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2年ぶりのオーディオ製品お買い物

ブログの過去記事を追ってみると、約2年前にQUAD ESL-57を買って以来オーディオの買い物がなかった。

途中Garrard 301グレーのすこぶる付きの美品&完調品を満足するまでメンテして、さあ使おうと思った矢先に縁あって嫁いでいったりした。



さて、前置きが長くなってしまったが
さる10月の良き日に2年ぶりにお買い物をしてしまった。

何を買おうとも自分の懐を涼しくして買うのだから、誰に憚ることもないのだけれど、「してしまった」と書きたくなるくらいまとまった額だったから

PICT3148.jpg

記念に2台を重ねて写真に納めていますが、上のは前から持っていた
Neumann WV-Ⅰ モノラル用

そして、下になっているのが
Neumann WV-Ⅱ ステレオ用の フォノEQアンプです。

実は「買ってしまった」という後ろめたさにはもう一つ理由があって、この機種は以前に一度手にしていたにもかかわらず自分の能力不足で手放してしまったものだったからです。

これらのアンプは1960年代に欧州(とアメリカの大半)のほぼすべてのレコード会社に納品されていた人類最高のオーディオ機器であるレコードカッティングシステム Neumann AM-32に標準装備されていたアンプシステムVG1の中で、カットした原盤の確認のためにプレイバックアンプとして備わっていたEQなのです

am32b.gif

Neumann AM-32bカッティング・レース
おう、写真にはZ−25アームとホワイトのDSTオリジナルも見えますね。こりゃあ本物だ。

今ほど購入した個体は中期型の最後の方で外見はかなり綺麗なものです。
以前に持っていた最初期型の個体(たしかシリアル50番ほど)に比べ随分と簡素化が進んであっさりしたコンストラクションになっていて寂しいものがありますが、とりあえずざっと動作を調べて音を出してみます。


しかし何かがおかしい、左右の出力に差異があり、どうも何か動作がおかしいように感じましたので早々に切り上げて簡易的な検査を始めました。

PICT3125.jpg
時代は降っても相変わらずのジャーマン・クオリティー!

最初に申し上げておきますが
この商品は、割と有名な日本のヴィンテージショップから購入したものです。
そしてそれは、完動美品、完全整備済み。という触れ込みでした。


でも明らかにおかしい。
まあ、名誉のために具体的な事は避けますが

・小学生でも分かる配線間違いが1箇所
・RIIAカーブからは高域で2dB以上ずれていた

という状況でした。

以前の私なら「おいおい」と文句を言っていたでしょう(そのお店とは20年来の古い付き合いで沢山買ったし世話にもなったから言いやすい、という事もある)でも今はもうそんなことを言いやしません。

今回の状態は確かに不具合の度合いが酷いもので、他の方の手に渡ってそのまま使っていたら

「なんだよ、Neumannなんてたいしたことないじゃん」と言う悪しき印象を残して更なる転売にあっていたことでしょう。
時間を逆に戻して考えてみると、そうした誤解があった結果として、私の元に届いたとも考えられるのである意味好都合だったのかもしれない。


これまで多種のヴィンテージオーディオ装置を見させてもらって、この程度の事では眉ひとつ動かすことも無く当然のごとく自分で整備をするようになった。

正直言ってヴィンテージ品の整備不良をいちいち取り上げていたら、忙しくって仕事になりませんわ。
というか、手を入れずに使えるものは1台もありませんでした。




販売店にはもう一踏ん張り(畢竟、近い日にヴィンテージの製品は市場から姿を消す運命なのでその日までは。という意味)してもらいたいと思うが、コスト・商売のことを考えると余り無理は言えないな。と考えるようになったわけです。

その理由は・・・

比較的新しいマッキン・マランツにしたところで製造からそろそろ60年が経つのです。
それらの全てを完全整備していたら、コストがかかりすぎて売価は今の常識(相場)の倍以上になってしまうでしょう。

しかも、ヴィンテージを使う人間はこぞって「オリジナル部品があ〜」「カラーバーがあ〜」「ブラックぶーてーがあ〜」というお偉い人ばっかりなので、お店としても「音響機器」としては正しく整備したとしても「骨董品」としては価値を貶める事になってしまう矛盾があるのです。

せっかくお金と時間をかけて仕上げた素晴らしいアンプも「オリジナル部品じゃないからヤダ」と売れないのであるから業者さんはこぞってきちんとした整備を放棄して「音が出る」ことだけを第一にしたのでしょうね。

だって、整備のコストがかからない上に、より高値で売れるから儲けは莫大、その上お客は大満足・・・絵に描いたような幸せな結末だ。

marantz7_221120.jpg


先日ある人の依頼で、整備済みとして購入したマランツの#7のRIAAカーブを測定した。
案の定、両端で3dB以上下回る「カマボコ特性」だった。

真空管式のヴィンテージらしい「まろやかな音」と満足するならそれもいいのかもしれない。
しかし、#7発売当時の文献から新品時のRIAA偏差をみると、決して「まろやか」なんかではなくとても優秀な特性だったことがわかる。

