良い音ってなんだ (スピーカーの成長 2)
前回からの続きです。
第4段階に向かう道程には深くて幅広い溝が横たわっているかのようです。
あまりに長時間音の変化が無いと、心が折れてしまいそうになるのが人情といえるものですが、ここからが踏ん張りどころです。
第3段階を確定できれば、これまでとは別次元で環境の変化に敏感に反応しますので下に敷くものやケーブルに対して、正しい判断を下すことが出来るようになりますから試してみましょう。
変化を与えると一旦は調子を落としますが、回復までにそう時間は掛かりません。
上手くいくと前に進む推進力になる可能性もあります。
<<アクセサリーの類は「音がイマイチだから、何とか良くしよう」と思って使ったら泥沼まっしぐらです>>
この時の留意点は、必ず可逆変化に留めておく事です。
どれほど理論的に優れていると思っても、友人宅でどれ程絶大な効果を挙げた結果でも、まして販売店がどれほど強力に勧めても、自分の装置でも成功する保証は何一つありません。
オーディオはそれ程甘くないということは、この駄文を続けて読んでいただいている貴方には、もう充分(高い授業料を払って)お解かり頂いているはずです。
いつでも元の状態に戻せるようにしておくことが重要です。

[盛年期=第4段階]
誠におめでとうございます。そして、長いながい心労をお察し致します。
このステージに至ると、これまでの音楽鑑賞、オーディオ体験では中々経験でき得ない現象も見られるようになります。
第4段階の代表的な事例を幾つか列挙しておきます。
①例えばALTEC A-7などの高音ユニットが上部に有る2Wayで、ウーハーより下の位置に音像が定位する。
それがピッコロやトライアングルのような最高域の楽器でも、ウーハーより下から聴こえてきます。
②レコードの再生時間が非常にゆっくりと感じられます。
随分聴いたと思い、レコードに目をやると、まだ半分も行ってない!
脳に達する情報量が桁違いに増えるので脳の満腹感が早いのでしょうか。
③曲の高揚感に従い、部屋の空気が急激に膨張したり、収縮する感覚を覚えます。
スピーカーの振幅が、確実に部屋全体の空気を掴んで動かしている証拠です。音量の大小というよりは、曲想によって空気の膨張を察することでしょう。
レコードを聴き続けていると有る時突然(何故かいつも深夜)音の変化を感じます。
でも、次の日には元に戻っています。
変化は、次第に頻繁に、聴き始めから短時間のうちに訪れるようになり、ほぼ毎日上記の状態が続けば第4段階と認定しましょう。
[聖年期=第5段階]
ついにここまでたどり着きました。
心躍らせてスピーカーの到着を待ったあの日から、早や5年の歳月が流れているかも知れません。
ここでは、スピーカーの振動板は、かなりの確度でレコードの溝に刻まれた情報に対してリニアに動いています。
それは、思ってもいなかった現象を引き起こします。
試聴室や友人宅で聞き比べると、スピーカーは機種によって音色にかなりの差異(特徴)があると思っていたはずです。(個性、好みという便利な表現で括っていました)
しかし、この段階にあるスピーカーは音色の個性を感じなく(あっても極小に)なり、同じレコードならば、どのスピーカーで聴いても殆ど同じ音に聴こえてきます。
勝手な想像を駆使して考えると、2Wayスピーカーなら左右高低4個のユニットの時間位相がほぼ揃った状態だと思っています。
⇒揃えることがいかに難しいか。ここらが、フルレンジを好まれる方もいらっしゃる理由かと思います。
楽器のファンダメンダルに対して各倍音が時間的にほぼ揃って耳に達している状態!(想像しただけでゾクゾクしますね)
このことが、私は「スピーカー(や他の装置)は何でもいいんだ」と思うようになった理由です。
最終的にはレコードの音になっちゃいますから、どの機種でも同じ「音=音楽」が聴けるのです。
また、スピーカーが2台以上あっても出てくる音に目くじらを立てるほどの相違が無く、並べて置く必要性も消えたので今は1台だけで何の不満も寂しさもありません。(2号さんが同居すると本妻が嫉妬をしやしないかという危惧もあります)
勿論、この段階ならではの機種による音の個性はあります。(素材も構造も違えば当然ですね)
フグやヒラメを味わう如くに淡い違いですが、貴方の家のスピーカーがこの段階の音で鳴っているのであれば、間違いなく貴方はその違いを聞き分けるだけの「聴く力」を獲得していますから心配は要りません。
