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音を決めるものは「頭の中」だけにある

この世に「オーディオマニア」と呼ばれる人種がいる
この人たちの99%は

より高級(高額?ハイクオリティ?)な機材を購入して上手に使いこなせば、結果いい音が手に入ると考えているのかもしれない
家計に余裕のある人もない人もせっせとお金を貯めて「グレードアップ」という性能の向上を目指しては惜しみなく大枚を投入するのに対して、会社に着て行くスーツはとりあえず「それらしく見える」ことだけを優先した2着で○万円の大衆的なモノで我慢する
一方、RCAケーブルにはそのスーツの何着分だよ!?という「高級な」ケーブルを家人の目を盗むように買っては悦に入っておる



大変申し訳ないことだろうけれど、あなたの家のオーディオセットの音を左右するのは機材によるのではなく、この考え方次第なのじゃないかなあと今日は申し上げたい



少し前のこと

我が家に、堂々とした立派なオーディオマニアが見えた
うん百万の高級モニタースピーカーに英連邦北部製の最高級アンプに、同じく最高級のクライマックスなネットプレーヤと完全武装のLPプレーヤまで揃え、しまいには幼稚園のお遊戯場ほどもあろうかという部屋に引っ越して、ご本人も

「今の音に不満はない。これでオーディオは目処がたった」とおっしゃったので私は
「これからは、お好きなレコードやCDを集めて楽しまれるだけですね」と申し上げた

すると、どうしたものか(おそらく何かを誤解した=多分我が家でオリジナルLPをかけたので、その金額世界に少々の反骨心を感じていたんだと思うが)急にエキサイトして

「いやいや、音源なんてオーディオの性能に比べたら物の数ではない。
私はたかがレコードに何万円もかけるつもりはない。ディスク・ユニオンの1枚幾らの箱の中ので十分いい音を出せる」

と随分な剣幕でまくし立てた
私の反応は、まあ慣れたものですから
「ああ、そうですね。それはよろしゅうございますねえ」といっておいた

でもね、断言しましょう

五百四十円(税込)のレコードからは、どれほどの装置を持ってしても、五百四十円(税込)以上の価値の音はしません

誤解をされぬように解説すると、さすがの私も
「音源は全てのオーディオ装置に先んじて最も重要なコンポーネントだ」
「やはり、オリジナル盤じゃなければ本当の音はしない」
なんて雑誌に書いてあるような恥ずかしいセリフをいうつもりはありません


一番大切で、何よりも最も先んじているべきはその人の頭の中であり。イヤラシイ言い方を許されるなら、あなたの思考・判断の品格があなたの家の音に大きな影響を与えているのです

五百四十円(税込)のレコードでも・・・とあなたの脳みそが言い出したその瞬間にあなたの家の音は五百四十円(税込)の音で鳴る運命を背負ったのです

逆に、何十万円という幻の名盤を持ったところで、所有欲を満たすためだけにコレクトしその良さを引き出す努力を怠るならば、同じくその家で鳴っている音は「その程度の」音に止まるのです

私の家にだって、特売で買ったレコードは沢山あるし普段ききでよくかけています
TPOで使う時を間違えなければ重宝しています

オーディオ装置やレコードに何千万円、何億を投じようとも出てくる音はその方の脳みその中を超えることは、断じてありえないのです


その方は、その後頭の中を改めて、今では仲間内で「初期版の伝道師」のようなご活躍だそうです
さぞかし素晴らしい音で楽しまれていることでしょう
しかも、以前ほどオーディオをいじくりまわさなくなり、もともと素晴らしい機材が揃っていたのですからいよいよ音質の向上は約束されましたね

めでたし、めでたし





ちょろっとおまけ

このブログでは有名なT氏がある時

どうにも自分の家の音に満足できなくて

「手間賃を払うからさあ
アンプの周波数特性を調べてくれないかなあ」と言って見えた

おお、やっとそっちの方へ目を向けるようになりましたかと、喜んでお引き受けした
案の定 マランツ#7のRIAAカーブは両端でー3dB以上の落ち込みで結構なカマボコであった

