Falla 三角帽子 アンセルメ 孤高故に非難されたレコード
昔、各地にアイマックス・シアターの巡業があり、安曇野の館で300インチのスクリーンで見たことがあります。
出し物は、W・ディズニーの「ファンタジア」(新版)でした。
その中で一部旧版の映像があり、有名なストコフスキー指揮のファリャ「魔法使いの弟子」でした。
手習い中の魔法使いの弟子であるミッキー・マウスが水汲みを命ぜられるのですが、手抜きをしようと覚えたての魔法を使います。その魔法が暴走をして悶着を起こすという内容でした。
Manuel de Falla y Matheuは1876年にスペインで生まれ、土地に根ざした魅力ある楽曲を多数創作した一方、バレエ音楽にも傑作を残しています。
その中の一つが今日の主役である、バレエ「三角帽子」の為に書かれた同名曲です。

Decca SXL-2296 FALLA Three Cornered Hat Ansermet De La Suisse Romande
指揮者のアンセルメは日本にも多くのファンを持つ巨匠です。
特にバレエ音楽にはロマンティックな解釈と万華鏡のような音色によって、比類なき存在といわれております。
実際に舞台上でダンサーが踊り易い演奏かは存じませんが、楽曲を楽しむには最高の一人です。
曲自体もポピュラーなもので、何方でも聞き覚えのあるメロディーが散りばめられており、大変親しみ易い曲です。
スペイン情緒は濃厚にありますし、過去の偉大な作曲家へのオマージュ(パクリとも言う)も散見され中々ウィットに富んだ造りになっています。
私はずーと土着の音楽が好きで、イギリス、フランス、スペイン等、クラシックの本道からは外れた?曲を好んで聴いてきました。
残念なことは、相当な音楽好き、又はオーディオ好きの方にこの種の音楽を聴いて頂いても、実に反応の良からぬことです。
逆に言うと、クラシックの中ではポピュラーな音楽に属するので、軽々に思われるのでしょうが、何とも残念というか勿体無い気がしないでもありません。

さて、オーディオ的な聴き所にも触れておきましょう。
この1枚は泣く子も黙るSXL2000番台の中でも、極めつけのグループに入ります。
そのことは、当然価格にも反映されており一時期は、大抵の真空管アンプキットを凌駕する高値で取引されていました。
勿論、私自身もその価格に見合った価値を信じることは出来ませんでした。あまりにも高価過ぎたのです。
しかし、所有もせずに無視するのはあまりにも「卑怯」だと思い、ある時のボーナスが少々余力を残したので思い切って買ってみました。
その音質は、聞いた事のない方には、ここでどの様な美辞麗句を並べても想像も付かないものだと思います。
と言うよりは、オーディオ機器の改善のレベルで想像しても全く追いつかないほどの衝撃を与えてくれました。
優秀なオーケストラの録音は、通常手前からヴァイオリン、チェロなど、中ほどにビオラ、奥に管楽器群といった3段重ねのステージを展開します。(更に優秀な物はより細かく4層に)
ところが、このレコードは明らかに7層の奥行きを表現しています。
しかも、合唱や独唱(ベルガンサ!!)を含めると90名近い奏者がいると思われるはずなのに、一人ひとりが距離感を持って定位するほどの、透明感、空間感を持っています。
最期に、我々日本の音楽好きには非常に残念なエピソードを一つ。
このレコードが発売された当時、あまりの音響の素晴らしさ、オーケストラのバランスの完璧さによって、日本の市場では「アンセルメは録音のマジックによって美化されたマヤカシものだ」という定評がありました。
確かに、この曲だけではなく、同時期のアンセルメのレコードは押しなべて超絶録音でありました。
当時の日本の音楽好き、オーディオマニアは自身の理解の枠を超えた音響に面と向かった時、どの様に理解して良いか判らず、自分達の常識を守る為、対象を引き摺り下ろすという愚を行ってしまったのだと思います。
この件に関してはDeccaの関係者も耳にしていた様で、明確に否定しています。
「一部の地域では、アンセルメの録音に対して批判的な意見もあるようだが、実際は全く異なっている。
アンセルメの耳は異常に鋭敏で、またオーケストラコントロールも完璧と言えるもので、収録の現場では特別なマイク位置を探す必要は殆ど生じなかった。
通常のセッティングのままテープを回すだけで理想的なバランスの録音が得られたため、彼の収録は常に容易であった」
私を含め、現在95件のピュアオーディオ・ブログが参加している、ブログ村オーディオカテゴリーへのリンクです。
是非覗いてみてください。ウエスタンや自作アンプ、自作スピーカーの情報が盛りだくさんです

