20年ぶりのアンプ製作  PX-4シングル 1932年仕様

ひょんな偶然が重なって、AD-1のアンプを自分で組んだのは30代の前半でした
その後10年ほど活躍してくれましたが、Klangfilmの専用アンプが投入されたことによって使命を終えていました

それ以降は、メーカー製造のアンプをメンテナンスして使う機会ばかりでしたから長いことアンプ製作から離れていました

そんな私に
昨年の末から今年のかけてアンプ製作のご依頼が舞い込んできました

その方は、随分と以前にフィールドのオイロダインをお譲りして以来懇意にしていただいている好事家の方で
これまで300Bの91などを中心としたアメリカ製アンプで楽しんで来られましたが、ある時PX-4アンプの音に触れてから、欧州製直熱三極管の燻銀のような音質の魅力に目覚めてしまったとおっしゃるのです

周りにもアンプ製作を頼める方は沢山お見えのようですが、ご高齢であったり欧州管に対しては経験がないという事情があって、「じゃあ、お前に任す」と白羽の矢が立ちました

正式にご依頼をいただくに際して
過去の失敗を繰り返さないように、入念にお打ち合わせをいたしました

・回路は1932年ころ真空管が発表された当時の回路の採用を了解されたい。理由はそれ以外に選択肢がないので
(私の創意工夫は一切入れない、よって音が悪いという苦情も一切受け付けない(笑))
・部品選定に関しては一任いただくこと(可能な限りオールドの英国製、欧州製部品を使う)
・デザインはコンストラクションに関わるので基本的にはお任せ願うこと(細かいことはご希望に添います)
・パイロットランプと監視メータをつける(私はやんわり反対して、すぐ承諾)
・出力は200Ωで旧型オイロダインをダイレクトにつなぐ(特注するしかない)

回路は上の通り、知る得る限りでもっとも原典版に近い時代の古いものを採用しました
まだ、出力トランスが普及しておらず、カップリングディバイスがチョークとコンデンサーの時代の回路です!
当時の業界事情を鑑みれば当たり前なのですが、20年前に作ったTELEFUNKEN AD-1の推奨回路とは双子のように酷似しています

穴があくほど見慣れた方式ですので、回路図と部品リストの書き出しは瞬く間に終わりました
しかし、頭のひねりどころはここからです。部品配置こそがアンプ成功の全てと言っても過言ではありません
コンストラクションさえ決まれば九割がた完成したようなもの、あとの実装・配線なんて赤子の手を捻るようなものです

それからはコピー紙を何枚も携帯して、思いついたそばからアイディアを形にしてスケッチする日々が続きました
そこしずつ部品が揃ってきますから具体的な寸法も入りはじめます

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5ヶ月から半年くらい過ぎた頃から、新しいアイディアが追加されることはなくなり
そろそろ腹を決めて製作にかかる頃合いかと思ったのが昨年の10月頃でした

自分はアンプを起こしたのは20年ぶりとか言っているのであまり偉そうなことは言える立場でないのはよくわかっているんですがこの時間がアンプ作りでは最も重要だと思います

ヤフオクなどに出品されるアンプを見ますと、この検討が不十分で見切り発車で組み立て始めたのではないかと思しきアンプが散見されます

音の嗜好は個人の問題なので使用者が満足するなら私が関知するところではありませんが、高圧を扱う真空管アンプにおいては安全性と長期にわたる安定性に対して懸念を感じ、傍目ながら気が気ではありません

自分自身が作ったアンプも含めてなので、文句を言われても構わないのですがそう言ったアンプはとても使う気にならないと思っている人間が作ったアンプの顛末記であります

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銀紙が光っていけないんですが、発泡スチロールの板の上で部品を立てて検証中
自分としてはこの大きさ「320mmx200mm」で行きたかった、今見ても申し分のないコンストラクションです
中央の出力トランスはまだ代理のものです

その後、オーナー様のご希望で「350mmx220mm」のやや大きなシャーシに変更になりました

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部品を並べてみるとやっぱりサイズ的に少々ゆったりですねえ

