実際にノイズ量をチェックしながら決定

自作マニアは最短距離で繋いだ方が音が良い!と思っているんじゃ無いかと言うのが多い  あかんぜ
急がば回れは歩道橋だけにあらず


_DSF0998_convert_20200701024456.jpg

今回は、プリアンプのラインアンプを使うので、EQの後ろから信号を取り出せる様にしました
将来のオプションとして このアンプを単体の小型プリとしても使える様にバッファーを入れておいたので
端子も事前に準備しておきます

_DSF0997_convert_20200701024511.jpg

くそシンプルなフロントです

左側は将来使うかも知れないので空けています
ここに左右独立のポテンショメータとセレクターを付ければ立派なプリアンプになります


さて、構想は半年もかかったけれど、作り始めちゃえば
シャーシの穴明けから音出しまで日/5時間労働で3、4日くらいかな(乃木坂46時間TVのおかげで能率悪し)

特にプリアンプを作るのは段取り9分だから、配置や取り回しの計画にいくら時間をかけても良いね
問題はその計画通りに実装できるか?どうかだと思う
往々にして、立派な実装配線図を書いても似ても似つかない様な物体を作るのでは苦労が報われない

腕を上げるには「場数」が一番。と言いたいのだけど
自作アンプをいくら数作ってもダメだと思う
物凄い秀英、英傑が莫大な予算と膨大な検討の上に生み出した名機を沢山いじることが大切
何も何百万円もするウエスターンの1086アンプを分解せよと言うんじゃない
数万円くらいで手に入るラインアンプをしゃぶり尽くすだけで、億万の勉強が出来る
もちろん、受け取る側の心がけが一番大切なのは言うまでも無いのだが

RIAA偏差は 低域で+1dB 高域で−0.7dB位かな、追い込むこともできるけれど2階建てにしたのでもう大変だからこれで一旦持ち込みます

ヒーターはいつもの通りAC点火
1時間ほど通電してチャージしたらウチのスピーカーでもノイズの問題はなし、オートグラフでも大丈夫でしょう

昨年、80cmウーハーをマルチでやっている人に、ヒーターノイズがあるからDC点火にしてくれと言われて
音質の保証無しならやらんことも無い、でやったけれどやっぱり音は好かんなあ
もう2度とそんな機械は作らないと心に誓った

音はねえ、言葉にするのもバカバカしいのだけど
本家は当然イン・アウトにトランス積んでるし、違う物体なんだから同じ音になる必要も無し
マジック・フルートこと エレナ・ベルガー嬢がご機嫌で歌っていたので満点合格です













スポンサーサイト