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シュトラウスⅡ 「こうもり」 ウィーンの流儀

昨夜は松本市民芸術館にて、シェーンブルン宮劇場の引越し公演で、J・シュトラウス2世のオペレッタ「こうもり」に行って来ました。
所謂、王宮の中で活動するハプスブルク家の私的劇団でしょう。これを松本で聴けるわけですから良い時代に生きたものです。平和な世界に感謝ですね。


オペレッタは、その性格から最も実演を鑑賞する興味の大きな楽曲の一つですね。
元々台詞がきっちりと決まっているわけでなく、アレンジやアドリブに趣向を凝らす余地があります。
また、ニ幕の舞踏会の場面ではシュトラウスのワルツで踊る場面がありますが、特に曲が決まっている訳ではなく(聞き手に飽きさせない計らいでしょう)日によって曲が異なることもあるようです。

実際、三幕では「マツモト刑務所」が舞台であったり、あちこちに日本語がフューチャーされており、会場が笑いに包まれる場面も多々あります。
(全国ツアーのようですから、これ以上のネタばらしは控えます)


序曲に入って直ぐからのポルタメントでもう、どっぷりとウィンナ趣味の始まりです。
例外的なと思えるほどのアウフタクトなのか、「タメ」や「ミエ」の切り方が大変に心憎いものでした。

オケの編成はほぼスコア通りの小編成(弦5部の12型。ホルンだけ2本だったような=スコアでは4本だったと思う)ですが、これがトンでもない代物でした。

これまで聴いた経験のない音です。
ヴァイオリンといい、木管といい「雅」を通り越して、何とも猫なで声のようなタッチです。
僕はVPOやバンベルグSoの音を「先の丸まった」音と呼んでいますが、それをはるかに凌ぐ古い独墺系の究極の姿でしょう。


声を大にして宣言しますよ、日本で聞くことのできるオーディオの出す音は「高音が強すぎ」です。中低域が弱いと言うのかな?
(乱暴な表現ですが、街中やレストラン等で耳にする音や、電気店の店頭で絶え間なく聞こえる音の洪水、そして勿論オーディオショップなどで聞こえる社会中の再生音全体の印象と捉えて下さい)

実演のヴァイオリンは想像以上に低い音域から響きが乗っていることを理解しなければいけません。
我が家の音も、悲しいくらいまだまだです。
やっぱりA-5やVitavoxの音は正しいと言わざるを得ません。

PICT0010.jpg
今日はこのカラヤン先生の名演で余韻を楽しみました。
Decca SET201-3 Karajan VPO Gueden Berry Kunz 他

さて、歌唱としては主役級の「アデーレ」はH・ヴォルフ(S)です。夜の女王を出来るほどの実力者ですから上手いのは当然ですが、コロコロとした発声と、策略家気取りなのに無邪気で可愛げのある役つくりがハマっています。
(上背の小ささといい、容姿の雰囲気は、最近おバカタレントとしてブレイクした、元モー娘の辻ちゃんを連想してしまいました)

また、三幕では演劇上の主役は何と言っても看守役のフロッシュでしょう。
ウィーン生まれの著名な俳優であるF・スーラーダは絶好調で笑いを取りまくっていました。

その他のソロ演者も半数以上がオーストリー出身者で固められており、節回しや音節のつなぎ方に全く独特のアクセントを共有していました。

PICT0015.jpg

このカラヤン先生の演奏も雰囲気を重視していることはよく伝わります、ただし、このような軽妙な(おふざけの過ぎる)曲にはオケの規模も含めて立派過ぎるかもしれません。



オペラでしたら、音だけで十分楽しめますが、オペレッタに関してはやはり実演の方が圧倒的に楽しめます。
小さな演技や仕草が実に趣味がよろしいですね。
ハプスブルクの皇族はこんな感じで聴いていたのだろうな。

これは演奏そのものに批評や、文句を言う対象では無いってことですね。(レコ芸は嫌いな僕です。自分より上手い人を批評してなんになるって感じですか)
眉間にしわを寄せて、解釈だの表現だのと通ぶって聞くものではなく「皇帝の気持ち」で人生を、音楽を楽しむ為のものですね。


これからも、まだまだ国内の公演は続くようですから、ご都合のよろしい方はご覧下さい。
お勧めです。


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コメント
こんばんは

シュトラウス・ファミリーの音楽を聴いていると、レコードのレーベルやスタンパーを
気にしている自分が恥ずかしくなることがあります。
何だか「もっと音楽を聴いて、楽しんで!」って言われているような気がして。
さりげなくスッとこなす粋な男になりたいもんです。
一生ムリかもしれませんが。
2010/06/04(金) 01:29 | URL | メタボパパ #-[ 編集]
こんにちは、

まったく仰る通りで、
経済的にも、精神的に余裕のある人ほど、妙なコダワリが無いのにポッと手にしたものが憎らしいほどに趣味が良いんですね。

オーディオだの、初期盤だのと目くじらを立てている時点で、私など完全に「アウト!」ですが・・・
2010/06/04(金) 18:14 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
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