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速やかならん事を欲すれば則ち達せず  クナのPARSIFAL

イングランド戦は不思議な試合でしたね。
入れるゴールさえ間違わなければ、3ゴールは全て日本選手だったので、3-0で勝っていたのに・・・
選手交代の度に、先日自分で考えたシステムに近づいていったのでドキドキしながら見ていました。
阿部選手がアンカーで頑張ってくれたのがとても嬉しかったです。


さて、表題の「速やかならん事を欲すれば則ち達せず」は
有名な孔子の言葉です。

急がば廻れ。的な意味で良いのでしょうが、サッカーの実力も、オーディオの音にも全て適用できる大好きな格言です。

パワーアンプの設置状態の変更は遂にプリアンプにも及びましたが、2,3日前にどうやら落ち着きを取り戻しました。
これから、どれ程の時間が掛かるかは分かりませんが、その先にある音は、変更前よりもステキであって欲しいと望んでいます。

そんな訳でここのところは、古いモノラル盤やSPレコードを中心に聴いています。
その中から「やっぱり、途方も無く凄い1枚」をご紹介します。

PICT00150.jpg
Decca LXT 2651-6 knappertsbusch Bayreuth 1951 Wagner PARSIFAL

先人の好事家によるとクナの演目の白眉はパルジファルにあるとの意見も多いようです。
バイロイト・ライブのパルジファルでは1960年代のステレオ盤が決定盤として名盤の誉れも高いものです。
(その盤については次回詳報いたします)

この1951年盤は当然のことですが、モノラル録音ということもあり、現在ではステレオ盤程の話題を集めることは無いようです。



さてさて、そもそも「Parsifal」はキリスト教との繋がりを連想するテーマでもあり、本邦ではあまり聴かれる機会が少ないかもしれません。
また、派手なオーケストレーションの場面も少なく、登場人物も限られていますので地味な印象を拭い切れないのでしょう。

しかし、ストーリー自体は、日本人の道徳観からすると「それ、あり?」っていうくらいワグナー・ファンタジーがバリバリですから、音楽的にお気に入りの場面だけを見つけて聴いてみるのも悪くないと思います。

まあ、じっくり聞き込めば多分比類なき傑作に間違いはありませんからハマル人も多いかと思います。
特に、「聖金曜日の奇跡」の場面などはやっぱり背筋が寒くなるほどの強大なエネルギーを有しています。

PICT00160.jpg
5枚目の裏面だけに、ゴールデンクロスが透かしのように入れられています。
聖杯や、白鳥、鳩などの小物と一緒に。

日本では人気薄のパルジファルですが、さすがに欧州では長期に渡りプレスが続いたようで、このレコードには数多くのバリエーションが存在します。

PICT0018.jpg

①ツヤなし紙ジャケット、6枚バラ
②レーベルのDECCAロゴが大きい
③祝祭劇場の後光が長い
④内溝
⑤フラットプレス
⑥マトリクス末尾番号 1A & 手書き文字
PICT0021.jpg
などの「やくそく事」があって初版とされているようです。


このレコードを手で持った感触は独特なものがあります。

厚みの割りに「軽い」のです。
表面もカサカサと乾いた感じで、丁度「SPレコード」の肌触りに近いものがあります。
以降のものとは、ヴィニールの成分そのものが異なるのでしょうが、実はこの手にした感覚が、このレコードの評価にかなり大きな影響を持っているのでは?と考えています。


以前、SXLの2000番の特徴として「薄い板の乾いた感じを伝える」という感想を書きましたが、このレコードはそのベクトルを極限まで拡大して「乾いた空気の存在」さえも感じさせてくれます。

今回のオーディオ遊びで、一時は透明感や明瞭感が向上し、クオリティが上がったように感じました。
しかし、それらの印象が決して好ましいものではないと言う結論に達したのです。

本当の意味で再生音の情報量が増すと、単に楽器の音がクリアに聴こえるのを超越し、演者と聞き手(マイク)の間には確実に大気が存在することを分からせてくれるものだと思うに到りました。

その空気の質が問題なのです。

実際は、日本の湿気の多い空気の中で聴いているのに、レコードを再生することで(例えば)バイロイトの祝祭劇場内の空気を感じられるか?
そんな事を思い起こさせてくれた1枚であり、このレコード(の音)によって沼の底から引き上げられた気持ちです。


この1951年という年は、大敗した世界大戦後の記念すべきバイロイト再開の年で、名演が幾つも残っています。
わけてもフルトベングラーによる「バイロイトの第九」は不朽の名盤ですが、録音された音質に関しては全ての面でこのParsifalが凌駕しています。



インシュレーターやその他のチューニングパーツで得られる一時的な音の変化は、あくまで一瞬の耳当たりの変化に過ぎません。
瞬間の音質の向上と思われる現象は、本質的なオーディオの変化とは別の物だと思います。

この古いモノラル録音のレコードのような「徳の高い」音源を鳴らし続けることによってのみシステムの成長が達成できるのだと、改めて教えられた今回の顛末でした。


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