その後も検討を繰り返し、最終的に組み上がったのがこちら

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写真の整流管は動作確認の為にG2004を載せていますが、本番ではMullard FW4-500を奢って英国アンプの矜持を保ちました

その装着に反対した電流監視メーターは左側のオルタネイト・スイッチを押している間だけ照明がついて測定を開始する仕様にして、ちっちゃな抵抗を示しました


内部は

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音声回路中の抵抗は全て英国製ヴィンテージ品です
・ソケット類は全部英国製
・コンデンサはドイツ製と英国製の混成部隊
・スイッチやヒューズソケット、ヒューズなどは米国製
・フックアップワイヤーは英国WESTREX(電源供給)と米国ベルデン(ヒーター回路)
後述の通り信号回路には出力管のRk(メタルグラッド型なのでそもそもリード線が存在しない)のプラス側3cm程しかワイヤーを使っていません
・スムーシング・チョークは最大限大きく(30H)とってコンデンサーは少しでも小さくしたいのですが、安全保障上電解コンデンサーは現代部品からの選択ということで16μFとしています。ここは6〜8μFでも十分でしょう


写真に撮ると苦労は映らないんですが(笑)
長い間考え抜いた甲斐があったというものです

全てのCR部品はそれ自身の持つリード線の範囲内で組まれていて、ワイヤーによる所謂「渡し」にしている箇所はありません
出力管のRkから入力端子のコールド側まで1本のグランドラインを渡して信号の通る順番に流す手法はいつもの通りです
アースポイントは1点です、これで歪みが最も減りノイズが少なくなりました。理想的ですね

回路図にするとこのアンプは結構複雑な回路構成なんですよ、部品が少ないんじゃないの?と見えるようならちょこっと自慢です

なお、電源周りのワイヤーを過剰に余らせて回しているように見えるかもしれませんが
本機は「チョークコイル」「出力トランス」が直出しのワイヤーなので、パツンパツンに切り詰めてしまうと後々のメンテナンスや部品交換の際に痛い目にあうので可能な範囲で長く残してフォーミングしています


出力は 3.5W (CP)
残留ノイズ 2.4mV(200Ω)以下
周波数特性 15 〜 30kHz (-1dB)

特注した出力トランスが1932年の常識では計り知れない高性能だもんで
直熱三極管の古典回路としては規格外の高性能アンプが出来上がりました
というのはこの回路は本当に優秀なもので、部品の裏付けさえあれば現代的な「高性能アンプ」も真っ青の音が出るんですよ

さて、組み上がったアンプの音のことなんかリキんで語っても仕方がありません

聴く人の感性により評価は変わりますし、音はスピーカーから出るものですから特定のスピーカーを使って聞いた音の印象を語ってもそれらのスピーカーを所有していない人にとっては「アンプの音」をイメージするのは難しいでしょう

その前提で一つだけこのアンプの特徴なのかな?と思ったのは

我が家の常用アンプに比べ、春の朝の空気の透明感のような清潔でクリアーな空気感を強く感じます
これはシングルアンプの特徴なのか?トランスか?回路かはわかりませんが
理屈で追うと、広い周波数応答と低歪みの賜物でしょうね

しかしながら、我が家ではもう何年も聴いたことのない空気感でしたので、自分でも少し取り組んで見たいなあ!などというフラチな考えが頭をもたげていることを告白しなければなりません







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英国オーディオ旅行  二十年ぶりの民生機

我が家における英国式オーディオの火を消してはいかん!

と、この歳になって一念発起
20年ぶりくらいに民生機に取り組んでいます

まずは、入り口をご紹介しましょう

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CollaroのターンテーブルにDecca Super arm と PRO arm の2本体制です
それぞれに専用の(針圧の適合という意味で)ヘッドを使います
下のセレクターボックスは、2本のアームとステレオ、モノラルの切り替えを行います

ターンテーブルは当然のこと、フローティングしないとお話にもなりません
そのために、写真にあるキャビネットの決められた隙間に納めるよう上下ともミリ単位のクリアランスで押し込んでいます
今回のラインを組む中で一番苦労した点です