合わせましょうか?と声をかけたが、ちょっと待ってくれという

雑誌で読んだことが頭の中でリフレインしたのでしょう

オリジナルの状態が一番貴重なんだあああああ
部品を変えると元の音にはならないんだああああ
オリジナルでなくなると資産価値が減るんだあああ

結局 T氏はからはその後依頼がありませんでした
交換するコンデンサーはブラック・ビューティ使うからと言ったのにです

そして、今でも相変わらず自分の家の音に文句ばかり言っています
ついに耐えきれなくなって、少し前にスピーカーを買い換えたそうです、アンプがあのままなんだから他を変えてもねえ

ほんの少しだけ頭の中を変えることができていたならば・・・



つい最近、一人の好事家と出会いました
我が家の音を聞かれて、自分が最初にすべきことは何か?と尋ねられました

ターンテーブルのゴロを取り除いて、プリアンプをメンテしたらいかがですか?と申し上げました
その週のうちに遠来でガラードとマッキンの初期プリをお持ちくださいました

仕上がったので先週納品に行って来ました
オリジナル・オートグラフはすざましい音楽を出現させました
相当数聞いて来た私が知る限り最高の音で鳴るTannoyに間違いありません
出会ってからほんの3週間でここまで来た方は初めてです

本当に一瞬で頭の中を変えてしまう度量をお持ちの方でした
私よりオーディオのキャリアが長いにも関わらず、一瞬で考え方を変えることができる人なんてそうそう出会えるものではありません


そちらの御宅で最初メンテ前に聞かせて頂いた音を思い返し、現在の音と比べると確信します
機材をメンテナンスすれば確かに、ノイズが減ったりフラットな周波数特性で再生することにより音源の持つ迫力やニュアンスがよりはっきりと聞き取ることができます
スピーカーやアンプを「グレードアップ」することも全く同じですが

しかしオーディオと出てくる音にとってそんなことは些細なもので大きな問題ではないのです
使い手がどのような気持ちで、オーディオや音楽と真摯に向きあえるのか? その覚悟ができているのか?
これこそが、あなたの家の音をあなたの音足らしめる、唯一無二の要因だということなのです


音はアンプやスピーカーが出すわけではありません
その人の「頭の中」にあるものが波動エネルギーになって鳴っているだけなのです


今回は、セキュリティと個人情報の都合上、写真は控えております
読みづらくてすみません






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鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん

第一話

FMチューナーを刷新。というより追加ですが、したことによりいよいよレコーダーも欲しくなってしまい機械の選定に入りました
レコーダーを買ったつもりでREVOX B760を導入したのに、人間とは・・・トホホな生き物です

現状のMarantz CDR-640は見れば見るほど、使えば使うほどよくできた機械で次の2点を除いては文句のつけようがありません

1)連続録音時間が79分ほど・・・オペラなどでは途切れる
2)クロックの入出力が装備されていない

長期的にみて、使用するメディアの最終形は

実用)CDーR
保存)上位規格でHDD

が見えていますので、これに沿った選択になりました
・・・で、昨晩ポチしてしまいました

・ワードクロックの入出力端子があり
・デジタルのXLR入出力端子があり
・アナログのXLR入出力端子があり(なんとなればRCA端子まで)
・DSD録音が可能で(FM録音以外にやりたいことがあるので)
・PCを経由せずにスタンドアローンでデッキとして使える
最後に
・嫌いなSDカードではなく、CFカードが使える 機種が私の見渡した限り1機種だったので決めました


単純にA/D変換の音質だけを考えれば、この世には素晴らしい機械がたくさんあるようです

rme_ffucxa_2.jpg

こおゆうのですか
しかし、実用化するまでにはこれだけでは済みそうにありませんね
たくさんのお金と時間と修行が必要になりそうです

たかだかFMの録音をするのに

鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん   です



第二話

青春時代の思い出はどなたも大切にしておられるでしょう
私も人並みに青春時代がありまして、当然それにまつわる音楽の思い出もあります

生来のフランスへの憧れの一端だったかもしれません
中高生の頃 フランソワーズ・アルディをたくさん聞きました

先日、英国のamazonで「初期アルバム集 5CD」が1400円くらいで出ていたので反射的にポチ
アルディはやっぱりアルバムで聞かないとダメよねえ、ベスト盤じゃ意味がないのよ・・・なんちって