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同じく、現在315件のクラシック音楽ブログが参加しているリンクです。歴史的名盤から、ニューリリースの感想まで、私もレコード探しの参考にさせて頂いています。

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出し物は、W・ディズニーの「ファンタジア」(新版)でした。
その中で一部旧版の映像があり、有名なストコフスキー指揮のファリャ「魔法使いの弟子」でした。
手習い中の魔法使いの弟子であるミッキー・マウスが水汲みを命ぜられるのですが、手抜きをしようと覚えたての魔法を使います。その魔法が暴走をして悶着を起こすという内容でした。
Manuel de Falla y Matheuは1876年にスペインで生まれ、土地に根ざした魅力ある楽曲を多数創作した一方、バレエ音楽にも傑作を残しています。
その中の一つが今日の主役である、バレエ「三角帽子」の為に書かれた同名曲です。

Decca SXL-2296 FALLA Three Cornered Hat Ansermet De La Suisse Romande
指揮者のアンセルメは日本にも多くのファンを持つ巨匠です。
特にバレエ音楽にはロマンティックな解釈と万華鏡のような音色によって、比類なき存在といわれております。
実際に舞台上でダンサーが踊り易い演奏かは存じませんが、楽曲を楽しむには最高の一人です。
曲自体もポピュラーなもので、何方でも聞き覚えのあるメロディーが散りばめられており、大変親しみ易い曲です。
スペイン情緒は濃厚にありますし、過去の偉大な作曲家へのオマージュ(パクリとも言う)も散見され中々ウィットに富んだ造りになっています。
私はずーと土着の音楽が好きで、イギリス、フランス、スペイン等、クラシックの本道からは外れた?曲を好んで聴いてきました。
残念なことは、相当な音楽好き、又はオーディオ好きの方にこの種の音楽を聴いて頂いても、実に反応の良からぬことです。
逆に言うと、クラシックの中ではポピュラーな音楽に属するので、軽々に思われるのでしょうが、何とも残念というか勿体無い気がしないでもありません。

さて、オーディオ的な聴き所にも触れておきましょう。
この1枚は泣く子も黙るSXL2000番台の中でも、極めつけのグループに入ります。
そのことは、当然価格にも反映されており一時期は、大抵の真空管アンプキットを凌駕する高値で取引されていました。
勿論、私自身もその価格に見合った価値を信じることは出来ませんでした。あまりにも高価過ぎたのです。
しかし、所有もせずに無視するのはあまりにも「卑怯」だと思い、ある時のボーナスが少々余力を残したので思い切って買ってみました。
その音質は、聞いた事のない方には、ここでどの様な美辞麗句を並べても想像も付かないものだと思います。
と言うよりは、オーディオ機器の改善のレベルで想像しても全く追いつかないほどの衝撃を与えてくれました。
優秀なオーケストラの録音は、通常手前からヴァイオリン、チェロなど、中ほどにビオラ、奥に管楽器群といった3段重ねのステージを展開します。(更に優秀な物はより細かく4層に)
ところが、このレコードは明らかに7層の奥行きを表現しています。
しかも、合唱や独唱(ベルガンサ!!)を含めると90名近い奏者がいると思われるはずなのに、一人ひとりが距離感を持って定位するほどの、透明感、空間感を持っています。
最期に、我々日本の音楽好きには非常に残念なエピソードを一つ。
このレコードが発売された当時、あまりの音響の素晴らしさ、オーケストラのバランスの完璧さによって、日本の市場では「アンセルメは録音のマジックによって美化されたマヤカシものだ」という定評がありました。
確かに、この曲だけではなく、同時期のアンセルメのレコードは押しなべて超絶録音でありました。
当時の日本の音楽好き、オーディオマニアは自身の理解の枠を超えた音響に面と向かった時、どの様に理解して良いか判らず、自分達の常識を守る為、対象を引き摺り下ろすという愚を行ってしまったのだと思います。
この件に関してはDeccaの関係者も耳にしていた様で、明確に否定しています。
「一部の地域では、アンセルメの録音に対して批判的な意見もあるようだが、実際は全く異なっている。
アンセルメの耳は異常に鋭敏で、またオーケストラコントロールも完璧と言えるもので、収録の現場では特別なマイク位置を探す必要は殆ど生じなかった。
通常のセッティングのままテープを回すだけで理想的なバランスの録音が得られたため、彼の収録は常に容易であった」
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是非覗いてみてください。ウエスタンや自作アンプ、自作スピーカーの情報が盛りだくさんです