置いてあるレコードはオワゾリール パーセルによるシェークスピア劇の音楽に登場いただきました
エンシェントを指揮したホグウットの名盤です、これほどふさわしい1枚もそうありますまい

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ヘッドも少しずつ揃ってきました
まだいくつかはメンテナンスのために英国へ旅をしています

この中に一つ、中々の珍品が含まれています、そのあたりのお話は別途書きます



さて、今回もアンプはQUADにしました
これはもう腐れ縁のようなもので仕方ないですね

これ以外のメーカーの機械も随分とお世話になってきましたが、ことプリアンプに関してはQUADの方式が一番納得がいっているというだけの理由です
他社のアンプよりQUADが優れているとも思いませんし、もちろん劣っているとも思いません

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プリはいつものようにモノラルのを2台使います
このQUAD QCIIというアンプは4回ほどモデルチェンジをしていまして、中身の回路や部品の定数が変わっているのでステレオで使うときには注意が必要です

今回の個体はセカンドバージョンで、入力数やテープアウトの端子などが一般に見られるモデルとは異なっています
この時代のもので状態の揃った2台を見つけるのは難しいと思います、運が良かったです

ただし、EQカーブは見る影もないくらいずれています
英国から別途マイカコンデンサーを送ってもらいカーブを合わせました

カーブがずれている状態で何人か音を聞いてもらっています
みなさん、首を傾げて怪訝そうな顔で無口のまま帰られました

次回聞かれたときにびっくりしてもらえると思います
こんな古いアンプは買ってきて繋いだだけでは何の役にも立たないんだ、という重要なことをお知らせできる又とない機会でしたので、不備を承知で調整前の音を出しました(我が家ではほとんど完成後にしか人様にはお聞かせしません)

憧れのヴィンテージアンプを買うだけならお金との相談で済みますが
良い音楽を聞くことができるかは全く別の次元で、現状のままでは不可能に近いことです

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パワーアンプはお馴染みのQUAD Ⅱ型なんですが、売主は変なことを言っていました

曰く
「この個体は、再生産品である。電源を入れると一応音は出るが要修理品である。シャーシにはいくつか穴が開けられているので了解されたし」

こちらとしては、まあ音が出るんならトランスは逝っていないようだし、下手に部品が変えられていないのは願ったり叶ったりだからこれで良いか!と送ってもらいました


さて、パワーアンプのメンテナンスを開始しましたが、あらゆる点でおかしなことが起きます

1 Ⅱ型アンプで特徴的な豪華仕様のアクリル銘板の代わりに簡素なアルミ板の銘板がついています
しかもそこには、セントラルエレクトロニクスの注文により作られたとあります???

2 写真の通りシャーシの横腹に穴が空いています
寸法や形状から、ねじ込み式のプロ用のコネクターがつけられていたようです
反対側にも2個空いていて、スピーカーコードを引き出していたようです

3 写真上側のアンプの電源トランスには、昔懐かしいテプラシールが貼ってあります
よく見て見ると  「CH. 9」とあります
チャンネル9番???

4 同じく写真の通り、アンプの両端にはラックマウントごときな「ツバ」が付いています

5 最後に周波数特性を測って見ました
8kHzくらいから下降して高音が全く出ていません???
慌てて、近所でⅡ型をお使いのMさん宅で見せてもらうと・・・大きな発見がありました


出力トランスの仕様が違います
・・・初めはわからずに単純な配線違いだと思って配線をノーマル機仕様にしたら・・・危うくトランスを焼き切りそうになりました

そうと分かればこっちのものです
業務用ラインで使うための道具立ては揃っていますからお手の物、実際にはノーマル機よりもトランスを楽に使っていますから望外に優秀な特性であることが判明しました

思い返すと、Vitavoxのモニタースピーカーも同じ仕様だったなあ、あれがまだ手元にあればダイレクトに使えたのになあ
と思いましたが後の祭り、人間「知らない」というのは恐ろしいものです。もっともっと勉強しよ



