金のかかる大人は不幸か?
あれは、まだ20歳前のことでした、なんの事情があったかは失念しましたが、一人で上野駅傍のホテルに宿泊したことがありました。
午後早々に着いたので、周辺を一回り散歩に出かけたのです。
(途中、古い喫茶店に立ち寄って、サンドウィッチとコーヒーを頼んで900円ほど取られたのには心底ビビッた。東京は恐ろしいところだーーー)
現在でも続いていると思いますが、丁度その時に上野公園で盆栽の品評会が開かれていたのです。
もちろん、そんなものに興味は無い若者の私でしたが、路上から見えた一鉢の盆栽に釘付けになってしまったのです。
余りに長い時間動かないコゾウが居るというので、それを見ていた係員のオジイサンが会場内に招き入れてくれました。
「おにいちゃん、何か気に入ったのがあるの?」
後年、盆栽好きな人から聞いたのですが、その品評会は日本で最高峰の権威で、そこに出されるトショウやシンパクといった名品は「億」の価値があるものだそうです。
私が惹かれたのは、もう少し解りやすい「雑木」のなかで多分「ケヤキ」の一本物だったと思います。
そこに何を見たかというと、皆さん、「日立」さんのTV-CFで(♫このー木なんの木、気になる木ーー)っての知ってますよね。草原に巨木が一本立っている絵です。
目の前のわずか50cm程の盆栽が見上げるほどの巨木がになって、そこで遊ぶ身長3cmの自分が居たのです。
見上げると、葉の間の空は抜けるような真っ青で、体調3mmくらいの小鳥が翔んできては、また飛び去って行きました。
(多分、鉄道模型の趣味の方なども同じ感覚かなと思います)
完全に盆栽の世界に入り込んでいたのです。
そして、それを係員の方に、こう感じた。と話をしました。
その時のオジイサンの顔は中々忘れることができません。ちょっと困ったような、はにかんだような表情になり
「おにいちゃん、今のうちにちゃんと勉強しときなよ。将来きっと金の掛かる大人になるから、いいとこへ務めてしっかり稼ぎなよ。」
と言われました。
しかし、そんな言葉の意味を分かろうはずのない若輩の私は、学校を出ても定職につかずにいたくせにオジイサンの予言がキッチリあたって金の掛かる大人に成っていったのでした。
これも後から教わったのですが、良い盆栽というのは小さな鉢の中で大自然に育っているままに生えているかのようであり。
その盆栽を見ると、大草原であったり断崖絶壁に逞しく育つ木の自然の持つ強さ優しさを想起できなければいけない。そうです。

大自然のそのままを切り取ると、その背景には見えないはずの情景を想像出来るって訳だね。レコードの理屈そのものじゃん。
これって、「天使の音」が出た時と全く一緒なんですね。
その時は、オペラハウスかコンサートホールの中にポツーンと一人放り込まれたような気分になります。
訳も分からず、焦ってキョロキョロ見渡している自分を尻目に、音楽はドンドン進んでいくという寸法です。
さて、このような体験は他の様々な分野でも沢山起こっています。
首都圏では5月24日に放送されたテレビ東京「お宝鑑定団」に長野県出身の日本画家 池上秀畝先生の「初雪」という六曲一双の大きな(幅10m近くあった)屏風が出されていたので、ご覧になった方も多いかもしれない。
その品のテレ東のHPはこちら
その屏風が出された瞬間、観客席が「おおーー」とざわめいた。
評価額も発表され、一通り講評を終えた鑑定士の田中 大さんに司会の紳助さんがこう聞いた。
「やっぱり本物は違いますね、これが出た瞬間客席から声があがりましたね」
答えて
「たしかに、この屏風はそれだけの力があると言えましょう。見る人をその世界に引き込みますね」
この番組をご覧になってない方は、上にリンクしたテレ東のHPに行ってみてください。
屏風の評価金額を自分の手で開けるようになっています。
この絵の中に遊べない人にとっては巨大なゴミですが、それが分かると・・今度はお金が要るんですね。トホホ
この世の神羅万象すべては同じことだと思います。
