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ドイツ古典的コーン型スピーカーの魅力  完成した音は?

以前にこのブログでエントリーしたKlangfilm KL-L307(Seiemens 15p)が自分にとってのほとんど唯一のドイツ古典的コーン型スピーカーを使った経験でした。(10代の頃買った鉄仮面はあるが、当時はオーディオの事など右も左も分からなかったので、今日思い起こせる感想は無し。オーディオを分からないのは今でも変わらないだろうって?それはご容赦願って)
しかしそのKL−L307も光明を見い出せず十分な検討を加える前に手放してしまった。

従って今回使ったGRUNDIGは、腰を据えて聴いた初めての中口径ユニットと成ったのです。

PICT2930.jpg



まあ、直ぐに目につく課題は

皆さんご想像の通り低域の下支えをもう少しなんとかせにゃいけません。
怪鳥の叫びを踏み越えて、もう少しで狂気の世界に踏み入れそうな勢いです。反面、フィルム振動板のESLをも追い越しそうな過渡特性とスピードを以て、会場の空気の峻厳な冷たさや楽器の持つ乾いた軽い板の振動を克明に表現します。

そうです、狂気と背中合わせのとんでもない何かを感じたのです。

最初に手を打ったのが、それこそ「電話の単線」みたいなほそーーいコード。これも純正のDINプラグと一緒にセットされていた備え付け品。いかにも「低音出しませんよ。高音てんこ盛りですよ」といった風情だ。
これをKlangfilmアンプラックの内部配線=Europaに常用のものに同一(16AWG程度か)に変えて聴いてみた。

結果は、ロクデモナイ音に!
確かにやや低域に寄ったバランスに成ることは間違いない。でも、このスピーカーの最大の魅力である透徹した硬質感が見事に消え失せる。

そりゃそうだよね。スピーカーを鳴らすって行為はいってみれば総合芸術なんだから。
純正部品のままでまともに鳴らないならば、まずは自分の無能さを疑ってみるべきでした。自ら愚かさを再確認しただけの無駄な時間をつかってしまった。
ここはやはり、手抜きをせずに根本的に解決しなければいけないようですね。




と申しても、「何か」を行った訳ではありません。
少し前に、GRFのある部屋さんに指導頂きながら、ステレオ2チャンネル分のQUAD ESL-57スピーカーをほぼ完全に平行に設置する手法を実験していました。

我が家では、これまでほとんどのスピーカーを内振りで使っていて問題はなかったので、この「平行法」という設置法は新鮮な音の出方、音場の形成でした。
その感覚を覚えていましたので、今回のGrundigにはピッタリじゃなかろうか?と思いついたのです。

PICT2939.jpg

箱の作り込みから言ってもこの配置の方がしっくり来ますね。
実際は、左右の感覚をもう少し、(左右20cmづつ)中に入れてかなり自然なバランスを獲得しました。




私は小さい時分から、サンソン・フランソワさんのアンニュイなピアノのタッチが大好きでした。
コルトー先生の衣鉢を受け継ぐ酔っぱらいピアニスト(笑)のあの際どいリズム感にまいっていたのです。でも当時習っていたピアノの先生による評価はボロクソでしたね。(シャンソンを聴くとフランソワ氏の血の源が分かる様な気がします)

なんと表現したら良いのかな?
リッパなオーディオ装置では酔っぱらいの感じが減じてしまい、レコード再生で損をしている演奏家の一人だと思います。

それが出たんです。
この狂気と良い音の中間に位置する様なGrundigの古いスピーカーで



この他にもバイオリンやユーミンも録ってみました。
現代のハイエンド・スピーカーのような優等生な音ではないけれど、それらとは真逆の音楽の心をエグル様な音がやすやすと出て来ます。



全く持って恐れ入る音楽再生能力です。
特性的にはそれほど目立つ物ではないでしょう。しかし、音楽の芯の部分をがっちり掴んで聴き手に配給するという能力は空前にして絶後の時代的な背景、技術的な裏打ちが、そして何より作った人が音楽をものすごく分かっている、好きなんだなあ。と思います。

こんな機械はもう二度と生まれないでしょうね。何より21世紀にこんな特性のスピーカーを発売したってビジネスとしては成立するはずがありません。しかし、21世紀のスピーカーが積み残してしまった何かがこの中にある事だけは確かなようです。




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