PICT4776.jpg

いいですねえ
ジャケットからもアルディの気だるさ、60年代のアンニュイな空気がビシバシと伝わります


CDPが繋がっているので、オイロパの広帯域ラインを立ち上げてCDをIN・・・PLAY


なんというのかしら、
60年代の録り方なんでしょうか、アルディの声もギターもベースもドラムの音も
みんな一斉に主従の関係なくドカンドカンと前に出てきますから、横一線に並んでしまう

マルチトラックモノラルの一番悪いところの品評会みたいな録音です(LPと比べていないので実際には録音の責任か、CDへのマスタリングの責任かは分かりません)

山口百恵さんのソニー録音や中森明菜さんのパイオニア録音と共通した品の無さですが、これは時代の音ということかもしれません

こうした録音をオイロパで聞くと、マスタリングルームで大音響&ニアフィールドでやられた悪しき記憶の再現になってしまいます

少し、思考を巡らしました

百恵ちゃんにしてもアルディにしても、メインターゲットのリスナーは業務用のラージモニターで聞くわけがないんです
音楽制作の現場ではその道のプロが仕事をしたのですから、きちんと意図や意味があるのです(もちろん相応のクオリティは必要)
分かりました、アルディはpatheやclombiaの電蓄で、百恵ちゃんはsonyのミニコンやラジカセで聞くべき録音効果で制作されていると考えるべきでしょう

そこで、QUAD Lowtherシステムの登場です

ああ、懐かしい60年代の青春の思い出が色鮮やかに目の前に開けました、涙が出そうになりました

いつの時代のどんな物にも作り手の思いがこめられているはずです
その想いを汲み取れなくて、何のフォノグラフ(音の記憶の再現)でしょう

音だけを取り上げて、LowtherよりKlangfilmの方が上だな!!
なんて評論家気取りの人には一生わからない、人間の、文化の重みなのです

ソフトにはそれにふさわしい再生装置があり

再生装置には、ふさわしいソフトがある


鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん  のもう一つの意味です






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FMチューナーの夢 〜 現実的な落しどころ

FMを受信する行為において、いつか夢が叶うならばR&SのRelay Receiverを使いたい!が、世界中のエンスージアスト共通の思いでしょう
私の知り合いにもお一人その異次元世界を享受している人がいます、羨ましい限りです

しかし、新品当時(日本には入っていないと思うが)百万円じゃ買えなかっただろうし、そもそもただの「レシーバー=受信器」だからそれ自体は同調するに止まり、ステレオ放送を楽しむためには別売りのMPXデコーダーでまた数十万円の出費を余儀なくされる

近年稀に中古品が競売にかけられることがあるけれど、中古とはいえその価格は「FMチューナー」の常識の範疇から遠く外れています



さて、
FMアンテナで拾った直後の電波信号をデジタル変換されてのちに処理されるというデジタルチューナーのプロセスは、いかなドアナログ人間の自分にとっても大層魅力的に見えたし、
負け惜しみになるが、FM放送の受信は不安定な面もあると聞くからデジタルの方が「効率」がいいじゃんと思えていた

そうこうしているうちに、周りから「”あの”デジタルチューナーを買った人がいる」「随分待たされたようだけれど、最近届いたようだ」という噂が耳に入り始めてきた
購入には10万円でお釣りがくるようだとか、やっぱりデジタルは音がいい!とか・・・

しかし、まだ絶対数が少ないようで直接聞かせてもらう機会がなく、音を聞いた感想などもネットに上がるようにはなっていたが・・・

新しいカテゴリーの製品の購入に抵抗のないチャレンジ精神旺盛な方々が購入している事例が多く思える、そうした方々の音の嗜好を、所有されている他のラインナップから想像してこのチューナーの評価を照らし合わせると、いまだ自分の装置に加えて望む成果が得られるのか確信が持てないでいた


ついにある日、古くから付き合いがあって音の嗜好がわかっている知り合いの中に
「オレ、聞いたぞー」という人が現れた

「どう思う?」と問うた私

答えて曰く「お前がデジタル買うなら、REVOXはもういらないだろ。周波数シフターごと譲り受ける。ついてはアンテナを立てる必要が・・・」

「あげないよ!」


どうやら自分自身の気持ちは決まったようでした
ちょうどこの頃、前回ご紹介したQUADのチューナーを買っていたのですが
この手のひらに乗るようなチープなチューナーに教わっていたのです

自分はオーディオから再生される音楽を通じて何を聞きたかったのか?
何を感じたいと求めているのか?
そう、心臓をキュッと締め付けられるようなメランコリーや郷愁の想いではなかったか!