さて、仕様の違いもわかってひと段落、続いてアンプの実際的なメンテナンスに移りましたが、これがまた大変なものでした

まず、50年代のカーボンコンポジット抵抗の狂うこと、狂うこと
慌てて同一部品を大量に英国から取り寄せました

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いくら新品といってもストックの抵抗も狂っています
一つの値の抵抗が10本あっても2本1組も取れません
そこは最後の手段を使って何とか2台分揃えました、大量の不使用抵抗が残りましたがこれもそのうち使うときがくるでしょうね

これまで長いことドイツ製の業務機を扱ってきて、金属皮膜系の抵抗を見てきました
何十台か100台近く直しましたが、抵抗値が狂っていたから交換した記憶がすぐには思い出せません


また、1本のKT-66が熱暴走を起こして原因の追及に時間を要しました
これも業務機ではあまり考えられないことです、不具合までのマージンや部品決定時の安全保障の感覚が大きく異なりますね





オーディオシステムの音を聞いて、あっちが良いとかこっちが好きだと言い放つことは実は造作もないことであり、どれほどの意味もないことです

ある時代に、ある目的や用途を持って作り出されたモノには必ず作り手の想いやそれぞれの時代の要求があります
現代に生きる我々にはその物の価値を正しく汲み取れているか?が問われているのだろうと思います


今回ご紹介した民生オーディオが生み出された当時の英国では、まだおそらくかなり身分の高い人たちが顧客だったでしょう
途方も無い大きなお屋敷の普段は家人も足を踏み入れないような離れや奥の院でお父さんだけが音楽を聞く部屋に置かれていたかもしれません
あるいは、来客からの羨望を浴びるようにしつらえた瀟洒なサロンかも・・・


いづれにしても、無粋な「家電製品」が見えているようでは興ざめです
QUADやLEAKがプリメインアンプであるにもかかわらず、プリを切り離して可及的小さな筐体に詰め込んだのちパワーアンプを人の目の届かぬ場所に離して押し込めるように設計されているのは決して偶然ではありません

私は以前にQUADを使っていた時も同じようにしましたが、こうした機械は必ずアンティークのキャビネットに入れて、使わないときには普通の家具として何食わぬ顔をしていなければならないと考えています


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これは20年ほど前に使っていたキャビネット

こちらが今回のもの

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そして、大切なことは
価格的には何十倍も開きのあるKlagfilmの劇場用システムと聞き比べて、やっぱり大きい方がいい!なんて無毛な感想を持って評論家ごっこをしないことです


素晴らしい京都のやっこ(四角に切ったお豆腐)にお醤油をかけただけのものと料亭の料理を比べて「俺はこっちの方が好きだ」なんて無粋なことを言っているようでは
この世界を生きていく資格が無いというものです








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お買い物で巡るジョンブル魂の真髄 〜 英国旅行 前編

英国は米国と並ぶオーディオ大国です

昔読んだオーディオ雑誌に「一流の音楽家を輩出していない国はオーディオが発達する」と言った素っ頓狂な記事があったのを思い出す、コンサートの質や量に不満があるからレコードにうつつを抜かす輩が多いのだと。その延長線上に日本はあるのだと
後付けの作文としてはなるほどと一瞬納得してしまいそうになるが、目の付け所がピント外れですねえ


人類史上稀なる上質な陶磁器を生産していたのは、元末から明初までの中国と安土桃山から元禄あたりまでの日本というのは一つの見解であるけれども、その時代に一流の芸術家を輩出していないからでも無類の陶磁器愛好家が多数いたからでもない
その問題については、かの北大路魯山人がきっちりと正解を出している

「焼き物を見るとその時代の生産国の趨勢がわかる。焼き物の出来不出来は国の国力そのものなのだ」と

企業でも国でも同じだけれど、メセナ活動や文化、スポーツ振興が盛んになるのは余力があるときに限られる
日本のオーディオ界が活況を呈したのはいざなぎ景気から続く安定成長期(田中政権の列島改造計画が功奏した)故の賜物だ、著名音楽家の輩出とは無関係の純粋に経済活動によるのである

そして21世紀の時代の寵児は中国になり電気機器製造の多くは大陸に移ったが、JBLやTannoyを凌駕する製品がかの地からは到底生み出されそうにない
同時に中国人のバッハやベートーヴェンが出ることもないだろう  

衣食足りで礼節を知る。とは日本の言葉だけれど遊びに使える小金のありがたさは国も時代も違えども何処も同じということだ
渦中の東芝が”あの”サザエさんの提供を下りるかどうかの瀬戸際だそうだ、頑張れ東芝!


