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今だから思うメディア論  メーカーの考えるデジタルと高音質

巷ではSACD対応の新商品が出なくなったとか、新譜そのものも少ないとかで、メディア論の今後なんて話で賑わっていますが、憶測は別にして会社側にはそれぞれの事情もありますので皆さんが想像するようには必ずしもならないかもしれません。

何と言っても、上の事情は世界経済の停滞感が大きな理由の一つです。
企業は投資した事業から充分に回収したと考えない間は新規の事業にはすんなり移行せず、不況下では設備投資を控えるものですし、市井ではリサイクルや安売りが元気になる時は音楽や趣味の文化は縮小するものです。

逆に経済が強い時には、芸術など贅沢な面が発達するのです。
(バブルの時の絵画やフェラーリがどうなったかですし、国の文化力も例えば、元禄時代に花開いた江戸文化も享保や天保の幕末近くでは衰退するのが世の倣いです)



私が以前勤めていた会社はハードとソフトの事業間で人材の交流もあったり、平たく言うと仲良しという珍しいところでした。
おそらく平成12,3年頃、喫煙可能な中庭でマスタリングセンターの責任者と雑談をしていた時の話です。


時代背景注)1980年頃にCDが発売されて20年。当時、わが社のデジタルマスター(CDへカッティングする為の送り出しデータ)は業務用MO(セルDVDのパッケージ程の大きさのケースに入っている)に20Bitで記録されていました。


私「マスターはみんな20Bitで作っているんですか?今後Bit数が増える必要のある時はどうするのでしょう?」
注)当時はまだDVD-AudioもSACDも出る前のことです。

Nさん「いいえ、20BitMOはカッティングの為のもので、楽曲を残す為の大元のマスターとは違うんですよ」

私「ということは、大元のマスターは24Bitとか、32Bitなんですか "@_@)」

Nさん「いえいえ、歌謡曲や運動会用なんかの音源は最初からデータで録りますけど、クラシックやJazzは未だにアナログテープに録音しています

私「どっひゃー! 僕としては嬉しいのですが、音質とかノイズの点でアナログは不利のような気がしますけど」(あまりの衝撃に気が動転して自分らしくないことを吐いたのを良く覚えている)

Nさん「ははは・・・今のはデッキもテープも凄いから大丈夫」

私「でも、どうしてアナログである必要があるのですか? やっぱり今一歩納得の行かないというか。
編集するにはデジタルは有利のようですし、マスタリングや子分けするにもコピーによる劣化を無視できましょう?
プロダクションとしての記録媒体(元マスター)なら、合理性x音質=最大効率を追求しているのではないですか?」

Nさん「いやいや、音楽産業ってのは見かけによらずロマンティックな面もあるのよ。まあ、冗談はさて置き、ヒット曲一曲が幾らの資産価値があると思う?」

私「よくミリオンヒット何枚でビルが建つとか言いますね、会社の取り分x売上枚数でしょ?」

Nさん「そう、歌謡曲ならね、発売から短期間で回収できるね。だからデジマスターでも問題は無い。
でも、クラシックやJazzのスタンダードな名演ともなると、何十年経っても再発、企画物が売れるから新譜の時点でたいして売れなくとも会社にとっては長期的に大きな資産価値があるんだよ」

私「ぼんやり分かってきましたよ。デジタルのように規格を決めちゃうと、その時点ではいくら優秀なスペックでもいつか技術の進歩に抜かれちゃうと・・・」

Nさん「例えば現時点で48Bitマスターが作れたとして、これを16BitCDで売り出せば大きな話題になるよね。

でも、技術の進歩は常に我々の想像を超えるんだよ。
ほんの20年後に96Bitや128Bitが当たり前に成っているかもしれない。50年後はどうだろう?256や512、もっとかも?

今の常識じゃ考えられないけれど、ライト兄弟だって初飛行から僅か66年で月に行くことを考えられなかったのと同じだね。

そんな時代になったときにいくら32Bitや48Bitでも、そのマスターじゃあ商品価値が悲しいほど低くなっている事が予想できるね。

でも、アナログマスターならばその時代の最先端のA/D変換を行うと、無限Bitの情報を取り出せると「言い換えて」も良いのじゃないかな


私「なるほど! 別に趣味性の高さをアピールするとか、単純にアマチュアライクな発想でアナログの方が音が良いなんてことじゃなくて、しっかりとした計算と大人の事情があったのですね.

それと我々音楽産業には、二度と録り直しの出来ない、唯一度のセッションの記録(レコード)を価値を落とす事無く後世に伝えていく責任があるということですね」



その後数日の間に、会社帰りに一杯飲み屋へ連れ出してさらに詳しく現場の話を聞いたのは言うまでもない!

そのときにこんな事を言っていた。

Nさん「京都の大きなお寺なんかで改修工事をすると、屋根裏から当時の大工さんの書いたメモなんかが出るでしょ。

あれは、木に墨で字を書いた「物体」だから1000年経っても残るし、読む事ができるんだよね。
もし、現代の大工さんが後世に伝えたい事をCDやDVDに残して屋根裏に置いても、1000年どころか100年後だって再生は難しいかもしれないよ


私「フォーマットの変更も勿論ですけれど、CD-RやDVD-Rだとデータ自体も消えちゃうかもですね。
  墨ってすごいなあ」

DSC03555.jpg
当然流通量は減っているけれど、100年後でも平気で使えるし、店に行くと盤や機械やパーツが売っているのだから凄い事ですよ。ホントに。

とまあ、メーカーも一生懸命考えて高音質の文化を守って行こうとはしています。

ただし、怖いのは・・・
メーカーの事情の基礎となるのは「ユーザーの求めるもの」に他なりません。
そのためにマーケティングに巨費を投じて市場動向に敏感になっています。

大多数のユーザーが音質なんか必要ない、音楽なんて聞ければいいじゃん!!
わたしらは「MP4でも充分」とか「CDでいいじゃん、CD最高!でもでかくてうっとおしー。やっぱ、配信でいいわ」

なーんて嗜好だろうとメーカーが理解すれば、ゼネラルユースの音源だらけになってHi-Fiのマーケットは更に縮小し、高額な趣味の物になります。

ですから、みなさんはハイレゾやSACDを沢山買って下さいね。
僕は当面、SP盤や初期レコードの分野でアナログHi-Fi市場に貢献していこうと思います。



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コメント
おはようございます。

そうか~!デジタルは方式で決定されてしまいますが
アナログは如何にでも料理する方法が有って
それに伴い音も変化する!
良く再生音を録音していますがこれも規格が変わったら
音にならなくなるのでしょうね(^_-)
テープは保存の方法でノイズが増えるのが
デンオンのデッキを購入した時にその時再生されて居た
テープを貰ったのですが先日久し振りに再生してみると
結構ノイズが入って居た・・・ガックシ!でした(^_-)-☆
2011/03/02(水) 09:39 | URL | altum #VQ8ezY4k[ 編集]
altumさん、おはようございます。

そうですね、近年往時のアナログ名演奏のSACD化が盛んですね。
モノ時代のフルトヴェングラーまで・・・
あれも、16bit音源でしか残っていない物だとしたらきっと悲しい商品価値だったと思います。

altumさんの録音は毎回楽しみに聴かせて頂いています。
遠い将来のことまで考えると、結局は先日話題にした乱立&変化する規格は困るよね。っていう
問題になりますね。

マスターテープの保管、また映画会社のフィルムの保管も社運を賭けていますね。
2011/03/02(水) 10:37 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
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