(貴方の家で鳴る音は、貴方の「聴く能力」を上回ることは無いのですから)
ここまで読んで頂ければもうお気付きと思いますが、私が装置の購入に際してオーディオ誌の「試聴記事」を参考にしたり、オーディオ店で試聴をしない理由がお解かり頂けると思います。
スピーカーは(ほかの機器はさらに微妙な差でしかありません)身銭を切って数年間我慢しないとその本当の音を掴むことが出来ないと考えているからです。
そして、どの機種も結局1つの音(多分、自分の音)になるから、成長していない段階のレポートや試聴は全くの無意味でしかありません。
一流の造りであれば、この段階まで到達する可能性はどのスピーカーにもあります。
横道が長くなりましたが、第5段階と認定できるポイントは
①レコードを聴いていると、急に音量感を感じなくなる。
ヴォリュームを下げていないのに、急に音が小さく感じるようになります。なんだかとても遠くから聞こえてくるような。
少々物足りなくなり、ヴォリュームを上げてしまうのでとなりの部屋の人は相当うるさいでしょうから、お気をつけ下さい。
②オペラで言えば場面転換の時に(長調⇔短調)、部屋の空気の色が変わったかのような印象を受けます。
実際の舞台では舞台照明を変える事で、ストーリーの心情表現をアシストしますが、この段階では音の表情だけで、感情の動きを如実に表すことが出来ます。
POPsでも、マイナーに転調した瞬間、「おおー」っと身を乗り出したりします。
曲が終わると、部屋には他に誰もいないのに、思わず拍手をしなければならない衝動に駆られるのもこの段階の特徴です。
左右のスピーカーの間の空間の奥に、3畳程の部屋がポッカリと出現し、人形ほどの楽団員が整列し、シンフォニーを演奏している。それを隣の部屋から覗いている感覚を覚えるようになったら、「音を耳で聴く」一つの到達点に至ったと言って良いのではないでしょうか。

膨大な文字を皆さんに読んで頂きました。
ここまで、読ませておいて「耳が装置の音に慣れてくるだけで、実はスピーカーの音は全然かわってないんだよーん」なんてのがオチでしたら、絞め殺されるかもしれませんね。
でも、ご安心下さい。
これまでは、「耳で聴くスピーカーの成長過程」でしたが、この先に天使の来訪があり、それは耳で聴くこととは違うような気がします。
多分!大丈夫でしょう。 たぶん・・・
何時か、天使のことも書きますね。 (最近、お見かけしていないので・・・書けない
)
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第4段階に向かう道程には深くて幅広い溝が横たわっているかのようです。
あまりに長時間音の変化が無いと、心が折れてしまいそうになるのが人情といえるものですが、ここからが踏ん張りどころです。
第3段階を確定できれば、これまでとは別次元で環境の変化に敏感に反応しますので下に敷くものやケーブルに対して、正しい判断を下すことが出来るようになりますから試してみましょう。
変化を与えると一旦は調子を落としますが、回復までにそう時間は掛かりません。
上手くいくと前に進む推進力になる可能性もあります。
<<アクセサリーの類は「音がイマイチだから、何とか良くしよう」と思って使ったら泥沼まっしぐらです>>
この時の留意点は、必ず可逆変化に留めておく事です。
どれほど理論的に優れていると思っても、友人宅でどれ程絶大な効果を挙げた結果でも、まして販売店がどれほど強力に勧めても、自分の装置でも成功する保証は何一つありません。
オーディオはそれ程甘くないということは、この駄文を続けて読んでいただいている貴方には、もう充分(高い授業料を払って)お解かり頂いているはずです。
いつでも元の状態に戻せるようにしておくことが重要です。

[盛年期=第4段階]
誠におめでとうございます。そして、長いながい心労をお察し致します。
このステージに至ると、これまでの音楽鑑賞、オーディオ体験では中々経験でき得ない現象も見られるようになります。
第4段階の代表的な事例を幾つか列挙しておきます。
①例えばALTEC A-7などの高音ユニットが上部に有る2Wayで、ウーハーより下の位置に音像が定位する。
それがピッコロやトライアングルのような最高域の楽器でも、ウーハーより下から聴こえてきます。
②レコードの再生時間が非常にゆっくりと感じられます。
随分聴いたと思い、レコードに目をやると、まだ半分も行ってない!
