戦前の劇場用アンプと付き合うということ  

19歳の時にバイトを頑張ってSiemensの鉄火面コンビネーションを購入して依頼、30年もいわゆる「供給側」の音響と戯れてしまった。


それを聞き及んだ方から時々「自分も業務用のオーディオをやりたいんだけど」という相談を受ける事があるが、僕に相談されても実は答えを用意していないので何時も返答に困ってしまう。

よくよく聞いてみると、ラックマウントのPA用トランジスタアンプを使いたいという意味だった事もあり、これは継ぐ機械のインピーダンスに気をつける程度なのだけれど。
問題なのはハンダコテも握った事がなく、測定器もお持ちでない方が、WEであれば46型以前のものや、Klangfilmの50年代までのアンプを使いたいという時で、上の質問や相談に対する答えでもあるから今回の補修で気づいた事を幾つか書き留めておこうと思う。

ただしどうしても、古い時代の機械は変態だよ。って話が多くはなると思う。
しかし、決してネガティブキャンペーンを貼るものではなく、むしろ想いのある人はドンドン挑戦して欲しいと思うからこそなのでその心算で読んでいただきたい。



また、そんな難しい事には正対したくない、ただ珍しい機械を使ってみたいだけ。
厳しい意見には耳を塞いで気持ちよく購入の背中を押して欲しいと思う人は、こんなブログの戯言には目を伏せて各地にある専門店に相談される事をお勧めする。

現行機では決して得ることのできない深遠な良い音が「いかに簡単に」手に入るかを丁寧に説明してくれ、商品についているプライスタグの「0」の数の正当性を納得できて、気持ちよく購入できること間違い無しだ。



前置きが長くなってしまったので今日は1点だけ。

前回までノイズ対策の実例を2,3記事にしてきたが、まだまだ数限りなくあってとても全てはエントリーできない。
しかし1件、本項の題目に象徴的な事項があったので取り上げておく。

PICT0347.jpg


多くの真空管アンプで本体正面の中央に鎮座ましますメーターは、出力管のプレート電流を監視する為だろうがさにあらず、これは電源電圧の監視用メーターなのだ!

1930年当時、Klangfilmは欧州本土、ロシア、北アフリカ等に機材を供給していた。

150v、200v、220v、240v他、沢山の電圧の地域があったし、何よりも現在の日本では想像もできないような「変動率」であったと思う。
(昼でも夜でもテスターを突っ込めば106vを示す国なんて、現代でも幾らも無いのじゃないかな?こんな電力事情なのに日本という国はとことん凄い国だと思う。若い世代が平和ボケしてこれが当たり前だなんて考えていたら、逆の意味で国際化が難しくなるかも)

そういった多種多様な電源事情に対応する為、メーターの下に口のように見えるスライダー=電源用のレオスタットでアンプへの供給電圧を微調整できるようになっている。中央の赤いラインでピッタリ



これだけでも、民生用アンプでは考えられない機能だけれど、このメーターは更にトンでもないヤツでもの凄いハムノイズを撒き散らしていた。

メーターの直ぐ上側が抵抗のラグストラップで信号ラインに近接しているからメーターへの配線を外して不動とするだけで爆音ハムはキレイさっぱり消え去ったけど・・・

家庭で音楽を「楽しむ」アンプとは使命と求められる性能のプライオリティが違う。音が良いといった抽象的なものは二の次三の次で、一番は壊れない事(客に入場料を返せと言われる)二つ目は長く使えること(経費削減)が何よりも優先される。

そうした背景を知らずに、コンデンサの容量が・・・とか、アースラインの引き回しが・・・とかを幾ら弄ったところで全くノイズには影響がないようにアンプは練り上げられているし、犯人(メーター)にたどり着かなかったかもしれない。

事実、ノイズ対策の最終段階でアースポイントの位置、ラインの取り回しをできるだけ試してみたが、ことごとくオリジナルの引き回しが一番ノイズ電圧が低かった。
Klamgfilmの技術者は、ソレくらいアンプ作りに精通していたということだ。

こうしたスタビリティ重視の設計や部品選択が結局、現代人の目からみると音が良いという風潮に繋がって、本来は楽隠居を決め込む老齢の機械がウソのような高額で取引されるのだからこれは皮肉な話だ。



ということで、次回は「昔のアンプは本当に音が良いのか?」についてです。



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