オーディオだって自分の知っている世界の中だけで「究極」だとか「至高」だとか力んでも仕様がない。
オーディオだけではなく広く多くのカテゴリーを知った上で、これが「自分の音だ」ってことにならないと、井の中の蛙になってしまうだけだ。
目利きになるには、とことん本物を見続けるしかない。そこには、現代の最高峰もあるし、歴史的名品もある。
その中にポッと「マガイモノ」が混じると立ちどころに分かるという仕組みだ。って中島誠之助さんの本にあった。
着る服や身につける物も含めて、たとえ高額でなくとも時代を超えて評価されるような普遍の価値のあるものを愛でていきたいと思っている。
オーディオに関して言えば、いつも書いていることだけれど
今後、技術革新があって現在の我が家の装置より良いものが出来たら、その時は躊躇なく取り替えたい。
この気持ちだけは何時までも持ち続けていたい。
私を含め、現在95件のピュアオーディオ・ブログが参加している、ブログ村オーディオカテゴリーへのリンクです。
是非覗いてみてください。ウエスタンや自作アンプ、自作スピーカーの情報が盛りだくさんです

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同じく、現在315件のクラシック音楽ブログが参加しているリンクです。歴史的名盤から、ニューリリースの感想まで、私もレコード探しの参考にさせて頂いています。

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午後早々に着いたので、周辺を一回り散歩に出かけたのです。
(途中、古い喫茶店に立ち寄って、サンドウィッチとコーヒーを頼んで900円ほど取られたのには心底ビビッた。東京は恐ろしいところだーーー)
現在でも続いていると思いますが、丁度その時に上野公園で盆栽の品評会が開かれていたのです。
もちろん、そんなものに興味は無い若者の私でしたが、路上から見えた一鉢の盆栽に釘付けになってしまったのです。
余りに長い時間動かないコゾウが居るというので、それを見ていた係員のオジイサンが会場内に招き入れてくれました。
「おにいちゃん、何か気に入ったのがあるの?」
後年、盆栽好きな人から聞いたのですが、その品評会は日本で最高峰の権威で、そこに出されるトショウやシンパクといった名品は「億」の価値があるものだそうです。
私が惹かれたのは、もう少し解りやすい「雑木」のなかで多分「ケヤキ」の一本物だったと思います。

そこに何を見たかというと、皆さん、「日立」さんのTV-CFで(♫このー木なんの木、気になる木ーー)っての知ってますよね。草原に巨木が一本立っている絵です。
目の前のわずか50cm程の盆栽が見上げるほどの巨木がになって、そこで遊ぶ身長3cmの自分が居たのです。
見上げると、葉の間の空は抜けるような真っ青で、体調3mmくらいの小鳥が翔んできては、また飛び去って行きました。
(多分、鉄道模型の趣味の方なども同じ感覚かなと思います)
完全に盆栽の世界に入り込んでいたのです。
そして、それを係員の方に、こう感じた。と話をしました。
その時のオジイサンの顔は中々忘れることができません。ちょっと困ったような、はにかんだような表情になり
「おにいちゃん、今のうちにちゃんと勉強しときなよ。将来きっと金の掛かる大人になるから、いいとこへ務めてしっかり稼ぎなよ。」
と言われました。
しかし、そんな言葉の意味を分かろうはずのない若輩の私は、学校を出ても定職につかずにいたくせにオジイサンの予言がキッチリあたって金の掛かる大人に成っていったのでした。
これも後から教わったのですが、良い盆栽というのは小さな鉢の中で大自然に育っているままに生えているかのようであり。
その盆栽を見ると、大草原であったり断崖絶壁に逞しく育つ木の自然の持つ強さ優しさを想起できなければいけない。そうです。

大自然のそのままを切り取ると、その背景には見えないはずの情景を想像出来るって訳だね。レコードの理屈そのものじゃん。
これって、「天使の音」が出た時と全く一緒なんですね。