英国紳士は、会話の際に大口を開いて大声をあげたりしません、おちょぼ口のまま口角を少しあげるだけで多彩な感情表現をします
オーディオ的に大きな声を張り上げて自己主張するだけが「いい音」じゃないんだぞとQUADはその小さな声で言葉少なに、しかし能弁に語ってくれたのです



元々は長時間録音を目指してレコーダーを更新しようかと歩き始めた旅路でしたが、一度火がついた気持ちは止まりません。デジタルチューナーを買ったつもりで何ができるのかを考え始めました

と言っても、上述したR&Sのレシーバーが買えるわけではありません、金もなければ物もない

次善策が何かは、もう何十年前からもわかっていました、高嶺の花で手の出ない対象でしたが、相場が少し下がってきたのと、最近の円高も背中を押してくれました

PICT4763.jpg

手持ち3秒ほどで撮ったので手ブレ失礼です


FMチューナーのロールスロイスと勝手に呼んでいる REVOX B760です
バランス送りのSTUDER銘の業務機もあるのですが、STUDERのトランスで痛い目にあっている自分は迷うことなく民生機であるB760を選択します
現状の我が家のライン上ではこちらの方が遥かに良い結果になるでしょう(企業秘密で内容は書けませんが)

とは申してもアウトプット・ステージ以外は全てSTUDERと同一の仕様であり部品にはSTUDERのスタンプがあり、XLR端子をつける場所にはバカ穴を塞いで共通の筐体を使っています

そして何より、購入の意思を決定つけたのはこの内部構造です

P1010093_convert_20170330182056.jpg
写真はネットから


多くのFMチューナーの信号処理は基本的に1枚基盤が多用されている(拡張基盤もあるもあるがあくまでも面積不足の補助という役割が多い)
対してこちらは受信器に必要な機能毎に基盤を分けて構成される、上述した業務目的のレシーバーと同じ考え方で作られています
その結果として、緊急的なトラブルへの対策にも優れています(最大数回の基盤交換で現状復帰が可能)



とりあえず聞いてみました
その夜になって、マーラーがお好きだという方が見えて、神奈川フィルのライブを一緒に聞いていただきました

今までの新型REVOX(と言っても20年以上前のもの)がDECCA SXL6000番の音がすると例えるなら
B760はどうみても2000番の音なのです

チェロバスの、ゴリゴリ、バリバリと弾くような重みがFMチューナーの範疇を完全に凌駕しているように聞こえます
これが突き抜けると、再生音という感覚がなくなり音楽の中に入り込むかのような独特な気持ちになる、まさに初期SXLやSAXなどでのみ感じることのできる「あの」感覚に手が届きそうな、体ごと引き込まれそうな気分になるのです

これはおそらく、どなたもご自身で聞いていただくしか想像もできない次元の出来事だと思います
これを聞くためだけに。という、色々な理由付けが通る音かもしれません



最後になりますが、自分のFM受信の旅がこれで終わるとは露ほども思っていません

これは現実的な、今日現在の落しどころです
Relay Receiverもいつかは使ってみたいし、日進月歩のデジタル技術はまだ産声をあげたばかりです
何十年も前に人類史上の頂点を極めたアナログの受信技術と直ぐに競わせるのはフェアではありません


自分自身もFM放送を探求するサーガをまだ歩み始めたばかりなのです








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我が家のFMチューナーが決まった話

このブログの過去記事を振り返ってみると、2015年の2月にFM放送の受信を目指して行動を始めたとの記事を書いていた

長いブランク明けであって昨今のFM放送や受信の事情が全くわからなく、まるっきりの初心者がヨチヨチ歩きを始めたという状態のスタートだった

オークションとハードオフで3000円程度のチューナーを買い
FM中継局のアンテナは自宅から目視できる場所なので、すぐに入るだろうと4素子のアンテナを買って置いてみたがノイズが多く実用にならない。