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コメント
こんばんは
ご紹介されるレコードは欲しくても買えないものばかりで、うらやましいです。
このレコードは聴かなくなったレコード100枚売っても買えそうもありませんね。
デュカスは何故か惹かれるトスカニーニ盤を愛聴しています。
ご紹介されるレコードは欲しくても買えないものばかりで、うらやましいです。
このレコードは聴かなくなったレコード100枚売っても買えそうもありませんね。
デュカスは何故か惹かれるトスカニーニ盤を愛聴しています。
こんばんは。
こんな高価なレコードは他には持っていませんよ。(いくらなんでも・・・)
ずっと、レコードは1枚1万円以下と決めていたのですが、何時からか急に値上がりして困ったのものです。
オペラだけは、日本国内でも余程の人気盤で無い限り案外と安価なので助かってます。
(オペラ普及委員会は自分の首を絞めそうですね)
それでも折角ご推薦頂いたので、カルメンもいずれ出したいと思います。
こんな高価なレコードは他には持っていませんよ。(いくらなんでも・・・)
ずっと、レコードは1枚1万円以下と決めていたのですが、何時からか急に値上がりして困ったのものです。
オペラだけは、日本国内でも余程の人気盤で無い限り案外と安価なので助かってます。
(オペラ普及委員会は自分の首を絞めそうですね)
それでも折角ご推薦頂いたので、カルメンもいずれ出したいと思います。
となっていました。
拙Blogの最終の画像、クリックすると大きくなります。
出来の良い海賊盤ならラベルも完璧にCopyするでしょうから、セカンドプレスでしょうかしら?
いずれにしろ多層レイヤ、聞くことができました。
拙Blogの最終の画像、クリックすると大きくなります。
出来の良い海賊盤ならラベルも完璧にCopyするでしょうから、セカンドプレスでしょうかしら?
いずれにしろ多層レイヤ、聞くことができました。
mamboさん、こんにちは。
ブログ拝見しました。三角帽子Getですね。録音もお気にめされた様子で
ホッとしています。
写真の情報だけでは断定的には申しにくいですが、180gの記載からすると
「スピーカーズ・コーナー」というシリーズ(会社名?)の商品に付けられる
名前かもしれません。
これだけの「人類遺産」的レコードともなると、曲、演奏も音の内容も
素晴らしくハイクオリティですからプレスを超越してしまいますね。
ブログ拝見しました。三角帽子Getですね。録音もお気にめされた様子で
ホッとしています。
写真の情報だけでは断定的には申しにくいですが、180gの記載からすると
「スピーカーズ・コーナー」というシリーズ(会社名?)の商品に付けられる
名前かもしれません。
これだけの「人類遺産」的レコードともなると、曲、演奏も音の内容も
素晴らしくハイクオリティですからプレスを超越してしまいますね。
2011/06/15(水) 19:05 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
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