そりゃあ当然だよ。
仮にも歴史的名器と称えられたアンプだ、さぞかし緊張感のある美しい音色だったに違いない。
もし、仮に「まろやか=寝ぼけた音」のアンプなんか売り出したって、そんなのもはいつの時代だってマニアたちからは見向きもされていないだろう。


姫路城が修復から再公開されると「白すぎる」という意見がでたそうだ
宇治の平等院鳳凰堂もあまり極彩色にして欲しくない。という声が少なくないらしい。
・・・日光の東照宮だけはいつの世も極彩色上等!だねえ、さすがに大御所さまだ。

文化財の時代考証はいつだって大変だ。
でもオーディオ機器に対する僕の気持ちはいつも明確だ
それは、工業生産品であって文化財ではないのだから。

ヴィンテージオーディオはもはや文化財だなんて言い出す向きもあるかもしれない。でもそれはメランコリックにすぎるだろう、

芸術(音楽)があるのはレコードの中にであって、機械は技術的裏付けや根拠があって初めて芸術たる音楽を扱える資格を持てるのだと思う。

お茶碗がゆがんでいるのはいい、でもそれを撮影するレンズやカメラボディがゆがんでいたら(その写真では)
お茶碗のゆがみに宿る「美」を正しく伝えることができないではないか。


sts_oribekutu2s.jpg




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コメント
技術とは消化習得出来て十分使いこなせてこその技術ではと最近思います。メーカーは販売促進のムーブメントが必要なのでしょうが、伝送ロスの極小化の名の下のプリアンプレスの流れに、再生音の芸術性は何処と感じます。オーディオにはまだまだ音を造る事が必要と思うのですが。
2014/10/21(火) 07:47 | URL | wasi #-[ 編集]
wasiさん

コメントありがとうございます。
この文面だけではそちらの環境やイデオロギーが分かりかねるので、本来返信は誤解を招きかねないのですが一般論で書いておきますね。

まあ最初の1行は飛ばしますが
1、音を造る&再生音の芸術・・・
オーディオの音つくりですか、どうぞご自由にされてくださってよろしいと思います。
しかし、今回はRIAAカーブについての記事ですのでこれは個人の嗜好の問題ではなく規格の話題です。
最低限規格を遵守の上、他の部分で音作りなりを楽しみましょう。

出てくる音は100%全てレコードの中に入っていますのでその音が芸術的かどうかは演奏者と録音の問題です。
オーディオの質が上がると音楽に香りや色を感じるようになりますが、それが芸術かどうかは存じませんが出せれば合格、でなきゃ不合格・・・規格に添ってないのは論外。(笑)

2、プリアンプレス・・・
これには私の意見はありません
クローズド・ループサーキットゲインはどこでどれだけのゲインを得るかでトータルの再生音を決定すると考えていますが、プリ+メインの区分け(ゲインの振り分け)に明確な決まりが無い以上この論は意味をなしません。
平たく言うとプリとメインに分けるかどうか、どこで分けるかもメーカーさんの塩加減ひとつなので購入者ができる話は「組み合わせ次第だよね」というだけです。またプリメイン型でもいくらでも良いお音を出す物があります。我が家のKlangfilmもZeissのアンプもあなたの分け方で言うとプリメインアンプの範疇に入ります。
もし貴殿がラインミキサーをお使いで、各ソースの基準入力を私の家と同様に+6dBに合わせておられるならば釈迦に説法ですが。
2014/10/21(火) 10:45 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
仔細な御回答有難う御座います。
ビンテージ処かアナログでさえ門外漢な身としましてはRIAAカーブ等正直解りかねますが、そもそも規格の設定を外れてしまうと評価の指標が無くなってしまうのは同意です。
ゲインを何処で得るかは1ユーザーで有りメーカーの製品を利用する限り自作等の手腕が無い者は思想と言っても素人の戯言と取られても、それも一面 の真理と感じます。
とは言え対面ではないコメントの難しさを今更ながら感じる次第です。お気を悪くされる表記が御座いましたらお詫び申します。
2014/10/21(火) 19:24 | URL | wasi #-[ 編集]
こちらこそ失礼いたしました。

おっしゃる通り文面だけではその方の人となりを想像してご回答することは難しいものです。
オーディオのキャリア一つとっても、私ごときは赤子の手を捻るような達人なのか?まだ初めて日の浅い方か?
文面や選択された単語を元に想像を働かせてこんな感じかなと返信文を書きますが、実際は違っていたらいけないので最後の一行のように「もし違っていたらごめんなさい文」を足したりして調整しています。

どこかで読んだり聞いたことのある言葉がいつの間にか自分の意見のような気がしてしまうのがオーディオという趣味の落とし穴で、多くの方が自分が感じた本心より、外部からの影響に弄ばれているような気がして仕方ありません。(オーディオ界には「ホントにそう思ってますか?」って聞きたいこと多数)
ご自身の飽くなき探究心でもって実験と経験から得た良い情報がありましたらぜひまた教えてください。
2014/10/24(金) 16:54 | URL | kaorin27 #-[ 編集]
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