参ったなあ、
スタートした時点ではアマく考えてましたが、何事も始める前に考えるほどには簡単にいかないものです



次に打った手は・・・忘れもしません。ちょうど今頃の時期でした、午前中には時ならぬ雪が降った午後のこと
心ばかりの命綱を腹に巻いて、緊褌一番 決死の覚悟で屋根の上に8素子アンテナの設置を完了しました
これで問題なく受かるだろうと聴き始めましたが、なんとなく入力の弱さを感じて、ブースターを買ってみました

おやや・・・まだ足りないか? と高額だったけれど40dBのブースターをさらに奮発した!!!
どうやらここで、アンテナ入力の確保はできたようだがアンテナ1本とブースター1台は無駄になって空き部屋の隅に寂しそうに転がっている

オーディオをやっていると時々「俺は一切の無駄なく一直線で最高の音を出す!」なんて力んでいる人に出会いますが、まずそんな結果にはお目にかかっていませんしそれどころか無駄のない趣味なんてなんの喜びもないのだから長続きするわけもないです



所詮FMなんてメインの音源じゃないし可能な限り出費を抑えて。との目論見で始めたFM受信騒動ですが

その後
Kenwood 1台 アキュフェーズ 2台 SANSUIの同じ機種ををもう2台と買いました
台数が増えた大きな理由は「音質」なんかのためではなく、故障して使用不能になったからでした

そこで「基準信号発信器=ステレオ対応」や「周波数カウンター」まで買い込んでメンテを行うようになりましたが
国産民生機の脆弱さに呆れて、国産機に見切りをつけたかった

PICT4759.jpg

海外製FMチューナーを使用する場合、アンテナコネクターもわけのわからない形になる
その上、大陸と英国ではオスメスが異なるようだ、安くもない変換器をいくつも買う必要がある

しかし、欧州で生産されたFMチューナーはバンド帯が異なるため日本では使用できません
昔のバリコン式の時代は共振点を変更して使えたようですが、シンセサイザー式ではどうにもならないと言われていました

その頃にネット上ではデジタル処理して出力できるPGFチューナーなるものが評判になり、どのみち録音はデジタルなのだからいっそのことこのチューナーを導入してはどうかと、開発者の林さんに連絡を取り教えを請いました

しかし丁度新設計の基盤を準備中のタイミングなのでもう少し待てますか?とのことでしたがその後の進展はなく話は立ち消えになっておりました


本当にもうこうなったら崖っぷちです
一から勉強をして自分で「周波数シフター=放送される電波の周波数をずらして欧州のチューナーで受信できるようにするもの」を作るしか、我がFM受信システムを完成させる道がありません

かく云う私はよく電波とか言われますが(笑)電波関係の工学は全くのど素人
右も左も分からない、イロハから勉強してなんとか実用となる周波数シフターを作ることができました
それを使ってやっと念願だったREVOXのチューナーを使える環境を手にしたのです

これまで痛い目にあった中古品チューナー使用時の不具合に対応して
・できるだけ後期に、つまり最近に作られたもの
・業務用のSTUDERブランドで発売された実績のあるもの
この2点を目指して新しいチューナーを導入しました

PICT4754.jpg


早速、音を聞いてみました
全く まったくもってお話になりませんでした
これまでのチューナーが受信機の機械の音だとすると、これはもっと生々しい血の通った音楽が創生されるようです
何が違うのでしょう?
上述した通り私は受信機に関してはズブのど素人なので理屈は想像もつきませんしそんなことには何の興味もありませんが、何から何までこれまで使っていたチューナーとは次元の違う音楽再生であることは明確でした

これで随分と楽しみましたが、一つだけ困っていることがあります

CDーRはメディアの入手やすさ、コスト、圧倒的な互換性を鑑みると理想的な録音方式ではありますが
唯一、録音時間が短いのが弱点です  78分しか持ちませんのでオペラをはじめとする長手の楽曲では途切れた録音になります