オーディオ界に目を戻して見ると、先の大戦が終わって世の中が落ち着きを取り戻した頃から本格的に家庭用オーディオの普及が始まった

1947年にLPレコードの販売開始  ちょうど10年後にはステレオレコードの実用化を達成している

CDの販売開始を1980年とすると、その上位規格であるSACD・ハイレゾが生み出されるまで23年以上かかっていることを鑑みても如何に力が入っていたかがわかるというものだ
その上、その上位規格自体がヨロヨロとして独り立ちできないのはマクロ経済の先行き不透明さが影を落としている
(ちょっと大人の話をすると、10年前にSPからLPへの変革という巨額の投資をした新技術をあっさり改定できたということは業界全体で投資の回収が済んで、且つ利益に転換していたという認識があったからに他ならない)



さて、英国のオーディオ機器を買いました

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右はワーフェデールのW2タイプの最初期型
有名な音場型のW4型=エアーデール3兄弟の末っ子にあたり 唯一の2wayで且つ唯一全てのユニットが正面を向いているオーソドックスな構造を持ちます・・・ということはすなわち最も正しい音場を再現できるということです

このユニットがまた化け物で
ウーハーはチコナル・マグネットを背負い、さらにツィータはアルミボイスコイルを採用する同社の最上級ラインである「SUPERシリーズ」のユニットが奢られています

30cmウーハー
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ツィーター
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このスピーカーは当たり前といえば当たり前ですが音出しから1秒以内で嫁ぎ先が決まりました
今はもう我が家では聞けません。でも致し方ないことです

2017年にこの仕様でスピーカーを作ったら数百万円近いプライスタグが付けられることでしょう
何せ現代は300万円で売っているスピーカーシステムの修理交換ユニット代金が○万円と言われる時代ですからね

1950年代の英国では、たかが電気蓄音機にかけられるコストが現代の数倍はあった、それだけかけても元が取れた時代だったということです

それによって出てくる音の差・・・性能の差と言い換えてもいいですが、申すまでもないことです



一方、左側のスピーカーは私の心の友 Lowther の LIB(ローサー・アイデアル・バッフル)の最も初期のオリジナルです
格子柄のネットが美しいですねえ

ユニットはもちろん20cmフルレンジが1発だけ入っています

音味は大型ホーンスピーカーの音がします
大型の???  ホーンスピーカー???  20cmのコーン型なのに???

大型のホーンの親玉といえば、そうです、蓄音器の音がする稀有なスピーカーですよ、これは
聴いてみないと信じられないですよねえ

その秘密はですねえ
ローサー社は、自社製スピーカー(用途により数種類あるが全て20cmコーン型)のことを「ドライバー」と呼んでいるんです
ボックスに入れたスピーカーではなく「バッフル」または「ホーン」を駆動する「ドライバー」であると

製造者自らが一般的なスピーカーとは異なる意図で作っていると告白しているローサーを鳴らすには相応のお作法が必要になります
オーディオマニア用語でいうとアンプを選ぶということになりますが、もともとスピーカーとアンプはセットで考えるべきであって、全てのスピーカーは生まれながらにしてアンプを選ぶものですから何もローサーに限ったことではありません

その中で、ローサーは少々オーディオマニアのセオリーから外れた使い方を要求されるかもしれません
同時代の英国のちょっと尖った・エキセントリックなスピーカー(QUD ESL  ステントリアンやGoodmansの一部もそうかもしれません)達ももしかしたら同じ傾向があるかもしれませんが、アンプ単体で立派なものを繋いでも少々神経質な薄っぺらい音にしかならない場合があり、海の東の端の黄金の国のオーディオマニアの間ではこれらのスピーカーに対して少々ネガティブな印象が付けられているように感じないでもありません