脳に達する情報量が桁違いに増えるので脳の満腹感が早いのでしょうか。
③曲の高揚感に従い、部屋の空気が急激に膨張したり、収縮する感覚を覚えます。
スピーカーの振幅が、確実に部屋全体の空気を掴んで動かしている証拠です。音量の大小というよりは、曲想によって空気の膨張を察することでしょう。
レコードを聴き続けていると有る時突然(何故かいつも深夜)音の変化を感じます。
でも、次の日には元に戻っています。
変化は、次第に頻繁に、聴き始めから短時間のうちに訪れるようになり、ほぼ毎日上記の状態が続けば第4段階と認定しましょう。
[聖年期=第5段階]
ついにここまでたどり着きました。
心躍らせてスピーカーの到着を待ったあの日から、早や5年の歳月が流れているかも知れません。
ここでは、スピーカーの振動板は、かなりの確度でレコードの溝に刻まれた情報に対してリニアに動いています。
それは、思ってもいなかった現象を引き起こします。
試聴室や友人宅で聞き比べると、スピーカーは機種によって音色にかなりの差異(特徴)があると思っていたはずです。(個性、好みという便利な表現で括っていました)
しかし、この段階にあるスピーカーは音色の個性を感じなく(あっても極小に)なり、同じレコードならば、どのスピーカーで聴いても殆ど同じ音に聴こえてきます。
勝手な想像を駆使して考えると、2Wayスピーカーなら左右高低4個のユニットの時間位相がほぼ揃った状態だと思っています。
⇒揃えることがいかに難しいか。ここらが、フルレンジを好まれる方もいらっしゃる理由かと思います。
楽器のファンダメンダルに対して各倍音が時間的にほぼ揃って耳に達している状態!(想像しただけでゾクゾクしますね)
このことが、私は「スピーカー(や他の装置)は何でもいいんだ」と思うようになった理由です。
最終的にはレコードの音になっちゃいますから、どの機種でも同じ「音=音楽」が聴けるのです。
また、スピーカーが2台以上あっても出てくる音に目くじらを立てるほどの相違が無く、並べて置く必要性も消えたので今は1台だけで何の不満も寂しさもありません。(2号さんが同居すると本妻が嫉妬をしやしないかという危惧もあります)
勿論、この段階ならではの機種による音の個性はあります。(素材も構造も違えば当然ですね)
フグやヒラメを味わう如くに淡い違いですが、貴方の家のスピーカーがこの段階の音で鳴っているのであれば、間違いなく貴方はその違いを聞き分けるだけの「聴く力」を獲得していますから心配は要りません。
(貴方の家で鳴る音は、貴方の「聴く能力」を上回ることは無いのですから)
ここまで読んで頂ければもうお気付きと思いますが、私が装置の購入に際してオーディオ誌の「試聴記事」を参考にしたり、オーディオ店で試聴をしない理由がお解かり頂けると思います。
スピーカーは(ほかの機器はさらに微妙な差でしかありません)身銭を切って数年間我慢しないとその本当の音を掴むことが出来ないと考えているからです。
そして、どの機種も結局1つの音(多分、自分の音)になるから、成長していない段階のレポートや試聴は全くの無意味でしかありません。
一流の造りであれば、この段階まで到達する可能性はどのスピーカーにもあります。
横道が長くなりましたが、第5段階と認定できるポイントは
①レコードを聴いていると、急に音量感を感じなくなる。
ヴォリュームを下げていないのに、急に音が小さく感じるようになります。なんだかとても遠くから聞こえてくるような。
少々物足りなくなり、ヴォリュームを上げてしまうのでとなりの部屋の人は相当うるさいでしょうから、お気をつけ下さい。
②オペラで言えば場面転換の時に(長調⇔短調)、部屋の空気の色が変わったかのような印象を受けます。
実際の舞台では舞台照明を変える事で、ストーリーの心情表現をアシストしますが、この段階では音の表情だけで、感情の動きを如実に表すことが出来ます。
POPsでも、マイナーに転調した瞬間、「おおー」っと身を乗り出したりします。
曲が終わると、部屋には他に誰もいないのに、思わず拍手をしなければならない衝動に駆られるのもこの段階の特徴です。
左右のスピーカーの間の空間の奥に、3畳程の部屋がポッカリと出現し、人形ほどの楽団員が整列し、シンフォニーを演奏している。それを隣の部屋から覗いている感覚を覚えるようになったら、「音を耳で聴く」一つの到達点に至ったと言って良いのではないでしょうか。

膨大な文字を皆さんに読んで頂きました。
ここまで、読ませておいて「耳が装置の音に慣れてくるだけで、実はスピーカーの音は全然かわってないんだよーん」なんてのがオチでしたら、絞め殺されるかもしれませんね。
でも、ご安心下さい。
これまでは、「耳で聴くスピーカーの成長過程」でしたが、この先に天使の来訪があり、それは耳で聴くこととは違うような気がします。
多分!大丈夫でしょう。 たぶん・・・
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