昨年のバイロイトのリングはヤノフスキーの熱演だっただけに惜しいことをしました

そこで、システムの再構築の検討を始めた頃、とある小さな会社からPGFデジタルチューナーの完成セットが販売されていると云う情報が入りました


また一方では
QUAD Lowtherシステムの構築に伴い(必要に応じてではなく多分に調子に乗って)QUADのモノラル時代のFMチューナーまで買ってしまいました

PICT4756.jpg

巨大なブースターのパワーでチューナーは何台繋げても余裕綽々です
そして、この1台でまた新たな衝撃を受けたのです

Klangfilmの大きなシステムに入れて「いい音だな」とはならないのかもしれません
しかし、QUAD&Lowtherの世界観の範疇でこれほど鮮烈なFMを聴けるとは想像もできませんでした
夜中にひっそりとした音量で聞く
ラジオ深夜便から流れるJAZZや懐メロが静かに壁に染み込まれていくようです

大音量だ、抜けだ、鮮度だと云う旗印だけではない、本質の根っこの部分でオーディオに何ができるのか?何を求めるのか?を考え直させられたと云う意味での衝撃でした

そして、これら2つの衝撃がその後の方向付けをよりはっきりさせていくのですが、長くなりましたので
次回に続きます








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20年ぶりのアンプ製作  PX-4シングル 1932年仕様

ひょんな偶然が重なって、AD-1のアンプを自分で組んだのは30代の前半でした
その後10年ほど活躍してくれましたが、Klangfilmの専用アンプが投入されたことによって使命を終えていました

それ以降は、メーカー製造のアンプをメンテナンスして使う機会ばかりでしたから長いことアンプ製作から離れていました

そんな私に
昨年の末から今年のかけてアンプ製作のご依頼が舞い込んできました

その方は、随分と以前にフィールドのオイロダインをお譲りして以来懇意にしていただいている好事家の方で
これまで300Bの91などを中心としたアメリカ製アンプで楽しんで来られましたが、ある時PX-4アンプの音に触れてから、欧州製直熱三極管の燻銀のような音質の魅力に目覚めてしまったとおっしゃるのです

周りにもアンプ製作を頼める方は沢山お見えのようですが、ご高齢であったり欧州管に対しては経験がないという事情があって、「じゃあ、お前に任す」と白羽の矢が立ちました

正式にご依頼をいただくに際して
過去の失敗を繰り返さないように、入念にお打ち合わせをいたしました

・回路は1932年ころ真空管が発表された当時の回路の採用を了解されたい。理由はそれ以外に選択肢がないので
(私の創意工夫は一切入れない、よって音が悪いという苦情も一切受け付けない(笑))
・部品選定に関しては一任いただくこと(可能な限りオールドの英国製、欧州製部品を使う)
・デザインはコンストラクションに関わるので基本的にはお任せ願うこと(細かいことはご希望に添います)
・パイロットランプと監視メータをつける(私はやんわり反対して、すぐ承諾)
・出力は200Ωで旧型オイロダインをダイレクトにつなぐ(特注するしかない)

回路は上の通り、知る得る限りでもっとも原典版に近い時代の古いものを採用しました
まだ、出力トランスが普及しておらず、カップリングディバイスがチョークとコンデンサーの時代の回路です!
当時の業界事情を鑑みれば当たり前なのですが、20年前に作ったTELEFUNKEN AD-1の推奨回路とは双子のように酷似しています

穴があくほど見慣れた方式ですので、回路図と部品リストの書き出しは瞬く間に終わりました
しかし、頭のひねりどころはここからです。部品配置こそがアンプ成功の全てと言っても過言ではありません
コンストラクションさえ決まれば九割がた完成したようなもの、あとの実装・配線なんて赤子の手を捻るようなものです

それからはコピー紙を何枚も携帯して、思いついたそばからアイディアを形にしてスケッチする日々が続きました
そこしずつ部品が揃ってきますから具体的な寸法も入りはじめます

PICT4748.jpg

5ヶ月から半年くらい過ぎた頃から、新しいアイディアが追加されることはなくなり
そろそろ腹を決めて製作にかかる頃合いかと思ったのが昨年の10月頃でした

自分はアンプを起こしたのは20年ぶりとか言っているのであまり偉そうなことは言える立場でないのはよくわかっているんですがこの時間がアンプ作りでは最も重要だと思います

