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さようなら SME3009 Prot 涙の別れ

ご近所の「初期盤3万枚男」さんがオーディオ装置の一部見直しを行うことになり、ガラードの301をメンテした流れで私のところにコーディネイトの依頼が舞い込んできました。

あーだこーだと意見を聞いていたのですが、ある日、当の本人も忘れていたキャビネットの奥を捜索してきて秘蔵のSME 3009プロトタイプを発見に及び、「これじゃなきゃやだ!」と駄々をこね始めました。

以前の記事で紹介した通り、気分的に一番気に入っていたアームなので使う予定は無くとも手放す心算もありませんでした。
しかし、攻勢は厳しさを増し遂に牙城は敵の手に渡ってしまったという次第です。

DSC02946.jpg
Thorens TD-124 初期型にセットされそうになっている 3009Prot

何が好きかって?
そりゃもう、このプロポーションが整いまくった肢体ですよ!
手足が長くて、見事なウエストライン。

確かにTD-124とのコンビネーションは憎らしいほど美しいですね。
まあ、容姿ばっかり褒めても仕方がないので、その女っぷりの良さも書きましょう。

むかーしむかし、英国の倫敦に、とっても音楽好きのアイクマンという青年がおりました。
北方にある童話の国のカートリッジを愛でていましたが、もとより業務用に作られているため、アームの使い勝手が涙を誘うほど良くありません。

そこそこお金持ちだったアイクマン君は「てやんでー、ならば自分でアームをつくっちゃる」と一念発起して自家製アームを造ったところ、これが類稀なる優れものという評判になり、親戚縁者やら友人知人が急に増え、我先にと奪い合いが始まりました。

そこで、「皆々方ちょっと待たれい。僕は会社を興してアームを造っちゃうもんねー」
といったかどうか知りませんが、SME社の設立の一席です。


さて、上の通り、当時のOrtofon RMG又はRMAタイプの使い難さへのチャレンジが発端ですので、考えうる最高の機能を装備しています。

1.2種類あるコネクターへの対応
DSC02938.jpg
コレットチャックを45度傾けることが出来、固定ピンが入るスリットを上下に4本入れて対応。
(Ortofonは其々の専用アームが必要)

2.Aシェル、Gシェルで長さが異なることへの対応
アームの支柱をスライドベースによって固定する方式とした。
(同上、よってOrtofonはコネクターと長さの異なる自社のカートリッジを使う為に、4種類の仕様の異なるアームを用意せざるを得なかった。
まあ、家庭でこんなにもレコードが聴かれるとは思ってなかったからね。1950年当時は)

3.ラテラルバランスの調整
最後尾に位置するサブウェイトから、外側にアームを伸ばしてラテラルバランサーを設置。
モノ時代の設計だから当然だけど、ステレオ時代になってもOrtofonは無視し続けた機構。
(Ortofonには付いていない)

4.アームリフターの一体化
支柱に固定する形で一体化を達成。加えてアームレストまで一体にしちゃったカシコサ。
(Ortofonはリフターを別に用意していたが、別売品)

5.これはオプションですが、インサイドフォースキャンセラーの追加
写真のI/F・Cはオプションです。
ステレオなのにSPUは針圧3.5g以上だから要らないと考えられていたのでしょう。
そうこうするうちに、2.5g以下のカートリッジが出てきたので困って追加したんでしょうね。
(Ortofonは随分あとになって、RS-212sで初めて搭載。多分20年以上遅れている)

DSC02947.jpg
ピンボケ失礼。あとで差し替えます。

このサポートの丸い部分は、ステンレスパイプの輪切りなんだって。
頑張って手造りした感があって、いいよねー。

基本設計から50年以上経った現代でも、SMEの象徴ともいえる「3009」「3012」はその機構をほぼ同じ形態で受け継いでいます。
初号機にして永劫に通じる完成度こそSMEの魅力でしょうか。
発売当時の人たちの目には、卓越した逸品と写ったことは想像に難くありません。


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コメント
こんばんは。
3009のプロトタイプですね!

初期のこのタイプ、モノ2ピンタイプが使えるように、中の4ピンを回転できるようになっていることを、はじめて知りました。ステレオだけではなく、モノタイプも想定されていたんですね!

後期のSMEアームは、、個人的にはどうもSPUには?という印象を持っています。でも、これら初期のものはやっぱり、、別物のようですね。SPUにこれはいいよ、とおっしゃる方多いですね!
自分は何となく、、バネのついたダイナミック型がオルトフォンには、という先入観があって、、、

細かなことですが、内部の4ピンを45度回す構造は、、オルトフォンにもあったようで、、手持ちのRMG212も、回せるようになっています。(改造ではないと、思いますが、、)2ピンと、4ピンに対応しているようです。でも、カートリッジを差し込み回して締める部分のスレットは4本もない?
ここまで書いて、ふとノイマンや?オルトフォンも?プロ用はひし形配置だった!と思い出し、、これはそれの対応???
すみません、混乱してきてしまいました。

これも細かいことですが、、、スライドベースでオーバーハングを調整した時、3012Rを使っていましたが、どうもGシェルと、Aシェル、カートリッジ本体の角度がだいぶ違ってしまい?、、何か気になってAシェルにはアダプターをつけて使っていました。どうも、今でもあれはどうなっていたんだろう?と、わからずにいます。
???マークばかりで、、、すみません。



2010/02/19(金) 01:24 | URL | marco #MZf6kU0Y[ 編集]
こんばんは、

メディアの過渡期でしたから、よく整理して臨まないと確かに混乱しますね。
実はSMEの比較につかったOrtofonのアームについても少し書こうと思っていましたが、あるブログで混乱した記事が出たばかりだったので、タイミング的に「嫌がらせ」と取られはしないかと見送った次第です。

そんな、心労をしながらブログを書いています。i-201

2010/02/20(土) 00:54 | URL | kaorin27 #qJTEhbLw[ 編集]
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