ま、何事も使い方次第なんですけれど


本日は紙面がつきましたので(笑)
重要なアンプに関しては次回にいたしましょう









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近況など  お買い物で旅する古き良きアメリカ編

昨年の年末から新年にかけて、おかげさまでお仕事をたくさん頂いて、つい無理をしたら長い風邪をひいてしまいました


まあなんとか生きていますが、オーディオに関しては少し更新があります

人生何でも一緒ですが、現在のことばかりに目を向けていては将来のビジョンが見えてこないので、たとえ少しずつでも農地を耕し、種を蒔くようにしています

今現在の自身のオーディオ的原点というか居場所は明確でその点(klangfilmのシステムを自家薬籠中の物とする・・・その時はお別れの時だけど)は揺るぎないが
しかし、自分が「いい音」と思うイメージは一つでは無いし、最新録音、優秀録音盤を聞いてばかりでも無い(むしろその類はいつも失望してばかりだ)
年代やフォーマットに関わらず必要なレコードはいく種類も存在するのでそれぞれを自分の納得できる形で再生できるように常に進化し続けなきゃいけないんだ



以下、この冬に買ったものなどを少々ご紹介します

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いきなりの「スカし」で申し訳ないんですが、この部品は18歳の頃に買ったものです
今でも、我が家を訪ねていただく多くの方にお見せするんですが99.999%の方が

「ふーん、そうなの」と言った反応をされます
本人的には結構前のめりに解説したいんですけれどね、これを見ただけでは何のことやらでしょうね


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で、こちらこそ昨年末に買ったものです
WEのドライバーなんですが、猫も杓子もWEといえば「555」となびく中で、ドードーの登場です
もちろん「555」を買わない、もとい買えない理由は高すぎるからです


だもんで、こちら

永久磁石のマグネチック、しかもインピーダンスは3kΩ近辺ですから一般のマニアには見向きもされません
しかし我が家には以前にご紹介したWE14というこうしたドライバーを駆動する専用のアンプがございまして

http://kaorin27.blog67.fc2.com/blog-entry-303.html

アダプターは30年前、アンプは8年前、そして昨年やっとこさドライバーを買ったと云う呑気さ
でも、タネをまいてずっと水をくれ続けてきたからこそ今日こうして途方も無いモノラル再生ができる喜びがあるのです

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こんな感じでセットしてサウンドボックスを外したクレデンザに繋ぎますわな、するってえと「555」が裸足で逃げ出すという・・・
お後がよろしいようで




続いても、最初は30年以上前に買ったものの写真です

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何の変哲も無い、薄汚れたバリレラのVR-Ⅱです
いくつか持っていた同型機の中で最も出力が高くフラットレスポンスだったのを残しておきました
こちらもマニア諸氏からは評判が悪い一品です

今の部屋を作って、オイロダインと真剣に向き合おうと覚悟を決めた時、ALTECのA-5やWESTREXのアンプと合わせてGatesのプレーヤを処分しました、20年ほど前のことです
その時の生き残りです

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そして最近買ったのはこれ
バリレラに輪をかけて汚れています
もちろん誰からも声をかけてもらえないボッチです

しかし、カバーを「ガバチョ」と開くと

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アンダー・ライセンスド・バイ・ウエスタンエレクトリックのレッキとしたシアターアンプなのです

これにRIAA始め、米国系レコード会社のカーブを入れて(ソケット式に差し替えようかと思う)EQアンプとして仕立てるつもりです


さて、このアンプの技術的な白眉と言いますと

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あら珍しい、DAVENの抵抗切替型のゲインセット・ポテンショメーターなんです
ドイツのものと比べると随分チープなのは仕方ないとして、それでも米国としては異様に気合の入った構造です

いつも言いますが「〇〇だから音がいい」なんて赤子のようなことは言いません
しかし、作り手の気合の入ったものは何かを示してくれるはずです

このアンプは世界中の人からも無視されていたのですがこのポテンショメーターが写真に写っているのを見て即決で買いました
ボッチのおかげでポテンショメーターが単体で売り出されるよりも安く購入できました。ボッチ最強!ありがたいことです