その時は、オペラハウスかコンサートホールの中にポツーンと一人放り込まれたような気分になります。
訳も分からず、焦ってキョロキョロ見渡している自分を尻目に、音楽はドンドン進んでいくという寸法です。
さて、このような体験は他の様々な分野でも沢山起こっています。
首都圏では5月24日に放送されたテレビ東京「お宝鑑定団」に長野県出身の日本画家 池上秀畝先生の「初雪」という六曲一双の大きな(幅10m近くあった)屏風が出されていたので、ご覧になった方も多いかもしれない。
その品のテレ東のHPはこちら
その屏風が出された瞬間、観客席が「おおーー」とざわめいた。
評価額も発表され、一通り講評を終えた鑑定士の田中 大さんに司会の紳助さんがこう聞いた。
「やっぱり本物は違いますね、これが出た瞬間客席から声があがりましたね」
答えて
「たしかに、この屏風はそれだけの力があると言えましょう。見る人をその世界に引き込みますね」
この番組をご覧になってない方は、上にリンクしたテレ東のHPに行ってみてください。
屏風の評価金額を自分の手で開けるようになっています。
この絵の中に遊べない人にとっては巨大なゴミですが、それが分かると・・今度はお金が要るんですね。トホホ
この世の神羅万象すべては同じことだと思います。
オーディオだって自分の知っている世界の中だけで「究極」だとか「至高」だとか力んでも仕様がない。
オーディオだけではなく広く多くのカテゴリーを知った上で、これが「自分の音だ」ってことにならないと、井の中の蛙になってしまうだけだ。
目利きになるには、とことん本物を見続けるしかない。そこには、現代の最高峰もあるし、歴史的名品もある。
その中にポッと「マガイモノ」が混じると立ちどころに分かるという仕組みだ。って中島誠之助さんの本にあった。
着る服や身につける物も含めて、たとえ高額でなくとも時代を超えて評価されるような普遍の価値のあるものを愛でていきたいと思っている。
オーディオに関して言えば、いつも書いていることだけれど
今後、技術革新があって現在の我が家の装置より良いものが出来たら、その時は躊躇なく取り替えたい。
この気持ちだけは何時までも持ち続けていたい。
私を含め、現在95件のピュアオーディオ・ブログが参加している、ブログ村オーディオカテゴリーへのリンクです。
是非覗いてみてください。ウエスタンや自作アンプ、自作スピーカーの情報が盛りだくさんです

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コメント
うーーーん
そんなたいそうなもん買うてないんですけど
どんどん先立たれてしまってますがな
>その中にポッと「マガイモノ」が混じると立ちどころに分かるという仕組み、、、、
なるほど、なるほど(2回感心←ここ強調)
あっしのばやいは
『ガラクタの中にポッと「ホンマモン」が混じると立ちどころに分かるという仕組み』
えっへん
そんなたいそうなもん買うてないんですけど
どんどん先立たれてしまってますがな
>その中にポッと「マガイモノ」が混じると立ちどころに分かるという仕組み、、、、
なるほど、なるほど(2回感心←ここ強調)
あっしのばやいは
『ガラクタの中にポッと「ホンマモン」が混じると立ちどころに分かるという仕組み』
えっへん
見事な盆栽ですね。おっしゃるとおり、盆栽で大自然を表現しようとするのとオーディオで、小さな部屋で巨大なホールの音を聴こうとするのは近いものがありますよね。
こんばんは
時代を超えた本物は、目利きでない人間でも感動させる
強さを持っていると思います。
オーディオは工業製品なのでデータをおろそかに出来ま
せんが、無数の要素の中のいくつかのデータで素晴らし
い世界を否定しても、全く無意味で、素晴らしい世界の
端っこの方でも味わえた自分は幸せ者だと思います。
時代を超えた本物は、目利きでない人間でも感動させる
強さを持っていると思います。
オーディオは工業製品なのでデータをおろそかに出来ま
