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WE VT-52 ちっちゃいステレオアンプ 完成

週末にお届けしてきました

私の中でのシングルアンプの印象・・・いろいろなお宅で聞かせて頂いていたイメージです

・低音が(相対的に)薄い
・DC点火しないとハムがでかい
・三極管を連結していくと高い方も落ちる(ミラー効果)
・ffでクリップ
・透明で冷徹な音世界
・繊細だけれど、重厚さには欠ける

合わせてステレオアンプに対する印象・・・製作本やネット上でのイメージ

・電源が共通なのでひ弱なのかな?
・真空管をシャーシの手前に並べるレイアウトだと、配線があっちゃこっちゃだよね
・その為、飛びつきや誘導が起こりやすくノイズ・歪みの点で不利・・・実際に発信しているアンプ多い
・左右の条件が揃わないのでなんか気持ち悪い
・モノ二台の方がセパレーションが良く、音場が出る。と言っている奴がいるけれど、ホントか?

これらはみんな風評じゃないのか?ロジックに確認してんのか? と、自らにツッコミつつ


上記の通り、思い込みが酷くて40年間避けてきた「シングル・ステレオアンプ」を作りました
でも、せっかく取り組む機会を与えて頂いたのだから、自分なりに上述した疑問や矛盾をできるだけクリアーしたアンプを作ろうと思いました

とにかく、あらゆる製作本やブログ記事に記載されている「シングル・ステレオアンプ」は
こんなのゼッテー作りたくな〜い! と思わせる物ばかりだったのでそれに対するチャレンジでもあったのです


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お恥ずかしい事に外観写真を撮り忘れました
いきなりの初段付近です
pp アンプより入り組んだ感じがします
実際部品点数は多いですね

元になったアンプは1930年代に欧米で高級電蓄等に採用されていた回路をオマージュしています
今時こんな回路のアンプを作る人は誰もいないでしょうね

とにかく古典的直熱三極管シングルアンプといえば
直結だのカソフォロだのSRPPだのパワー管ドライブだの、カソードの先を半導体で引っ張るだのばかりで一向にやる気に火がつかなかったのです

もちろん段間にトランスを入れると全ての問題は霧散するのかもしれませんが、今回の対象であるスピーカーや聴きたい音楽を合わせて鑑みるとトランスを入れて全て良いとは思えない自分がいたのです

今回の様に、球が先にあってアンプを作る事は初めてなので結果(出る音)を明確に想定できずに少々ナーバスになりました

そんな中、このアンプが出来上がるのと時を同じくして始めてのJBL社製=1949年生れ=スピーカーが我が家に来たのを機にお初同士で組み合わせてテストをしてみました

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産まれて初めてJBLのスピーカーってのを買いました
識者によると極めて希少な個体だそうです。買えたのは1本ですが同じものを1本だけお持ちの方からお譲り頂ける約束をもらえて、ペアに出来る目処が立っての導入です

JBL系何十年の方から「JBLの音じゃない。聞いたことの無い音」とお褒めの言葉?をいただきましたwww


シングル・アンプの低音が薄いって言ったのは誰だー!?  オレだヽ( ´_`)丿

やる事をしっかりやっておけば、妙な風評なんか信じるに価しないのです

圧倒的な透明感とゴリゴリした実体感が同居するこの感触は、名古屋で味わったWE91型アンプ以来の印象的な体験でした
土曜日にお届けした際に、モニター・シルバーインオリジナルコーナーヨークでクープランの王宮のコンセールを聞いて確信に変わりました
シングルアンプもいいね・・・当たり前すぎる?

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先入観や思い込みだけで音を決め込んではいけませんね
いろいろな意味で、勉強させて頂き実り多いプロジェクトでした










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ちっちゃいアンプ #2 初めてのステレオアンプ

確か、以前の記事で「ステレオ・アンプ」はコントラクションに納得性が無いので作り難いと書いたかと思います
その思いは今でも変わっていませんが、この度とあるストーリーの中で可及的小さなシングルで2chのアンプを作ることになりました

ある方の退職の記念に贈与された球を使って、その球を送られた方の為に小規模なアンプを作ります

出力管は決定しているのでそこから全てがスタートします
実は2種類の球を提示されたのです
一方は個人的に何度も取り組んで馴染みのある球でした
他方は日本では人気の様ですが、内部抵抗の高い増幅率の大きな所謂送信管でした
そちらは私の手に負えないと判断して、こちらの受信管だけの制作と相成りました

1939年と40年ですから初期に作られた個体です

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細い刻印が美しい


さて、ステレオ・アンプが生まれて初めてならば、シングルアンプは40年ぶりの制作です

突然ですが、ここで問題です
アンプを作ること、または購入する際に最も大切にすべき事柄は何でしょう?

「事柄」ってのがミソなんですけれどね

(私なりの)答えは必然性です
なぜそのアンプが必要なのか?・・・コンセプトと置き換えても良いかもしれませんが

今回のアンプは球が先に決まっていたので、実はコンセプトが曖昧なのです
なので完全に後付けで押し付けなのですが、想定スピーカーやレコードを後からこじ付けです
当座は先に納入したLowtherのL.I.Bとします
初期(ゴールド・レーベル時代)のハルモニア・ムンディやBOXステレオ時代のArcivを当時の電蓄の様な優雅さで鳴らしたいと目論みました

元々シングルアンプで、帯域がどうの、つまり低音があーたらとか、高音がどうしたと言うのはピント外れな要求と割り切って子供じみた「高音質騒動」からは最初から身を遠ざけておくのが無難と言えましょう

この出力管が作られていた当時、1930年台に普及していた回路を取り上げてみました
その為には現代では全く忘れ去られてしまった珍しい部品が必要になります
当該パーツは古い回路に詳しい旧知の部品屋さんに相談して用立てて頂きました

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またまた、終わりなき穴あけとの戦いでした
特に今回は2chが1シャーシなので飽きるほど穴あけに励みました

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軽量な実装部品をつけたところ
このくらいの規模のアンプとしては想像以上の高級な部品を採用しています

特にコンタクト・パーツには絶対の信用が置けないと運用を初めて後に原因不明の不具合に頭を悩ますことになります
ならば、少々のコスト増を受け入れて信頼の大なる部品を出来るだけ採用しておくことが重要と言えます



今回の記事は、このブログ開始以来 初と言えるほどの珍事なのだけれど
アンプ制作をリアルタイムに書きました
なので、制作工程は現在ここまでです、進みましたらリアルタイムで実況を続けます