これで、20年以上休眠していたバリレラが息を吹き返すことでしょう
クレデンザをホーンに使うSP復刻盤再生システムはずっと夢見てきたラインナップですからね
今から楽しみです


次回は英国の旅にご案内します、お楽しみに

ジェット・ストリーム・・ジェット・ストリーム・・・・・・歳がわかる








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 10年に一度の

先週末は横浜のT氏邸に行ってきました
こちらの不手際もあって出直しみたいな形になって申し訳なしです

それで疲れたとは思いませんが、その後久々に長引く風邪をひいてしまいました、まいった、参った
でも10年ぶりに風邪をひいたというタイトルではありません


横浜にはいよいよLPレコードを聞けるようにしたい、とのご要望でプリアンプ(phono-EQ)とGrrard 301 Deccaシステムを納品させていただきました

実は9月に一度届けたのです
その晩にT氏と一緒に聞いた クレムペラー教授のマーラー「大地の歌」  これがすごかった
ここ10年ついぞ聞くことのできなかった、音楽そのものがレコードから抜け出して部屋の中に出現したかのようなプレイバックでした

その後すぐに神経質なDeccaカートリッジの出音に不具合が見つかり、早々の再登場&モノラルシステム用のダブルアーム設置という段取りに相成ったのです

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301用のキャビネットはすべてのプレーヤー中最も種類が多いかもしれません
それぞれ各人の個性や主張があり百花繚乱の如しです
その中にあって、Grrardの技術者と私だけがこのスタイルを唯一の方法と主張しています(・・・なんてな)


そしてdeccaの針を受けてイコライズするにはこれにトドメをさすんだ!ってMrウォーカーと私だけが主張しています
こっちはそうでも無いか

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今回はステレオ用に2ch分を納品
この後、虎視眈々と狙っています、何を?  空席の2ユニット分の何かですね ウヒヒ・・・



まあ、とにかくすごかった
もうこんな体験は生きているうちに何回体験できるか?というレベルの音楽体験、レコードだけど間違いなく「音楽体験」だったのです

お前が作ったんだから自画自賛なんだろう、とか思う人がいるかもしれないけれど、自分でも残念なことに僕はオーディオに関しては誇張も嘘も言わない

もちろん人様の御宅の音を悪く言う必要はない、意味がわからないしそんな必要はどこにもない
しかし、こんな驚愕の体験は10年に一度有るか無いか それほどのことなのです

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改めて、全く改めてオーディオの真髄を教えられた

オーディオってさ

最初に何を買うか、どんな組み合わせにするかがやっぱり一番の問題なんだね

自分のお気に入りのコンポーネントを別々に買い組み合わせても、難しいものだと思い知らされた
正しい道を歩めば、ポンと置いた瞬間から驚異の音楽世界が出現してしまう

でも、考えたら当たり前のことなんだよなあ
開発の段階で私たちの想像もできないような巨額な費用と、英知と時間をかけて「いい音が出るように」作られているんだからその時の音を正確に再現できるならば、素人同然の僕らには何も打つ手がないじゃ無いかと

もう、個人がどんなにジタバタしてもこの世界観には到底達し得ないなと打ちのめされたのです

それほどの、壮大で、深遠で悲哀としかし滋味に満ちたマーラーでした  (僕自身はマーラー苦手なのに)


ただし、ただしです

今出ている音は偉大な先人の血と汗の結晶が出している音であって、T氏の影響が及ぶ範囲は購入の決断と経済的な負担にとどまっています
でもそれこそが到底余人の及ぶところにない大成功の最大の勝因なんですけれどね

1年後の今頃、再び聞かせて頂いた時にこのままのクオリティが保たれているのなら、改めてT氏の偉大な判断とオーディオをマネジメントするその実力に対してその足元にひれ伏す事にしましょう

しかし、それがどれほどの険しい道であるかを誰よりも経験していると勝手に自負している私は、自分がひれ伏す姿を想像しながら楽しみにその時を待っています



その証拠に、自分でもすっかりDeccaシステムを再開しようと色々買い込んでしまいました

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プリもまた買っちゃったー  人生4度目か5度目のQUADです

アホ丸出しですね でもあの音が出るならバカになるしかないか・・・







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