せんが、無数の要素の中のいくつかのデータで素晴らし
い世界を否定しても、全く無意味で、素晴らしい世界の
端っこの方でも味わえた自分は幸せ者だと思います。
mamboさんこんばんは、
目利きの方には、そーゆう鋭いツッコミはご遠慮頂いております。(#^.^#)
文章全体から、目が効く人の香りが伝わってきまっせ。
確かに、骨董屋の主人は小僧さんに、時々難しい偽物をそれとなく与えて
反応を見たりしてスパルタ教育するらしいですね。
贋物を見続けると、今度は真物がわかるそうです。
私の家に来て頂いた際には、思ったこともズバリいっちゃダメですよ。傷つきやすいから。
目利きの方には、そーゆう鋭いツッコミはご遠慮頂いております。(#^.^#)
文章全体から、目が効く人の香りが伝わってきまっせ。
確かに、骨董屋の主人は小僧さんに、時々難しい偽物をそれとなく与えて
反応を見たりしてスパルタ教育するらしいですね。
贋物を見続けると、今度は真物がわかるそうです。
私の家に来て頂いた際には、思ったこともズバリいっちゃダメですよ。傷つきやすいから。
2011/06/08(水) 22:01 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
ambarさん、こんばんは初めましてですね。
コメントありがとうございます。
センスの良いブログをいつも拝見しております。
最近は床に印を付けている人が自分以外にもおられたので
勝手で恐縮ですがとてもシンパシーを感じておりました。
お年寄りの遊びと思っていた盆栽もどエライエネルギーが
あると知って驚きました。
やっぱり長く続いているものはどの世界でも凄いですね。
コメントありがとうございます。
センスの良いブログをいつも拝見しております。
最近は床に印を付けている人が自分以外にもおられたので
勝手で恐縮ですがとてもシンパシーを感じておりました。
お年寄りの遊びと思っていた盆栽もどエライエネルギーが
あると知って驚きました。
やっぱり長く続いているものはどの世界でも凄いですね。
2011/06/08(水) 22:08 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
メタボパパさん、こんばんは
コメントありがとうございます。
そうですね、美しいものに感動出来る人は、骨董品屋さんはしなくても
皆さん目利きなのかもしれませんね。
道端の花に心震わせる人もいれば、何も感じない人もいるでしょうから。
わけても、時代を超越した本物はオーラが違いますからね。
オーディオは・・・工業製品としては最低の業界ですねえ。
危なくて記事にはできないけれど、1970-80年代に雑誌広告を出していた
メーカーの6割は現存しないんじゃないかしら。
買った人が良く文句を言わないと思っていたら、販売店も無いわ!
他の業界なら暴動が起きてるでしょ?
巻き添えをくってない僕らは幸せですよ。助かった理由こそが仰る通りの
ことなんだと思います。
コメントありがとうございます。
そうですね、美しいものに感動出来る人は、骨董品屋さんはしなくても
皆さん目利きなのかもしれませんね。
道端の花に心震わせる人もいれば、何も感じない人もいるでしょうから。
わけても、時代を超越した本物はオーラが違いますからね。
オーディオは・・・工業製品としては最低の業界ですねえ。
危なくて記事にはできないけれど、1970-80年代に雑誌広告を出していた
メーカーの6割は現存しないんじゃないかしら。
買った人が良く文句を言わないと思っていたら、販売店も無いわ!
他の業界なら暴動が起きてるでしょ?
巻き添えをくってない僕らは幸せですよ。助かった理由こそが仰る通りの
ことなんだと思います。
2011/06/08(水) 22:29 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
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