ヤフオクなどに出品されるアンプを見ますと、この検討が不十分で見切り発車で組み立て始めたのではないかと思しきアンプが散見されます

音の嗜好は個人の問題なので使用者が満足するなら私が関知するところではありませんが、高圧を扱う真空管アンプにおいては安全性と長期にわたる安定性に対して懸念を感じ、傍目ながら気が気ではありません

自分自身が作ったアンプも含めてなので、文句を言われても構わないのですがそう言ったアンプはとても使う気にならないと思っている人間が作ったアンプの顛末記であります

PICT4615.jpg

銀紙が光っていけないんですが、発泡スチロールの板の上で部品を立てて検証中
自分としてはこの大きさ「320mmx200mm」で行きたかった、今見ても申し分のないコンストラクションです
中央の出力トランスはまだ代理のものです

その後、オーナー様のご希望で「350mmx220mm」のやや大きなシャーシに変更になりました

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部品を並べてみるとやっぱりサイズ的に少々ゆったりですねえ

その後も検討を繰り返し、最終的に組み上がったのがこちら

PICT4672.jpg
写真の整流管は動作確認の為にG2004を載せていますが、本番ではMullard FW4-500を奢って英国アンプの矜持を保ちました

その装着に反対した電流監視メーターは左側のオルタネイト・スイッチを押している間だけ照明がついて測定を開始する仕様にして、ちっちゃな抵抗を示しました


内部は

PICT4673.jpg

音声回路中の抵抗は全て英国製ヴィンテージ品です
・ソケット類は全部英国製
・コンデンサはドイツ製と英国製の混成部隊
・スイッチやヒューズソケット、ヒューズなどは米国製
・フックアップワイヤーは英国WESTREX(電源供給)と米国ベルデン(ヒーター回路)
後述の通り信号回路には出力管のRk(メタルグラッド型なのでそもそもリード線が存在しない)のプラス側3cm程しかワイヤーを使っていません
・スムーシング・チョークは最大限大きく(30H)とってコンデンサーは少しでも小さくしたいのですが、安全保障上電解コンデンサーは現代部品からの選択ということで16μFとしています。ここは6〜8μFでも十分でしょう


写真に撮ると苦労は映らないんですが(笑)
長い間考え抜いた甲斐があったというものです

全てのCR部品はそれ自身の持つリード線の範囲内で組まれていて、ワイヤーによる所謂「渡し」にしている箇所はありません
出力管のRkから入力端子のコールド側まで1本のグランドラインを渡して信号の通る順番に流す手法はいつもの通りです
アースポイントは1点です、これで歪みが最も減りノイズが少なくなりました。理想的ですね

回路図にするとこのアンプは結構複雑な回路構成なんですよ、部品が少ないんじゃないの?と見えるようならちょこっと自慢です

なお、電源周りのワイヤーを過剰に余らせて回しているように見えるかもしれませんが
本機は「チョークコイル」「出力トランス」が直出しのワイヤーなので、パツンパツンに切り詰めてしまうと後々のメンテナンスや部品交換の際に痛い目にあうので可能な範囲で長く残してフォーミングしています


出力は 3.5W (CP)
残留ノイズ 2.4mV(200Ω)以下
周波数特性 15 〜 30kHz (-1dB)

特注した出力トランスが1932年の常識では計り知れない高性能だもんで
直熱三極管の古典回路としては規格外の高性能アンプが出来上がりました
というのはこの回路は本当に優秀なもので、部品の裏付けさえあれば現代的な「高性能アンプ」も真っ青の音が出るんですよ

さて、組み上がったアンプの音のことなんかリキんで語っても仕方がありません

聴く人の感性により評価は変わりますし、音はスピーカーから出るものですから特定のスピーカーを使って聞いた音の印象を語ってもそれらのスピーカーを所有していない人にとっては「アンプの音」をイメージするのは難しいでしょう

その前提で一つだけこのアンプの特徴なのかな?と思ったのは

我が家の常用アンプに比べ、春の朝の空気の透明感のような清潔でクリアーな空気感を強く感じます
これはシングルアンプの特徴なのか?トランスか?回路かはわかりませんが
理屈で追うと、広い周波数応答と低歪みの賜物でしょうね

しかしながら、我が家ではもう何年も聴いたことのない空気感でしたので、自分でも少し取り組んで見たいなあ!などというフラチな考えが頭をもたげていることを告白しなければなりません







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