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古典アンプのハム対策は、教科書通りに行きません。

入力した信号を増幅して出力する。

通常のオーディオアンプなら極めて単純なアンプの目的ですが、お客さんを集めてお金を頂いて音を聞かせるという環境で使われる劇場用アンプは、いわば消防車や救急車のような「はたらくくるま」の仲間ですから、家庭用の乗用車では思いも付かない様な様々な特徴を持っています。



さて、古い時代の劇場ステージ用のアンプのノイズ対策の2回目です。

今回の対策すべき事柄を分野わけしてみると

Ⅰ:60Hzのノイズ
Ⅱ:120Hzのノイズ
Ⅲ:回路などによるノイズ  の3つに分けられます(この分類は大抵のアンプで同じです)

前回に引き続き、Ⅲ)の回路や部品の問題を取り上げます。


繰り返しになりますが、このアンプは入力セレクターとイコライザーを持つ「プリアンプ」と、「パワーアンプ」そして、前項で撤去した「モニターアンプ」の3つのアンプを内蔵した、いわば「プリ・メインアンプ」になります。

ということは、前項で挙げた写真の様に、この時代のKlangfilmではアンプ一式を映写室(客席の後の壁の奥)に設置し、ステージ上のスピーカーまで長い長い、時には数十メートルもスピーカーコードを渡していました。

PICT0330.jpg
Rhysik und Technik Des Tonfilms Vol.2 より 
左の立体図中 3がアンプ     
右のダイヤグラムの上から 2番目b)が Junior-klartonであるとしています。(1939年)


このためでしょうか、スピーカー端子はフローティング(2次側のコールドが接地されていない)で、長旅を強いるスピーカーまではシールドケーブルを使っていたことが想像されます。

アンプを手がけた方ならすぐにピンと来たと思いますが、出力トランスの2次側を接地しないままスピーカーを使うとけっこうな量のノイズを拾います。

じゃあ、おまえもシールド線使えばいいじゃないか!ッてことには成らないんですよねえ。
ここで間違った使い方をすると、ヴォイスコイルの動きにより発生する静電気で、ライン上にカミナリが発生する危険性があるですばい。

そんなことは先刻ご承知のZeissのアンプには、最初から出力トランスの2次側とシャーシの間には0.1μFのコンデンサを挿入して手を打ってあります。(さすが大企業! Part2)

まあ、まあスピーカーコード1mの我が家ではわざわざシールド線を使いキャパシタンスをパラって高域のレスポンスを落とす必要も無かろうと、バシッとトランスの2次側で0vラインに落としてくれたわい。

この対策はハムには関係ありませんが、オシロ上でトゲの様に突き出ているジージーノイズを押さえる事ができました。

DSC01989.jpg
右上のトランスがステージ用 200Ω その下がモニター用で15Ωの出力になっている。
双方とも0vラインに落ちていないが、作図した人が手を抜いた訳ではない。
実際の配線もニ芯シールド線を用いており、0vに落ちているのはシールドの網線だけだ。




今日は、もう一点この長いスピーカーコードに纏わる話題で、 むしろ言い訳と言っても良い。

上述した通り、長距離の配線に対応して、出力インピーダンスは200Ωであり、30v位でしょうか、電位を高いまま送るのは広い劇場用の常套手段です。

しかし、出力トランス単体で見ると・・・

1次側 A-A のZ-5kΩとしたとき、2次側 200Ωでは 5:1のレシオになり

                    2次側 15Ωならば 約18:1 です。

すなわち、増幅回路中のノイズが同じならば、出力15Ωのアンプに比べて3倍以上も大きなノイズを出してしまう。

もし、15Ωのアンプが3mVの残留ノイズで実用とされるならば、200Ωのアンプのノイズは10mVでよしとせねば成らない宿命であります。



逆に見ると、同じ時代のラジオセットの多くがスピーカーインピーダンス4Ωであったことは、ハムの面でも非常に合理的な選択だったと言える。
ハムの対策はお金が掛かる(コンデンサ増やすとかシールドとか距離をとるためにシャーシを大きくするとか)ので、低価格で聞き易い音を提供できる「一石二鳥」のヒューマンな技術です。


一方、劇場用アンプはノイズが大きくとも、聴取者までの距離は大変遠いので実用上は全く問題とされない。

家庭用ラジオを聴く距離で、劇場用アンプとスピーカーを使おうとするからこそ、こんな苦労があるわけで。
一度、我が家ではハムを感じていたアンプを近所(初期盤3万枚男宅=Lowther TP-1。低域はしっかり出るスピーカー)へ持ち込んて聞いてみたら、全くハムが聞こえなかった。

ハムノイズというのは、スピーカーを繋いで始めて存在するという当たり前の事を気付かされたし、アンプの問題と言うよりはむしろ使うスピーカーの最低域の再生能力や部屋の大きさ、反射特性等々によるトータルな問題だと思い至った。



まあ、それらを乗り越えれば、劇場用装置の近傍聴取は得られるものは途方もないモノなので重い荷物を背負って急な坂も登ろうという気にもなるのだ。







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